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誤字・脱字を修正いたしました。27.4.12

 名前を決めるだけで、対して時間を取らなかった。と、言うのも、みんなどれがいい?と言う話しで『パパ』がなぜかやんちゃ組で推すからよ。なぜ。なぜなの。こればかりは私には理解でき………………なくも、ないわね。


 親に見放された子どもたちだもの。親を恋しいと思うのは当たり前。都合よくなんでも呼んでいい大人の男がいたら、その男が自分に暴力を振るわないとなれば………恋しくもなる、か………


「だからと言って、私は『ママ』と呼ばないの。それだと私がこの熊男と夫婦になっちゃうでしょう?」


「ホルティーナ様は、『ママ』嫌なの?夫婦は駄目?」


「夫婦ってパパとママだろ!ちょうどいいじゃん」


「そんな都合のいい夫婦ではありま、せん!私はホルティーナの名前好きなの。私から好きなものをとらないでちょうだい」


「ほーら、ホルティーナ様は嫌な事を無理矢理させては駄目よ、と教えられてるでしょう?イーグとモルフィーリは悪い子だねー」


 ああ、テテラ。そんな意地悪な顔で言って………助かったわ。もう、この義理兄妹も十歳になるのに落ち着きがないわね。―――この子達は暴力をふる親から逃げてきた子ども。それなりに抵抗があると思ってたのに、どうやって好奇心が上回るのかしら。


 ………二人は兄妹と言うけど、本当は地の繋がりはない義理兄妹。同じ境遇で同じ年。異性同士だけど思いは一緒。この子たちが飛び込んできた時はすでに手を繋いで私の前にやって来た。経緯は聞いてないけど………いらないわね。『生きたい』と思う想いは一緒なんだもの。


 今でもテテラに手を引かれて単語の練習をさせている。あの二人はとても賑やか。テテラ一人で大丈夫かしら………あ、イーグが逃げた。でも後ろにいたエーラとぶつかってああ、泣きそう!?でもアーテが気づいてくれてわ。もう―――心配はさせないでほしいものね。


「ホルティーナしゃま、ホルティーナしゃま」


「なあに?どうしたの?」


「ぱぱって、よんでいいの?」


「ああ、ちょっと待ってね」


 一応は断っておきましょう。熊男に『パパ』って認識させなきゃ振り向きもしないわ。


 まだ自分が書き出して紙を見つめてぼんやりしてる。思い出そうとしているのか、それはわからないけど………まあ、いいわ。さっさと済ませて勉強始めなきゃ。もうぐだぐだだわ。


「さっきの、聞いていたわよね?」


「ああ。その名前でも、何も感じないから平気だ」


 ………どう読めと言うのよ。抵抗がない?記憶がなくなる前で『パパ』はなかった?さっぱりわからない。別に私はいいけど『パパ』と呼ばれるのはこの熊男なんだから、気にしないわよ。


「他にも『父上』とか、『お父様』『お父さん』『親父』『とうちゃん』―――何かないの?」


「………ギリギリ父上、か?俺が口にするとやけにしっくりくる」


 じゃあ、貴族は確定でしょう。平民が『父上』なんて呼ばないもの。


「それと―――そうね。私は貴方の事を『ガトラ』と呼ばせてもらうわ。別に構わないでしょう?呼ぶ機会があるかは別で」


「構わない」


 そう、じゃあそう言う事にしておくわ。話はこれで終わり、と言うことでミミルに言うわよ、と伝えると華やいだ笑顔が咲く。嬉しいみたいね。でもすぐに呼んだり近づいたりはしないみたい。慣れたらその内飛び付いていくのかしら?


 それからお預けしていた抱っこをして他の子達の文字の指導をしていく。アーテは教えるのがうまいのだけど打たれ弱い。外の世界に出て気後れしないといいのだけど………





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