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誤字・脱字等を修正いたしました。27.5.6
食べたらまた私たちは話し合う事に。もう話し合っても無駄だと思うけど、殿下は納得いかないらしい。だから王族って面倒なのよ。
因みに、アーバンが辿々しい手つきで頑張ったスープは、食材の火の通りがまちまち。理由は食材そのものが大小様々な形をしていたからよ。テテラは口だけで手を一切出さなかった結果が不恰好なスープ。このスープは野菜の旨味と肉の旨味、それと少量の塩加減でスープは質素でありながらも美味しく、出来上がるのに………食べたときの四人の顔は―――食べる前から遠い目をしていたわ。味は聞かなくてもわかるから誰も何もいわないもの。
ある意味、私たちを唸らせる料理だと思うわよ、殿下。
「………………なあ、マーデク」
「なんですかな」
「お前、小さい頃こんな事していたのか?」
「みなでしておりましたな。不得手ながらも、みなで助け合い成長していくのです」
「なぜマーデクに任せなかった、アーバン」
「じいさんだし、耄碌してて料理がすごい事になると困ると思いまして………」
「お前、料理に自信はあったのか?」
「殿下、だいたいの事を器用にこなすゼフのを聞いたら誰だって自信は持てます」
言い合っても仕方がないでしょうに。………………………そんなに熊男って器用だったかしら?
「なあ、湯はあるのか?」
「作ればあるわよ。もちろん、貴方たちでやってちょうだい」
「ゼフォンド、マーデク、ここでの湯はどうなのだ?」
「まず、屋内か屋外があります。そして基本、腰が浸かればいい桶に湯を張り布で体を拭くだけです。頭は別の桶に張ってある湯に薬草をつけてあるものを。それを髪や頭皮に馴染ませ洗い流します」
「桶は子ども用なので小さいですよ。俺だと足も入りません」
「言うの忘れていたけど、寝る場所もないわよ。ここに毛皮でも敷けば寝れるでしょうね」
なに?毛皮は今年の冬ように仕舞ってあるけど、使わせないわよ?客でもない貴方たちに本当なら敷居も踏ませたくないと言うのに………幸い、今使っている場所は小さい子どもが遊べるように床に布を敷き詰めて座れているけど、寝るには痛いわよ?バナルたちに見てきてもらったけど、ここの壁も少し皹が入って危ないのよね。すきま風もあるでしょう。ああ、そうよ。ミミルに水分を飲ませなきゃ。
「ロロ、トッティをお願い。みなはもう体を綺麗にして寝てしまいなさい」
「わかりました」
「はーい」
とりあえず起こしてみたらトッティが起きてくれたわ。よかった。でもまだ寝ぼけているわね。夜もちゃんと寝てくれるといいのだけど………覚束ない足取りでロロの支えてもらいながら歩く姿が心配ね。まあ、傍にいた熊男に気づかず行ってしまってのだからいいわよね。
ミミルも一度起きてもらうために背中を軽く叩く。―――起きないわね。殿下が身構えてるからとりあえず台所のコップに水を………熊男もついてこないでいいわよ。貴方がいたらミミルが泣いてしまうのが眼に見えているわ。
「俺を見たら、泣き出すだろうか?」
「当然でしょう。母親代わりとも言える私が熊男の手によって目の前で倒れたのよ?血は出ていなくても、頼っていた人が急に、目の前で、倒れるのって怖いものなのよ」
「………悪いことをした」
「だったら離れてちょうだい。これ以上はミミルにとってもよくないと分かるのでしょう?」
なに?別にミミルを抱えたままでも水は汲めるわよ?しゃがんで水瓶からコップですくうだけなんですから。でもなぜか熊男がすべてやろうとする。これで止めたらまた面倒なのでそれを見ていたのだけど………くれないの?え、違うの、このコップ。
「俺が、あげたい。だから殿下を助けてほしい。そしてホルティーナは俺に頼れ」
「さっきの聞いていたわよね?泣き叫ぶミミルしか思い浮かばないから却下よ。貴方にも今のところ頼る必要はない」
「お前も喉が乾いているだろう?」
確かに、あれだけ喋ったのだから喉が乾いているけど………ああ、嫌な予感しかしないわね。そう思っていれば頬にかかる髪が避けられると同時に熊男が水を含んだ。ミミルを抱えているので叫んで起こす事もできない。逃げ出したいけど捕まるのは馬鹿でもわかる。攻撃手段も限りがありすぎて―――結局のところ、逃れる事はできない。
フードがないせいですごく、顔が分かるわね。触れた唇から割ってきた舌と同時に流れ込む水が意外にも冷たい。思わずのけ反って距離を取ろうとしていたら腰に腕が回り込んできた………って!なにしてるの私っ。何しているのよっ熊男!!
「や!」
ベチン。
鈍い音。それは上空に掲げて仰いだ私の手のひらではなく、逆の手で支えていたミミルの手のひらから鳴った。つまり、見られていたわけで………とてつもなく顔から火が出るのではないかと言うぐらい、暑くなった。
こんなの子どもに見せるものじゃないわよ!!あーあーあー!!なんで私はさっさと下からでも顎を撃ち抜かなかったの!?ミミルには悪いけどミミルを押し付ける事も出来たじゃないのっ!!当のミミルはちょっと掠れた声で「や!」と熊男の頬を叩いているけど!!まず距離を取りましょう、そうしましょう!!って、腰っ。
「まて。ちょっと待て。ミミル、叩くな。ホルティーナは逃げるな」
「やーあ!」
「本っ当に最低!!信じられないっ!!ミミル、やってしまいなさいっ!」
それでも私の腰を未だに掴む熊男の手をつねってミミルを押し付けた。ごめんなさい、ミミル。貴方が攻撃をしたいなら近づかなきゃならないのよ!
もう頭の中は大変ぐちゃぐちゃである。必死に逃げ出さなかった自分がわからないし、なにより三歳のミミルにキスを見られた事がすごく恥ずかしいっ!!しかも、近いっ―――間近で見られた羞恥の方がダメージが勝って自分でもよくわからない行動をしていると思う。
それはアーバンが様子を見に来るまで行われ、ミミルを抱えて攻撃を食らっている熊男。多少痛がりながらも私の腰を引き寄せる熊男に抵抗してもがく私のその図は、アーバンにとってもはや言葉もでないほど酷い有り様だったと思うわ。
最終的には正気を取り戻したアーバンが熊男を殴り付け、逃げた私はミミルに水分を与えたら早々に部屋へ掛けていった。ミミルをもう一度寝かしつけるとき、このまま寝ようか本気で考えたわ。なんて油断ならないのかしらっ―――私の自衛、もう少ししっかりしなくてはいけないわねっ、まったく………




