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誤字・脱字を修正いたしました。27.4.12

 とりあえず―――午後からは文字の練習をかねて熊男の名前を決めることにした。名前も記憶にない、と言うから子どもたちに好きな名前を自分で書き出してもらう。字がかけなかったら私と年長組が教えていく。


 ついでに熊男に思い付く限りの気になる単語を書き出してもらった。記憶は記憶でも生活習慣的なものはしっかり覚えていて、自分自身などの生い立ちとかはわからないと言うじゃない。とりあえず何か書いてれば思い出すかも知れないから書きなさい。


 でも熊男はまだ信じていないの。とりあえず反応を見るために『王国騎士』『狙撃隊』『魔術師』この3つを書き出して見せてみた。でも失敗よ。なんで気づかなかったのかしら………


 毛むくじゃらの顔で表情がわかるわけないじゃない。体のどこかがほんの僅かに揺れたとしてもそれで疑わしいだけ。結局この熊男から「なんとなく、知ってる」の曖昧な言葉をもらったわ。今度はなにで調べようかしら。


「ホルティーナ様!『ま』ってどんなだっけ?」


「『ま』はこうよ。―――はい、書いてみなさい」


 トッティは考えるのが楽しいのね。熊男なんか無視して一生懸命考えてる。でもどんどん書き出していく文字が『くま』とか………………『くまだん』『くまじ』『くまと』『くくま』『くまま』………熊は外せないのね。


 それを見てちょっと気になるのがカトレーたち。トッティと同じ考えだろうとしか思い浮かばない。みんなの見て回るふりして覗いてみると…………


『くんま』『くま』『くまさん』『くるま』『くはま』『くろ』『くろろ』『ちゃいろ』『おっきいくま』『くーま』『くまくま』


 なんと素晴らしい連帯感。『くま』でしかない。これだけは同情してしまうわ。もういっそ『くまさん』でいい気がしてならないわよ。年長組もほとんど苦笑いを浮かべて文字を教えているわね。


 でも普通に名前と呼べるのはテテラとマティクだけ。『マルク』『ディドン』『ガトラ』『ベンフォード』『アルベス』『フェクト』『デイック』『バトス』『トト』『セル』『ノア』『オッサン』………………マティクは素直ね。オッサンでもいいと思う。


「はーいみんな。ちょっと待ちなさい」


 手を鳴らして注目してもらう。『くま』は熊でも名前にそれを拘らせるのはちょっと駄目だと思うのよ。お願いだからもう少し創造力の範囲を広げてちょうだい。


「今から『く』と『ま』の文字を使わないで名前を考えましょう」


「えー!それじゃあ熊の名前決められないよ!」


「カトレー、いくらなんでもそのまますぎよ。まさか鳥のお世話をする時に名前を『とり』って呼ぶわけにはいかないでしょう?たくさんいたらどうするの」


「とり1!とり2!」


「だ・め。名前って大事なのよ?カトレーも番号で呼ばれたい?その場合は人間1ね」


「僕にはカトレーって名前があるもん!!」


「ほら嫌でしょう?だから名前を考えてあげて。………イーグと一緒に考えてもいいわ。モルフィーリもテテラと一緒に考えてみなさい」


「はーい」


 これで大丈夫………よね?テテラと一緒にやっていたマティクにはエーラが付いたみたいだし。なんだかこの名前はどうしてか聞かれてマティクが戸惑っているけど―――「思い付いたから」って。そう、エーラはそれで納得しちゃうのね。二人がそれでいいならいいのよ。それじゃあ私はトッティとミミルね。ミミルはまだかけないから私が見本を書いてあげるわ。みんなのを見て何か思い付いた?


「………なんでもいい」


「そんなに嫌?」


「んーん………………じゃあ、ぱぱ」


「………………ぱ、ぱぱ?」


「おとーしゃんは、や」


「そうね。お父さんは嫌よね。でもパパはいいの?」


「うん」


 え、ミミルどうしたの!?とりあえず書いたけど………満足した風に顔を綻ばせてその文字を辿々しく書いてく。文字にはなっていない。でも嬉しそうね。トッティも『パパ』が気に入ったらしい。こちらもにこにこしながらその文字を書いていく。


 え?





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