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誤字・脱字を修正いたしました。27.4.18

「ねえ、きもちわるい」


「病気?診るからこっちへいらっしゃい」


「ううん。ホルティーナ、きもちわるい。ガトラも、きもちわるい」


「こら!シェルカ、教えられたのは“ ホルティーナ様 ”だろう!言えなかったらお説教なんだぞ?」


「あ。ホルティーナ、さま。きもちわるい」


「バナル………気持ち悪いと私が貶されてるところは直さないのね」


 そこでようやく気づくバナルがなんとも………まあ、いいのだけど。さすがに面と向かって気持ち悪いと言われるのは―――そう言えば初めてね。いつもは怖いと言われるのに。斬新ね。まあ、いきなり『気持ち悪い』と素直に言わせるのも今後が危険な雰囲気しか読み取れないので直すように言うけど。


 シェルカは何がいけないのかわからないようで、首を傾げた。それに真似してミミルもシェルカを見ながら私の膝の上で首をかしげる。ちょっと面白いけど、まだ小さい子どもたちには最後まで考えが至らないようね。


「シェルカの毛並みは自慢のもの?」


「そこまでじゃないよ。でも、きばはあたしのじまん」


「もしその牙が気持ち悪いって言われたら?違うはずなのに怖いと言われたら?」


「なんでそんなことをいうの!?あたしのきばはじまんなの!こわくないもん!!」


「私も気持ち悪くないわよ。でもシェルカの気持ち悪いって言われたわ。とても悲しい」


「………ごめんなさい」


「そうね。私もごめんなさい。でもね、シェルカ。素直はいいことだわ。ただ、その素直さが相手を気づかず傷つけてしまう事があるから気を付けなさい」


「………はーい」


 次の失敗はいつかしらね。この返事も素直に言っているだけだったらまた起こる事だし。理解してまた口にしてしまえば経験が足りないだけだし。さて、今度は誰にいつかしら。


 体を洗ったおかげでふわふわの毛並みに変身したシェルカの頭を撫でてやれば甘えるように頭を押し付けてくる。ミミルも触りたいのか、必死に手を伸ばし始めてねだってきたわ。そっとよ、と一緒にシェルカを体を撫でたらお返しにシェルカがミミルの手を舐める。驚いて手を引っ込めちゃうけど、シェルカが自分から体を擦るとミミルが落ち着きを取り戻して撫で始めた。


 本当に仲良くなったわねー。なぜか私の膝の上に乗った二人―――?が声を出して笑い出す。それは構わないのだけどミミル、弾まないで。さすがにそれは痛いわ。お返しに脇をくすぐったら二人して身をよじるように動いて笑い出す。平和ね。シェルカは父親が分からず生まれた子ども。女手一つで育てられたけど、奴隷狩りにやられて母は殺されて必死に逃げのびてきた子ども。母を殺した奴に復讐を誓っているらしいけど………今はその陰が見えない事に安堵するわ。


「そう言えばなぜ私と熊男が気持ち悪いの?」


「くまおとこ?」


「あのショックで真剣に顔の毛むくじゃらを剃ろうか考えてる大きな男よ」


「ぱぱだよ!」


「なんだ、ガトラ………えっと、ぱぱのことね!」


 そこは直さなくてもいいのよ。素直に名前で呼んでおきなさい。ほら、なんだかこっちを見始めたわ。わざわざ近づかなくていいのよ。やめてちょうだい。………どうして隣に座るのかしら?


「あのね。ホルティーナさまは………ままってよんじゃだめ?ながいよ」


「だーめ」


「う~………あのね、ホルティーナさまはにおいがしないし、ぱぱのはにんげんと、わたしにちかいにおい?がするのにどっちかわかんないの」


「―――ああ。私はこのローブで隠蔽してるからよ。こっちの人は分からないのよねー。私は先祖帰りだと思うのだけど、記憶をなくしているから答えが見つからないの」


「いんぺー?」


「いんぺーって、なに?」


「ホルティーナはいつになったら名前を呼ぶんだ?」


 熊男は熊男よ。名前を呼ばなくても問題ないのだから別にいいと思うのだけど?なに?こっちを見ないで。はい。シェルカでと抱っこしていなさいな。そして嫌われればいいわ!………シェルカ、そこは噛みつくのよ!


「い・ん・ぺ・い。そうね。簡単に言えば隠すことね」


「じゃあ、ホルティーナさまはなにかをかくすすために、いんぺーしてるの?なにをかくしてるの?」


「さあ………なにかしらね。秘密だわ」


「俺も知りたい」


 だからと言ってローブを掴まないでちょうだい。私は姿を見せる気なんてそらさらありませんから。その手をやんわり払い退ければ「どうしてだ」と言う。無粋な人。だったら言ってあげるわよ。


「女は秘密を持てば綺麗になれるのよ。持ちすぎは疑われちゃうけどね」


「ホルティーナしゃま、きえーだもんね!ミミルはすきー!」


「そうなの!?みたいっみたい!」


「いつかね」


「俺も見たい」


「貴方は見たでしょ」


「えー!ずるい!!」


 それから………シェルカの猛攻撃をくらった熊男の腕にはいくつもの歯形がついていたわ。私だけ見ていない!と拗ねて熊男の手をあまがみ。まだ力加減が出来ていないようで、多少は血が出てしまったようですけど………あまがみじゃなかったかしら?


 でもちょうどいいから回復魔法も苦手なイーグを呼んで魔法を使わせようとしたらカトレーまできて、もれなくモルフィーリがついてくるから賑やかになる。まだ警戒していたシェルカが毛を逆立ててなだめるのに熊男の腕は犠牲。さすがにこれは怒ったけど………熊男って怒らないわね。


 今後は熊男の扱いをどうするかも考えなきゃいけないのかしら………記憶が戻ればさようならとは思うのだけど。またさらに私の悩みができたような気がしたわ。あら、シェルカ―――早く人体化を覚えてちょうだい。モルフィーリは貴方の毛並みを狙ってるわ。





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