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誤字・脱字を修正いたしました。27.4.12

「まず、離しなさい」


 まだ緩めない腕にタップを軽く。それでも緩まないこの腕にため息を一つ。まったくときめかない。すっぽり男の腕におさまってると言うのに………まあ、人間を信じていないから恋なんてしないのだけど。封じられてるのが痛いわよね………


「駄目か?」


「女が必要なら出ていきなさい」


「………違う。なんだ?………ホルティーナの回りは懐かしい」


「………………今日はそっちのベッドでも使えばいいわ」


 冷たくあしらっても打撃がない。本当にどうすればいいのかしら………その前に私はもっと抵抗するべきよね。いまさらだけど。


 緩まってはいる腕。でも手首だけは掴まれたまま。何がしたいと言うのか。もういいわ。このままで耳を済ませましょう。一応使うことを言っておけばなにもしない。離す気がないのならそのままにしておけばいい。ただし、変な事をするならば容赦しなければいいわ。


「魔法を使うわ。話しかけないで」


「………………わかった」


 て。ちょっと。抱き抱えないでよ。なんなのこの熊男っ!安心して束の間じゃない!!ってこの腕太すぎだわ!!~~~っ………………………………もう、いいわ。今日の分を終わらせましょう。熊男は忘れるに限るのよ。


 ゆっくりと魔力を耳に。今日も結界付近の音をまず拾って、そこから範囲をだんだんと広げていく。なんだか騒がしいわね。結界付近に意識を集中させれば男の声か聞こえた。そうね………魔物を探しているのかしら。


『ビークイーンなんて本当にいんのかよ』


『目撃情報があったんだからいるんだろ?』


『けどよ、こう暇すぎだぜ』


『調査だけで金がもらえんだ。適当にしておけよ』


『そうだなー。あー、早く寝てー』


 ビークイーンは蜂よね。確か大きかったと思うからすぐに見つかるはずだけど―――それがこの森にいるのかしら。明日調べてこの熊男にやらせようかしら。狙撃隊なら早さを鍛えているはず。こんな巨体でどんな早さを出すのか分からないけどね。本能で倒すのかしら。


 この森にはもう気にする音がないのでそこからじょじょに町の方へ意識を伸ばす。ねているからみんな静かね。賑やかなのは酒場くらいかしら。なにか騎士の情報を漏らしてくれるとありがたいのだけど。


『俺たちの勇姿にっ!かんぱーい!!』


『ぎゃははははは!!勇姿つってもてめぇーは泣き叫んでたじゃねぇか』


『んなわけねーだろっ!ベアバングがいきなり出てきて応戦に焦っただけだっつーの!』


 これはどうでもいい話ね。でもベアバングって熊よね………………確かあの魔物、この森にいたと思うんだけど。冬のお肉にちょうど良さそうね。バナルとロロあたりを連れて狩ろうかしら。


 後は宿に聞き耳をたてて終わり。まあ、寝静まっているのだけど。誰も喋っていないなら、そうなのよね………今日は範囲を広げすぎたのかしら。少しだけ熊男に体を預けてしまった事に後悔する。よけいに腕が絡み付いてきたわ。


「寝るわよ。ここで寝るなら貴方は床。反論は認めないわ」


「………………わかった」


 本当に分かってるんでしょうね?ベッドと言ったけど前言撤回。またこの前みたいにいつの間にか抱えられてるなんて嫌よ。ゆるりと離して腕から早々に抜け出してベッドに潜り込んだ。ローブはそっち、と指差せば従う熊男。ベッドを背もたれにして寝る姿は昨日と一緒。


 それから私は体に魔法をかける。言うのを忘れて手首を掴まれたけど、説明すればするりと指が緩まる。安眠魔法なんて、ないのだけどね。寝られれば安眠かもね。熊男にかけて寝れば明日の朝でもまだ寝ているでしょう。調節が難しいのよね。


 やけに素直に従って面食らったけど………私の安眠が出来るならと割りきる。明日はとりあえずアーテと………ロロとね。布を買ってきてもらって他の子達はそうね、熊男の相手でもしてもらいましょう。その次の日にバナルとテテラで食料を少しと………やる事はいっぱいあるわね。





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