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誤字・脱字等を修正いたしました。27.5.6

 寝床は結局、あの四人に部屋を譲る、と言う子どもたちの寛大な提案により、夜が更けた。子どもたちに譲ってもらうだなんて、どうなのかしらね?殿下だからってこれは酷いと私は声も出なかった。さすがに止めさせたけど。殿下がうるさいから私の部屋と熊男の部屋に二人ずつ押し込んでやったわ。熊男がなにかうるさかったけど、もう、これでいいじゃない。私は小さいミミルと寝れば問題ありませんから。


 それとてっきり私はマーデクは帰ってしまうのかと思いきや、すでに彼も殿下のお仲間に加えられているらしく帰れないんだとか………そう考えるとこの四人はもう家に帰れないと言っているようなものよね。誰にも寄り付きそうにない別宅を用意しておきなさいよ。


 まあ、それはいいの。問題なのは結界を改めて張ろうとしたのよ。それなのになぜ熊男と少しだけ離れたところにアーバンがいるのか………別にいいけど。邪魔しないでくれればもっといいのだけど。音を拾うからせめて静かにしてちょうだい。


「なあ、ホルティーナはなにやってるんだ?」


「音を拾ってる。アーバンは殿下をお守りしろ」


「へー。そんな事も出来るのか。お守りはこんなところに危害を加えようとする奴なんていねーからいいんだよ」


「………………魔物はいるわよ。ついでだから狩ってきてもらえないかしら。誰かさんたちが乗り込んできたから人数も増えたし、いいわよね?狩らないと殿下が食べられるわよ」


「ここ、そんな物騒なのか?」


「貴方たちが結界を壊したからよ。あの結界には魔物避けもしてあったの」


「ゼフ、ちょっくら行ってこないか?」


「一人で行け。お前とよりホルティーナの傍の方が断然いい」


「俺も男より女がいいけどな」


 とかなんとか言いながらいくのね。ああ、そっちじゃないわよ。ついでだからライトでも持っていきなさい。生粋の騎士舐めんなとか知らないわよ。いいからとっとと行く。


 半ば強引に追い払ったらすごい勢いで駆けていくのね。音があまりしないのだけど?あれが生粋の騎士と言われても信じきれないわね。魔力探知でアーバンと大きめの魔物の距離を見て………移動速度が尋常じゃないわよ?―――だいたい確かめたところで、そろそろ私は呪文を唱える。どうやら無事に魔物と対面したみたいだものね。アーバンは強かったのか、すぐに魔物の気配が弱くなってきているわ。


 結界の大きさはアーバンがいる範囲より少し広めでいいかしら。前回よりもかなり削っているけど、これでも徒歩ならまあまあの時間を稼げるはずよ―――…


「アーバンは結界の外か?」


「―――内側よ。外に追い出してもよかったけど………範囲が狭くなるから止めたわ」


「後はアーバンが帰ってくるだけだな?」


「そうね。ゆっくり歩いてるから息抜きでもし始めたんじゃない?私はこれで寝ますから。戸締まりだけはお願いね」


 と、言っても。私の腕を見事に掴んでいる熊男から逃げられそうにないのよね………こんなのを振りほどくことなど出来るわけがない。睨んでも薄暗い中ではいまいち発揮しないようね。元から利いた試しがないけど。とりあえず振り払う努力を称えて離しなさいよっ。


「ホルティーナは………殿下が国を納める器でないと、そう思うか?」


「はあ………殿下、ね………はっきり言うけど、今の殿下では無理よ。夢物語しか聞かされていないし、先をまだ熟考できていないようね。現に、私が指摘したものに私を黙らせる反論がないもの」


「俺は、アヴリーベについて調べると同時に、アヴリーベがどうすれば協力してくれるか任されている。ホルティーナはどうすれば俺たちに手を貸してくれるんだ」


「私の意は変わらないわ。関わりたくない。それだけ………」


「それは俗に逃げている、と言うのだろうな」


「そう言いわれてもいい。私はもう理不尽は言葉たちに振り回されたくないわ」


 なんだか知らないけど、腕を握っていた手を緩めてくれた。だったら私はすぐに逃げるべく、身を翻して駆け出そうと足に力をいれる。と、言っても―――振り返った時点で後ろから抱きすくめる形で捕まったのですけど。暴れるのにも、もう疲れたわ。早く眠りたいものね。


 しばらくそうしていれば熊男の顔が私の肩に埋められた。なんだかため息をついて悩んでいるらしい。息を吹き掛けるならやめてほしいものね。私はそれをわざわざ聞いてあげるほど、優しい者ではないから。私は黙ってそのまま前を見据える。重いけど―――まあ、支える分には大丈夫ね。


「俺と共に、歩んではくれないだろうか」


「色々ぶっ飛んでると思うわ」


「ホルティーナは………アヴリーベはようやく見つけた俺の大切な人だ。アヴリーベが頷いてくれるなら、俺は何もかもを捨ててここで生きる。ハーフエルフでもそれでもいい。俺も似たような存在だ」


「すごい覚悟だわ。でも残念ながら私には恋愛と言うものを知らないのよ。貴方を好きになったり愛したりと言う感情がわかりそうにないわ。それに、私と似たような存在、ね………言うなら私も貴方も逃げてると言う風にとってもかまわないわよね?」


 ちょっと変だとは思ったのよ。殿下の護衛と言いつつ距離を置いていたり。私の近くを陣取りながら牽制のつもりでも思えるけど全然そうではなく、ただ隣にいるだけ。まあ、熊男ならあれだけの距離で私を抑えられるのは容易いでしょうね。


 どうすればいいかと問う貴方は殿下のためと言うけど、殿下のために問うなれば答えだけを求めない。せめて殿下のために動くように率いれるように誘うのがベストよね?誘うとしても代償を用意してもらわなければならないけど。私は聞かれて導く賢者ではないのよ。もう少しいい誘い方をしてほしいものだわ。助けてほしいと懇願されても、なにも出来るわけないわよ。


「貴方、殿下に付いてるといいながら王に付いてるでしょう。コインがいい証拠なんじゃない?どちらか選べないからすべてを捨てたいとも聞こえる。まあ、私の思い過ごしならいいのだけど」


 少しだけ締まる腕には肯定と読めばいいのかしら。そのまま動かずに時をすごせばアーバンが帰ってくるし。冷やかしを入れるならさっさと殿下の護衛にでも行きなさいよ。見世物ではないの。それにしても………明日もいるのよね?どうやって追い出そうか、また考えなくてはいけないわ。


 殿下のお膳立ての方法は………まあ、出来ないこともないでしょうけど。あまりうまく行くとは思えないのよね………どうしようかしら。森へ出掛けるついでに逃げようかしら?全員連れていけば怪しまれるから………悩ましいわね。





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