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誤字・脱字を修正いたしました。27.4.18
シェルカも一緒に暮らすようになって三日。たった三日で彼女はみなに溶け込んだわ。すごいわね。あれだけ警戒心をむき出しにしていたのに。とくにミミルと一緒にいる時が多くて一番、仲がいい。そのために私も別の事ができるからいいのだけど。
問題はシェルカがまだ獣化であることね。まだ小さい耳と尻尾を揺らしながら小さな体と手足で駆け回り、遊んでいる。好意をもった子どもには顔を舐めたりして表現を。ちょっと嫌だな、と感じれば噛みつく。まさにじゃじゃ馬な獣。まだ加減が出来ないのに噛みついてしまって後悔している図が頻繁に見られるわ。この三日でミミルとマティク以外は怪我を負ってしまっているし。全員が回復できるからいいけど………
「貴方、シェルカに一番!嫌われてるんじゃないの?」
「………まさか」
「ごめんなさい………ぱぱはすっごくかみたくなるうでなの!」
「ホルティーナ、俺は嫌われていない」
「貴方が必死になってどうするのよ」
いいから腕を見せなさい。そしていい加減に魔法を覚えなさいよ。どうしてアーテが教えているのに覚えないのよ。アーテの落ち込んだ姿を見た?熊男に一生懸命、力の限りアーテは教えているのにいつも首をかしげて不発。そもそも自分の魔力がどんなものなのか知らない、とか後々になって言うから面倒になるのよ!
そして、なぜか私に回復を求める意味がわからない。テテラにお願いしたら血が怖いって言われたんですって?ちょっと、よく考えてみなさいよ。冬支度のお肉を毛皮と食べるお肉と分けていたのは誰?ミミルとトッティ以外に私はやらせているはずなのだけど?エーラですら平気でみんなと一緒にお肉を別けるわよ。この熊男、騙されやすいわね。
しかもなぜか私の魔法をかけようとすると左右の腕のどちらかが掴まれる。まあ、そんな大した怪我でもないなら魔法は使えるわよ。でもなぜ掴むのかしら?掴む意味は?「無意識だ」て言うけど、掴んでるって分かっているならそれは無意識ではないわよ。それなのに離さないのがわからないわ。
「何か噛んでもいいような太くて固いものでも見てこようかしら?」
「え。でも、ぱぱのうでおいしいんだよ!?」
「それだと獣人が人を食べちゃうとかあらぬ誤解を生んじゃうから駄目よ。そんな不味そうなものはぺ!ってしなさい」
「でも、かみつきたい………ほんとうはホルティーナさまも、かみつきたいの!」
「手加減してくれるならいいのだけどね?………ああ、そう言えば獣族は好きな人にはお互いを噛み合うって風習があったかしら」
「ホルティーナさまはものしり!すごい!」
「これからシェルカも覚えるんだから、凄くはなくなるわよ」
そして喜んで熊男の腕をまた噛むのね。本当は好きだったのね、熊男が。この前は熊男の事を気持ち悪いって言っていたのに………熊男は人間の匂いが濃いがシェルカと同じ匂いがするらしいけど、ハーフでないらしいのよね。羨ましいんだか羨ましくないんだか………そう考える私は一瞬でも羨ましく思ったのでしょうね。
「骨ってどうしていたかしら………?」
「ぱぱのでいいよ?」
「それはシェルカの腕じゃないでしょう?それはシェルカの?」
「うん!」
「言い切ったわね」
きっと獣族と人族との違いね………たぶん、匂いを付けたから自分のものって言い切っているんでしようけど―――さて、どうやってわかってもらいましょうか。私から言わせてもらえば熊男をシェルカに押し付けたいところなのだけど………なによ。
「シェルカ、俺はホルティーナのものだ」
「………は?」
「え!?」
「ホルティーナの物だからシェルカの物になるわけにはいかないな」
意味がわからない。私はいつ熊男をものにしたの。そして私が呆けている間になにを勝手に頬に触れているのかしらねえっまったく!もう回復魔法なんてかけてあげないわよ!
本当は平手でも打ちたかったのだけど、どうせ掴まるのが目に見えているのだから私はシェルカにこう言うわ。「好きなだけ噛んでもいいわよ」と。尻尾を上機嫌にふって嬉々として熊男に突進したシェルカは遠慮なく噛みついて加減なく噛みついていったわ。シェルカだから振り払えないわよね?動けなくなった熊男をいいことに私は退散するわ。どうぞ、そこで戯れていてちょうだい。
熊男に呼び止められたけど、止まる必要はないわよね?待てと言われても。ホルティーナと呼ばれても。それは私を止めるには説得力なんかないわよ!まったく………
「ホルティーナ様って、ガトラさんには容赦ないですよね」
「………テテラはなにを言いたいのかしら?容赦がないのは始めからだったでしょう」
「それもガトラさんだけですよねー。ね、バナル」
「俺に振るなよ………でもホルティーナ様があそこまで感情だすのはガトラさんにだけですよ?」
「バナルまでなにを言うのよ。怒るときは怒っているでしょう?何も対比はないわ」
「でも、違うんですよねー。どう足掻いても、私たちはホルティーナの“ 子どもたち ”ですから。ガトラさんのようにはいきませんよ?」
「あのね、熊男を貴方たちと重ねられるわけがないでしょう?」
「だからガトラさんだけ違うのでしょう、ホルティーナ様」
………バナルまでなんて事を言うの。だから違うって………違うのは当たり前でしょう。熊男は成人してるいるし、記憶をなくしているだけだし、本当は出来るのにまだ出来そうにないと言い張るし。だいたい熊男と貴方たちが同じだなんておかしいじゃない。あんな図体の大きい子どもなんて考えたくないわ。
「ガトラさんは子どもではありませんからね。私は思うのですけど、ホルティーナ様って意外に鈍感だと思うんです」
「俺―――私もそう思いますよ。実はホルティーナ様、警戒とか言っておきながらガトラさんの事ちゃんと見てますよね」
「バナル、騎士を目指すなら一人称の固定と礼儀をしっかり踏まえなさい。―――私は彼を警戒対象としか見ていないわ」
「ホルティーナ様がそう言うなら、そうですよ」
「ええ。ホルティーナ様がそう、言うのなら」
「………………なんだか負かされた気分だわ。成長が見れて嬉しいこと」




