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誤字・脱字を修正いたしました。27.4.12

 大変。事件だわ。


 名前も決まったところでみんなの文字の練習を一通りやった後は家で少し遊んでた。とくに子どもたちは熊男に猛攻撃で遊ぶ。私はそれを遠くに見つめておいた。ついでに年長組のアーテ、バナル、テテラ、ロロに私の情報を教える。


 私からみた記憶喪失の熊男は王国騎士で狙撃隊の隊長クラスの腕っぷし。貴族であり、今みて思うことはそれほど子どもと接する機会がなかったのかたどたどしく子どもを持ち上げる仕草から独り身であろう事。書き出されて単語を見せて『アヴリーベ』について調べている事を伝える。


 この『アヴリーベ』に関してはこの場所とアヴリーベが関係ないと少し濁らせておく。なぜならこの名前は十五歳になった少年少女たちへの、私が最後にあげられるプレゼントよ。


 私はここを出ない。出る気はない。姿も隠す。ハーフエルフの伝承は国が流している言葉で教えている。耳の先がエルフよりも短いが人間より尖ってるこれは迂闊な事はできないから。ここではプレゼントなんてたかが知れてる。私が渡せる唯一のものなの。プレゼントを先に教えたら、面白くないでしょ?


「さっき私が質問していた時、なにか感じた?」


「私は特に………」


「僕もです」


 そう………危害がない事に喜んでいいのやら、追い出せない事に腹ただしいやら、納得いかないわ。でもまだ警戒は解かない。解くわけにはいかない。だから夕食の時に料理でもさせましょう、と言う事にした。一種の賭け。バナルと私が見張るから包丁捌きを見てみることにする。


 結果は………なんと言うか、壊滅的だったわ。むしろ包丁が小さくてやりづらかっただろうと思う………そんな訳ないわよね。お願いした芋があそこまで小さくなるなんて誰が思うの。削るんじゃないわよ。削ぐのもなにか違うわっ!


 結局、熊男を引き抜いて子どもを眺める事にしたわ。熊男は図体がでかいからあの狭い料理場にいるだけで邪魔だもの。余計な事をさせない方が懸命と言うものを知ったわ。


 それから『パパ』と呼びながら子どもたちと団欒。いつもよりちょっと嬉しそうに食べるのがなんだか申し訳なく思えた。後はお風呂に入って就寝するだけになった時もまた一騒動。誰と入ったって同じだと思うのよ。でも熊男大好きのイーグとモルフィーリとカテレーの今日は違うらしい。一緒に入ると聞かなかった。


 イーグとカトレーはまだいいとしてモルフィーリが大変だったわ。女の子なのだからそんな素肌を見せるものではないのよ。言い聞かせるのにどれだけ苦労した事か………熊男をエサに入ってもらえば後は楽だったけどね。肩車なら大丈夫よ。


 それからさあ寝ましょう、で事件よ。みんな寝静まっての事件だわ。どうすればいいのこんな奴。私のお風呂はみんなが寝静まってから。そのままみんなが寝ている二階へあがり自室へと入っていつものように音を拾ってから寝るのよ。油断してたのよ。


 お風呂あがりで気分がよかったから熊男を忘れていたのは否めない。後ろを付いてきていたなんて気づかなかった。むしろこの熊男は気配を消していたもの。プロなのか本当に気づかなかった。


 叫ぼうにも私の口はすでに熊男の手のひらに塞がれていた。後ろから拘束されればなにも出来ない。しっかり手首は固定されている。最悪である。


「聞きたい事がある」


「………」


 私もこの状況の経緯を聞いてやりたいわ。さっさと離しなさい。


「騒がないでくれ」


 ローブを着ていてよかった………小声で囁く熊男はわざわざ私の耳元付近で言うのよ?鳥肌がたってしまいそうっ。とりあえず頷き返せばゆるりと口を塞いでいた手が退けられた。体の拘束はまだ。負ける気は、ないわよ。


「今夜、俺はどこで寝ればいい?」


「………………………………………………はあ?」


 んっ、悪かったわね!驚いて素で声が出ちゃったのよ!!だから口を塞ぐんじゃないわよ!!こんな夜中に大きめの声を出した私が悪いと言うの!?違うっ。ここに熊男がいる方な悪い!ちょっと抵抗してみればあっさり抱えられた腕に閉められて私の力は敵わない事を思い知らされた。もう勘弁してほしいわ。


 折れるんじゃないかと思うくらい痛くて思わず力が抜ける。それでも私も支えるように抱き止める熊男に腹が立った。熊男が解放すれば私はこんなに暴れないと思うわ。


「子どもたちが起きる」


「わかってるわよ!いいから離しなさい!」


「………このままで」


「離しなさい」


 小声は全く迫力がないわ………まったく意味が分からない。なにこれ、どうしてこうなったかしら。………ああ、そうよ。寝る場所よね。忘れてたわ。だからってこれはないわ。


「居間で寝てちょうだい。明日には用意するから、今夜は居間よ」


「………………」


「文句なんて聞きません。居候でしょう」


「………なにか………………ホルティーナといると、思い出せそうなんだが………」


「どこの誘い文句よ。いいから離しなさい」


 今日の音が拾えないじゃないっ。




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