※洗濯の件、茅視点(番外編)
※カッコイイ茅は居ません。気持ち悪いです。許してあげてください。
洗濯物は、いつの間にかつむぎに任せるようになっていた。
もちろん最初は自分で洗っていた。
男の下着まで触らせるのは失礼だと思っていたし、つむぎに余計な手間をかけたくなかった。
でも、ある日「つむぎがやってくれると嬉しい」と口にしたら、彼女は本当にやってくれるようになった。
——悪いな、と思いつつ、正直めちゃくちゃ嬉しかった。
つむぎの手が、俺の服に触れている。
洗剤の匂いと一緒に、彼女の気配が染み込んでくる。干されたシャツを畳むとき、つむぎの指の跡が残っている気がして、胸がざわついた。
ただ、下着だけは遠慮してもらっていた。
「いいよ」と何度も言った。
つむぎのきれいな手が、俺の下着に触れるなんて……想像しただけで、頭がおかしくなりそうだったから。
なのに。
ある日、つむぎが俺の前で聞いた。
「二人の服、一緒に洗っていいですか?」
一瞬、呼吸が止まった。
「いいのか? 女性って、そういうの気にするのかと思ってた」
つむぎは淡々と答えた。
「人によりますよ。私は気にしません。別に汚れるわけでもないし」
……気にしない、だと。
俺の下着を。
つむぎが。
一緒に。
頭の中が真っ白になった。
嬉しすぎて、どうしていいかわからない。
こんなこと、誰にもされたことない。誰にもされたくなかった。
つむぎにだけ、されたい。
しばらく黙ってから、やっと声が出た。
「……ありがとうな」
それしか言えなかった。
本当は「ありがとう」じゃ足りない。
「俺の全部、つむぎに触ってほしい」とか「お前の匂いがする洗濯籠が好きだ」とか、もっと気持ち悪いことを言いたくなるのを、必死でこらえた。
それからというもの、つむぎは本当に俺の下着も勝手に洗うようになった。
洗濯籠に放り込んであるものを、何も言わずに一緒に回す。
俺はそれを知っていても、止めなかった。
止められるわけがない。
むしろ、洗濯が終わったあとに畳まれたシャツを見ると、胸が熱くなった。
つむぎの手が触れた後だと思うと、袖口に顔を埋めたくなる。
実際、一度だけやった。誰も見ていないとき。
つむぎの洗剤の匂いと、わずかに残る彼女の気配を吸い込みながら、「好きだ……好きすぎる……」と小さく呟いた。
俺は、完全につむぎにやられていた。
下着まで洗ってくれる、つむぎ。
「気にしない」と平気な顔で言ってくれる、つむぎ。
俺の私物に、当たり前みたいに触れてくる、つむぎ。
——つむぎ。
お前、俺をどうするつもりなんだ。
こんなに幸せにしておいて、責任取れよ。
そう心の中で呟きながら、俺は今日も、つむぎが畳んでくれたシャツを、大切にクローゼットにしまった。
お粗末様でした。




