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誤字・脱字を修正いたしました。27.4.18

 しばらくして熊男に記憶と言うものが戻ってきたらしい。体の記憶ですけど。熊男が体を動かせば動かすほど早くなり、この中で一番、剣に筋のあるバナルが敗け始めてきて………今では熊男が指導するまでにいたる。


 始めの頃は受け止めてるぐらいだったのに………残念な事に力量の差が出始めて今では剣の指導は熊男にもやらせるはめに。もちろん、私もやるのだけど。フォローする私の身にもなってほしいわ。


 確かに熊男の剣技はすごいのよ。やはりあの身のこなしは狙撃隊で間違いはなかったのだけど、私がバナルたちに教えた型が王国のものにしていたのがいけなかったのかその型を見て思い出し、実践で我が物にしていたから指導をやらせてみたのだけど………熊男は感覚派らしく、「こう」「そしてはっ!と」「ぐっと引いて」「だん!」………


 私の口癖になりかねない「馬鹿」を最近、多く口にしてると思うの。そんなのでわかるのは同じ感覚派のカトレーとイーグぐらいよ。熊男のあれだけでわかるんだもの。その分からない単語を私が軌道修正してバナルやロロに教える。面倒が増えたとしか思えないわ………でも、カトレーたちにはちょうどいいのよ。


 指導者としてはいいの。やる気があるし子どもたちに怪我もさせないように木刀は絶対にあの子たちに向けないようにしてる。ただ面倒が増えたとしか思えないのがとてつもなく私のやる気を削ぐの。


「で、なんでこうなったのかしら?」


「………わからん」


「だって気になるもん!」


「熊パパと、ホルティーナ様はどっちが強いかな!?」


「ホルティーナ様も強いからな!熊パパは油断するなよ!」


 例のごとくモルフィーりを始めカトレーとイーグが盛り上がるこの図式………ああ、そうよ。私があまりにも「だん」とか「ぐっ」とか「はあ!」としか言わない熊男にイライラして手にちょうどあった木刀が熊男の頭部に吸い寄せられたんだったわ。


 もう、本当にね。本当に………熊男のためじゃないけど、少しでも多く情報を得るために王国の方にでも耳をすまそうかと考えていたのよ?でもやはり働かざる者食うべからずと誰かが言うじゃない?でも、あまりにも指導が下手すぎて我慢出来ないのよ。―――手が滑ったとも言うわ。


 けどしっかり受け止められたのよね。そして反撃されたから受け流してやったわ!本当に腹立つ奴よねっ。それを見たお騒ぎ大好き三人が「どっちが強いの?」なんていい始めて戸惑っている最中。まとわりつく三人が私のローブと熊男の足にしがみつくものだから動けない。そして、誰も助けようとはしないのよね。私は悲しいわっ。


「私の方が弱いわよ。それより素振り増やされたくなかったら早く始めなさい。回数を倍に増やすわよー」


「駄目!あ、でも俺たちが素振りしてる間に決闘出来るよね!」


「あ、そっか!それなら大丈夫だ!」


「そうだね!よーし。早く始めなきゃ!」


 こう言う時は物分かりがいいのよね。そして、どうしてそんな発想ができるのか不思議だわ。並んでるみんなのところに自分達も並んで振り始める。もう………みんなだんだんと重みが増してきたわね。


「やるか?」


「やりません。負けるに決まってるわ」


「そうか」


 なぜ残念そうに言うの?やらないったらやらないわよ。木刀を軽く振ってこっちを見ないでちょうだい。やらないものはやらないわ。


「ホルティーナはなぜ騎士の型を知ってるんだ?」


「ルールを破らないで。余計な詮索はしないことよ」


「そうだったな。しかし………ホルティーナのは(剣が)柔らかいな」


「………………そう」


「ああ。(受け流しの)滑りもいいし何より(剣の衝撃を)抑えるのがうまい」


「………………?」


 嫌だわ。何を言っているのか全然、理解できない。私のは柔らかい?何と比較してるのこの記憶喪失が。滑りもよくて抑えるのがうまい………何を言ってるのかしら。でも正直に熊男に聞くのも嫌よ。でも気になるのよね。なんだかまったく分からないけど。私に関する事よね?


 滑りがいい滑り………口?嫌だわ!この前の思い出したっ!なしなし!!あれは忘れるようにするのよ!!事故よ事故!!そ、それでなにより押さえるのが上手いらしいわね!!―――なにこの意味不明なもの。本当に私に関わりがあるの?


「ホルティーナは強いな」


 今度はなに?


「今まで独りでだろう?」


「子どもたちがいるじゃない。変な事を言わないでくれる?」


「でも、お前を抱いていると俺と同じ気配がするな」


「―――本当、どんな感覚してるのよ。もう一度殴ってあげましょうか?今度は遠慮しないで。ほら、記憶がなくなっているのでしょう?私の全力でやれば戻るかもしれないわよ?」


「ホルティーナの腕が折れないか心配になるので遠慮しておこう」


「あら、心配しなくても回復魔法がありますのでご遠慮なく。誠心誠意、真心を込めて全力で殴ってあげましょう」


「………俺も全力で受け止めた方がいいのか?」


「やめてちょうだい。なんだか肌寒くなってきたわ」
















(なあ、ガトラさんってもしかしてホルティーナ様の気を引こうとしてるんじゃないか?会話が怪しい………)


(そんなの考えるの、バナルだけだから)


(でもアーテ。ガトラさん、だいたいホルティーナ様の横にいない?この前なんか二人は抱き合ってたよ?)


(………テテラ―――私、確認しにいってもいい?)


(待て、早まるな!!僕は大人の事情に関わってはいけないとここ最近よく理解したからアーテは駄目だ!)





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