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誤字・脱字を修正いたしました。27.4.11

 裏手の扉から出て、開けた庭に壁沿いの花壇。周囲は子どもたちが駆け回れるほどの広さに、家から少し離れたところに井戸。そこから一番近い木と木の間に昨日のシーツや衣服がぶら下がっている。向こうは森になっていて、そのまた向こうに川。さらに向こうは山となっている。


 だがしかし、そこでみた光景はちょっといつものと違った。扉を開けた瞬間、いつもの場所にいつものように足を運んだ私は開けた事への後悔というか、軽蔑と言うか、羞恥と言うか………とにかく色々混ざって時が止まった。


 映る視界の先は井戸。そこにさっき置いたたらいと、熊男がいる。それはいい。ただ、なんの心構えがなかった私にはこの状況の意味がわからなかった。


 天を仰いで、熊男には小さいたらいの中に胡座をかいてぼぅっとしている。私の目には腰から下は見えないが、はみ出た足はむき出しの上半身と同じ素肌としか分からない。


 つまり、この熊男はどこか一点を見ながら素っ裸でたらいの中に鎮座している。私に気づかずに………声をあげそうになったわ。こんなところで声をあげたらただじゃすまない。いくら顔をローブで隠しているとはいえ、見えるものは見える。透視魔法使ってるもの。


 しかもこちらに気づかないでずっとあのままの体勢だ。むき出しの上半身は寒くないのかしら?まだ暖かいと言えば暖かいがもう春も夏も超え秋になる。油断しているとすぐに風邪を引くでしょうね。


 もしかしてあの固そうな筋肉のおかげ?ムキムキとまていかないけどしっかりとある固そうな二の腕。背中にも筋肉が張り付いているらしく、少しだけボコボコしてる。逞しい胸板なんてもう訳が分からない。きっと腹筋は割れていると思う。頭は相変わらず顔の部品がいまいちどこにあるか分からない毛むくじゃら。やばいわ。


 なんだかここまで来たら私は逃げた方がいいような気がしてきた。だって相手何も着ていない。私はハーフエルフのだけど女よ。男の裸体を見て嬉しいとも思わない。あの熊男が私に気づいたら最後よ。振り向いた瞬間に私は叫ぶ。間違いないわ。


 落ち着きなさい、と何度も頭で唱えてゆっくり閉めた。大丈夫よ、目はあっていない。音も静かに閉めた。これは私の管轄害だわ。ちょっと足取りが重くなったのは熊男のせいよ。


 とりあえずバナルを呼んで熊男の面倒を見させる事にした。なにかあったら叫びなさい、警戒は取っては駄目よと言い残して裏手の扉の前で待ってる。


 なんだか扉の向こうの庭が少しだけ騒がしくなったわ。バナルは大丈夫かしら。でもなんだか怒ってるような気がするのよね。まるで子どもたちに叱るような………扉一枚でけっこう聞こえないものなのね。耳を少しだけ強化しようかしら?


 でもそれって私が変態のような気がするのよね。固定の人の内々を聞くなんてちょっと私が怪しいわ。そう考えるとこれは止めてバナルを信じるしかない。頑張って、バナル。


 しばらく扉の向こうの声は収まらない。なんだかバナルが疲れきった感じが声からして分かるのだけど………呼んでもないし、大丈夫よね?本当に大丈夫、よね?なんだか見誤ったかしら………


 それでもしばらくすると二人が私の前を隔てていた扉から出てきた。疲れきった顔のバナルがなんだかとり憑かれたように呟いてる。


「ありえない………何あれ………ありえない………………僕ってもしかして………?てかなんであんなに無防備に悠長にのらりくらりとっ」


「お、お疲れさま、バナル。ありがとう」


「いいえ。これはさすがにホルティーナ様には無理な話です」


「嫌な予感しかしないから詳しくは聞かないわ。バナルがいて助かったもの」


「ははは………もう勘弁してくださいね」


「なんだかすまない」


 熊男が謝りだしたわ。なんだか嫌なんだけど。それほどなにかがあった?いいえ、気にしては駄目よ。なんでか嫌な感じが伝わってくるのだもの。


 バナルを先頭に熊男を挟んで居間へ。これから文字の練習になるのだけど、まあ、自己紹介は必要よね。記憶喪失だと言うことは、一応伝えておきましょう。


 ミミルが怖がるからまずは部屋の前で熊男を待機。バナルと私で子どもたちの気持ちを整理させ、ミミルを抱き上げた。まだ不安みたいね。熊男を見て泣かないかしら?


 三歳ならそろそろ自立心が芽生えてくると思うのだけど………みなが熊さんや熊がと言えば握る手に力が入ってくる。ここは一番離れたところで待機ね。熊男が入ってくる扉より離れてバナルとアーテに声をかけてもらう。


 改めて熊男をみなに見せるのだけど………ああ。完全に三人の子どもが嬉しそうに飛び付いてしまったわ。熊男はそれを難なく受け止めて短く「よろしく」。私が適当に補足して挨拶終了。それで………いいの?ああ、そう言えばこれから熊男をなんて呼べばいいのかしら。





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