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誤字・脱字等を修正いたしました。27.5.6
「あら、まだいたの」
「余はここにいる!ほとぼりが冷め、アヴリーベが余に力を貸してくれるまでな!」
「まあ、頑張ればいいんじゃない。時間はないと思うけど」
「なぜだ!なぜそなたが言い切れるっ!」
なぜってそりゃあ、ねえ。貴方はハーフエルフだし。首を持っていかなきゃ大丈夫だって言っても月日が延びれば延びるほど王も何かを打診すると思うのだけどね?それに、殿下が先ほどから推している『アヴリーベ』が騎士の中にいたら使われるわよね。
それにも考え付かないとなると………どうもこの殿下をわざわざ立てる意味が、ねえ。いっそハーフエルフなんだから引き込もってくれれば楽なのに。まあ、それは私みたいな臆病者がやるもんでしょうけど。
「なあ、ゼフを知らないか?」
「知りません。熊になって巣穴に帰ったのではないかしら」
「あんた、ゼフの扱いも酷いよな。昨日はあんなに抱き合っていたのに」
「はいはい。言ってなさい」
「やっぱ勝てねえわ」
子どもたちの反応を見て遊ぶからでしょう?私はいつも通りフードをかぶっていますからね?私の顔を見て面白がろうとしたから子どもたちにふったのでしょう?まったく何をやっているの………………
子どもたちの反応はまばら。シェルカやミミル、トッティは首をかしげて朝の準備。やんちゃ三人組とエーラは気になるけど私が反応しないものだから別にいいものだと切り替えて各々の行動に戻る。マティクなんか知らぬ顔。年長組はテテラがすごい食い付きを見せているけど見るだけで終わり。残りの三人はふと考えて頭をふったかと思えば作業に戻った。考えるのをやめたんでしょうね。
えーと、熊男はどこかだけど………裏にいなかったら知らないわね。それを告げれば裏はどこだって、そっちよ。通路を教えて………殿下はいいの?マーデクがいるからいいのかしら?
でもどうやら今日はマーデクが作るみたいね。ゆっくりとした動きで焦げないか心配だけどそこは同じ孤児同士。マーデクが低い姿勢でみなに支えてもらいながら作り上げてるわね。いいことだわ。それに引き換え殿下は………苛つかれても、ねえ?ミミルを見て警戒しても意味ないでしょうが。
「ホルティーナ、ゼフいた。助かったぜ」
「それはよかったわね。じゃああれをどうにかしてちょうだい。朝の空気が台無しよ」
「ホルティーナが宥めればいいんじゃないか?」
「どうしてよ。私がやる必要がないでしょ」
「あー、ならどうすれば殿下が戻っても迫害されずになると思う?それを答えてくれたら静まるぜ?」
「そもそも、今までハーフエルフはバレなかったのでしょう?どうしてバレたのよ。マーデクは耳を、と言ってたけど何してたの?」
「………………先端を削いだのだ」
あらあら。それで今まで気づかれなかったのに、気づかれたのね。なんとなく見たくて近づいてみたんだけど………逃げないなら見てしまいましょう。嫌われてると思ったのだけど見せてくれるなら見るけど………熊男が止めに入ろうとしたから逆側に回り込んで―――ちょっ、なんで追いかけてくるのよっ!?
さすがにドタバタする気はないので遠ざかろうと思ったのだけど結局は捕まる………なによ、これ。しかも消えた理由はわざわざ髭をそるためだったようね。毛むくじゃらではなくなってるわ。これが普通なのかしら。毎日やるとしたら大変そうね。ごみ出し。
「おい。余の目の前で恋沙汰はやめろ。それで余が帰れるならかまわんが」
「人の恋を覗くの?変態だわ………」
「殿下………それはまずいだろ」
「殿下………」
「殿下………………ご飯ですぞ」
「―――みなで見るな」
「ホルティーナ様~できましたよー」
「ごめんさないね。今いくわ」
今日は殿下たちも一緒なのよね。そのまま熊男に引っ張られるこの構図はなんなのかしら―――その前に席なんてないのですけどね。立って食べるのは行儀が悪いからやめなさいよ?教育に悪いじゃない。
また殿下がうるさいけど貴方、いい加減に我慢を覚えなさいよ。仕方ないから殿下を連れて話をしてくるわ。ゆっくり食べなさい。ほら、戻って戻って。世話のかかる大きな子どもだわ………
「ようやく余の手助けをするようになったんだな!」
「………自分で考えなさいよ。私から見たら甘えている少年よ」
「余は二十六だ!」
「ハーフエルフは約四千年を生きられるから小童ね」
「~~~っ!」
「殿下!!言っちゃいけない言葉は世にたくさんある!!ここは堪えてくれっ!!」
「どんなフォローよ。そうそう、王は人間なら王妃はエルフよね?生きてるの?」
「殿下ぁぁあああああああ!堪えてっ!堪えて―――え?」
その前に殿下の口許を離してあげなさいよ。よく見たら鼻も塞いでるわね。顔色が少し変わってきているのだけど………叫び出しそうだからそのままにしておきましょうか。
「今、なんて?」
「熊男。貴方が話なさい」
「―――わかった」
話していないなんて………絶対に騒ぐわよね。下手したら私が悪者じゃない。どうしたものかしらね………まあ、私はその間に朝御飯を終えて今日の子どもたちは………まず、できたら見えるところにいてほしい。けど少しでも情報はほしいのよね。
まずは家の修理をお昼までに終わらせて、殿下が静かなら薬草の勉強、ついでに狩り。でしゃばってきたら………話し相手になるしかないのよね。皆に魔力探知させて森の様子でも調べさせましょう。やっぱり昨日の結界が破られたのは痛いわ。人は入ってきていないみたいですけどね………強い魔物が少し入ってる。
…………面倒事しか持ってきてないわね、殿下。このままじゃやってられないわ。アーテに少し出掛けてもらいましょう。耳より長く、確かな情報を時価で聞けるはず。あの子はどうしたらすんなりと逢ってくれるかしら。




