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堅物女子がどろどろに甘やかされて落とされるまで  作者: 花依はな


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13/13

※エプロン眼鏡はずるい(番外編)

※カッコイイ茅はやっぱりいません。許してあげてください。

今日は俺が遅くなると伝えていた。


「たまには私作るよ」


つむぎがそう言ったとき、正直かなり嬉しかった。

いつも俺が飯を作るのが当たり前になっていたから、彼女が「作る」と言ってくれただけで胸が熱くなった。


帰宅して玄関のドアを開けた瞬間、いい匂いがした。

煮物の甘い香りと、炒め物の香ばしさ。


そして——


「おかえり」


キッチンから、つむぎの声。

振り返ると、彼女がエプロンをつけて立っていた。

いつもの淡々とした表情。


でも、その上に……メガネ?


俺の思考が、一瞬止まった。


つむぎは普段、コンタクトだ。

メガネなんて、ほとんど見たことがない。

なのに今日は、黒縁のメガネをかけている。


エプロンの紐が腰で結ばれていて、少しだけ胸元が強調されている。

くいっと眼鏡を上げて、心配そうにのぞき込んできた、その仕草全部が…


——エロくないか。


頭の中で、即座にそう思ってしまったが最後。


まずい。


おかえりって言われただけで嬉しいのに、その姿で欲情するなんて、最低だ。


「……どうしたの。ぼーっとして」


つむぎが首を傾げる。

メガネのレンズ越しに、俺を見ている。


その視線が、さらにだめだった。


「いや……その、メガネ」

「あ。玉ねぎ切ったら涙が止まらなくて。コンタクト外したの。眼鏡しかなかったから」


淡々と説明される。

理由は至って普通。

ただの生活の一部。


なのに俺は、完全にやられていた。


エプロン姿のつむぎ。


メガネをかけたつむぎ。


「おかえり」と出迎えてくれるつむぎ。


普段のクールな彼女とは違う、少しだけ生活感のあるこの姿が、ひどく色気を感じさせる。


俺の中で、何かが崩れた。

腹は減っているはずなのに、別のところが先に反応しそうになる。


情けない。

帰ってきたら飯を食って、つむぎと普通に話せばいいだけなのに。


メガネとエプロンで、頭がエロい方向にしかいかない。


「……似合うな」


思わず口に出してしまった。


「え」


「メガネ。似合う。すごく」


つむぎが少しだけ頰を赤くする。

その反応を見た瞬間、俺の理性がさらに薄くなった。


——やばい。


俺、つむぎのエプロン姿に欲情してる。

玉ねぎの涙でメガネにしただけなのに。


生活感のあるつむぎが、こんなにエロいなんて知らなかった。


「飯、できてるよ。手洗ってきて」


つむぎがいつもの調子で言う。

俺は「ああ」と返事をして洗面所に向かったが、鏡の前で自分の顔を見て、深く息を吐いた。


目が据わっている。

明らかに、欲情した男の顔だ。


「……最低だな、俺」


つむぎが作ってくれた飯を食うために帰ってきたのに。

「おかえり」って迎えてくれたのに。


その優しさを、エロい方向に変換してしまう自分が、情けなくて仕方なかった。

それでも。


キッチンに戻ると、また彼女のエプロン姿が目に入る。

メガネを少しずらして、鍋の中を確認している横顔。


——食う前から、満腹になりそうだ。


いや、腹は減ってる。

でも、つむぎへの飢えの方が、よほど強かった。


俺は静かに手を合わせて、心の中で謝った。


ごめん、つむぎ。


俺、今日のお前に、かなりやられてる。

お粗末様でした。ヘタレへんたい茅、お気に召していただけましたか?

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