46
慌ててR15設定にすることにしました!
一応、念のためです。
誤字・脱字を修正いたしました。27.4.15
『契約を交わす―――』
意識を私の魔力に。それから魔力を外に。対面した熊男の手を取って契約の言葉を紡ぎ出す。契約内容はすでに話してあるからスムーズに口から紡がれ、持っていた私の魔力で染めた魔石が淡く光り出す。まだ、言葉は止まらない。
しかし、その言葉も止まる。私の魔石は粉々になって散り、そして舞ったから。粉々になった魔石は私と熊男に降りかかるように舞う。これで魔力の『束縛』になり『切っても切り離せないもの』で結ぶの。
そして熊男は私がつかんでいる左手と逆の、右手を口元に。一瞬、なにをするのかわからなかったが、カリッと小さな音が聞こえたと思えば彼の親指から一筋の赤か流れる。―――ナイフじゃなくて噛みきったのね。よくやるわ。
それを握っている私の手の甲に押し付けて両手で繋いでる手を握る。本当は暴れたいけど、余計な事をすると疲れてしまうので我慢よ。確認して次は名前を繋げば終わり。その『名』が魔力で刻まれて私たちを纏えば、後は私が終了させればいい。―――いける、かしら。
『契約の結びは滞りなく行われた。『ホルティーナ』と『ガトラ』の契約を、今この場を持って繋ぎ、等しく終焉まで努めよ。これを契約とする』
終わりを告げれば舞っていた粉が私と熊男をまとう。淡い光りで熊男が変で面白い。なんだか笑いそうになったが、私にはそんな気力がなくなりかけている。これはまずいわ―――…
無理矢理に二つの偽名を繋いだためにごっそり魔力が持っていかれた事を意識させられる。眠れば回復するけど、私が魔力の枯渇寸前まで使うと三日、四日は眠らなきゃいけない。それはまずい。子どもたちが怒るし、熊男をどうするか悩む。
バランスを崩した私は握っていた手によって引っ張られて熊男の腕の中に収まった。離れたい。―――離れたいけど、初めて聞く誰かの心音に微睡みが襲いかかってくる。早く、魔力を奪わなきゃ………
そのために私は熊男から魔力をもらうとも言ったのだし、子どもたちに無茶はしない約束だってしてる。駄目、眠っちゃ駄目。ああ、もう。熊男もなんとか私に魔力を送りなさいよっ。
「………怒るなよ………ホルティーナ」
なにをしたって怒ってやるわよ。そんな軽口も聞けないほど、私は眠いらしい。駄目駄目!眠っちゃ、駄目っ!?はあ!?
「ん、んっ―――!?」
「っ、」
な、なななななななんて事っ!?あんた馬鹿でしょ!?馬鹿なんでしょねえ!?そりゃあこのやり方が一番効率、確かな方法だけどっ!魔力を渡す一番手っ取り早いやり方だけどなんっで!なんで貴方が知ってるの馬鹿馬鹿馬鹿っ!!!!私は普通に補給できればいいのよっ!馬鹿っ!
普通の魔力を渡す行為は相手にふれ合って時間をかけてゆっくりと送り込む。その理由は魔力が違うから。魔力は他人と自分の物が同じものではない。多種多様に魔術師に馴染み、作り上げ、個人の魔法が出来上がるのよっ。他にもやり方は当然、ある。
一番はやっぱり薬ね。マナポーションを含めばそれなりに回復するから冒険者たちがよく手にしてる。でもあれね、まっずいのよ。草の調合だから泥臭くて苦くてドロドロしていて草の味。そしてそれは一日中、ずっと舌に残る。それに調合するものが高いから値段も跳ね上がる。馬鹿みたいに高いのよ。
作れるけど材料もここにないし、私は手から魔力をもらうつもりだったから用意もなにもしてなかったのよっ!なのにっ!なのにっ、なぜ熊男が禁断と言われてる方法を知ってるのよ馬鹿っ!口移しで送ろうなんて普通は考えないわよっ!馬鹿っ!
確かに、これは一番効率よく魔力を譲渡できる。体内にあるものだったら血でもいいの。体内のものは一番魔力が染み付いているから、回復的にも一番高い。そしてく、口移しは、相手の魔力に染まった物と干渉するから伝わりやすくって回復が早い、けど!このやり方はもう禁忌の取り扱いなのよ!こんなの男女の仲でしか出来ないでしょ!だから今では誰も知られない方法なのにっ!!
「はなっん、っ」
「ん。………もう少し」
いらないわよ!もうじゅうぶんに決まってるでしょ!!私が弱ってるからってなんて事をっ。これなら噛みついて血を飲めばよかったわ!でも血は、そもそも飲ませるなんて人が知れるのでこれも禁忌の扱い。それに、魔力の差があって弱ければ回復も弱いし、強ければ回復も強いけど、私が生まれる前に一人の魔力が高い魔術師が血を取られて死んでしまったって言う記述っが………
「ん―――っ、こんの!」
「っ、と」
あっさり止めてんじゃないわよ。ちょっと今から天変地異の一つでもなんでも呼んであげるから外に出なさいよ外。熊男なんだから家じゃなくても外で生活できるわよね?そうよね?大地を割るからその地下で生活してなさい。上から水を降らすし風で食料も届けてあげるわ。気温も暖かくしてあげるわ。それなら服なんて要らないわよね?大丈夫よ。遥か大昔に人は服を着ずに過ごしていたそうよ。これで衣食住はじゅうぶん事足りるでしょう?
「………戻った」
「本当に最低。馬鹿。馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!変態っ!なんであんな事したのよ!!記憶がないくせにっ!」
「ホルティーナを抱き止めた時に少しだけ甦った。殿下から大切な人にしかできない魔力の譲渡方法」
「なんて都合のいい頭してるの!?ちょっとその殿下を見つけ次第一発殴らせなさいよっ。そして貴方も殴られなさいよ!いっそ毛を全部むしってあげるわ!!」
「………それは勘弁してくれ。痛そうだ」
「私の下僕で契約すればよかったわ!」
「………それもいいかもな」
「変態!!馬鹿!!」
「魔力は戻っただろう?変態ではない」
「変態ではないとなると貴方なんだと言うの!?熊しかあり得ないわっ―――え、魔力が元に戻ってる………」
は?あり得ないわよ。




