第9話 勝ったのは誰?
勝ったのは……ミュージアムマイル君。(2分31秒5)。
レイラちゃんは0.2秒遅れの第4位。
「オバさん、いい走りでしたね。これからもよろしく」
そう言って握手を求めてくるミュージアムマイル君。
「ガキのくせに偉そうにしないでよね」
そう言いながら握手してミュージアムマイル君を軽くハグするレイラちゃん。
「な、何だよ」
顔を赤らめるミュージアムマイル君。
「やっぱお子ちゃまね」
と小声でつぶやき、心の中でガッツポーズをするレイラちゃん。
「あーら、女の悦びもろくに知らない子がお姉さんぶってるじゃなーい?」
とミステリーウェイさんがレイラちゃんに駆け寄り抱きしめる。
「あ、ミステリーウェイさん、(最下位の)16着おめでとうございます。参加する事に意義があるのですよね」
「そういうおナマの口をきくレイラちゃんには、本当の悦びを教えないとね」
「ミステリーウェイさん、急にそんなぁ……元は男の人の腕力にはかなわないよぅ……」
「遠慮する事ないわ。まだモノは使えるけどタネは出ないから、避妊の必要は無いわよ」
慌てて割って入る誘導乳母の馬美ちゃん。
「ミステリーウェイさん、全年齢指定、全年齢指定!」
「フォッフォッフォッ。女子同士のじゃれあいは見ていて楽しいのう」
アラタ爺さんも笑みを浮かべる。
「馬美ちゃん、ありがとう。あなたのお陰で楽しくレースができたわ」
4着ながら爽やかな笑顔のレイラちゃん。
「ミステリーウェイさんとアラタ爺さんにもちゃんとお礼を言って」
「ありがとうございます。私、4位だったけど、アラタさんが15位、ミステリーウェイさんが16位なので、気分も晴れやかです!」
「やっぱこの子、放課後に体育倉庫に呼び出した方がいいかしら」
「ワシも見学させてもらえんかのう」
「冗談ですよ。ごめんなさいアラタさん。次の出走が決まったら、私応援に行きます!」
「ワシは次は中京競馬場で金鯱賞を走るつもりじゃよ」
「じゃあ私、鰻のひつまぶしご飯ご馳走します」
「それは活力が湧きそうじゃのう」
「ミステリーウェイさんもありがとうございます。私、アラタさんやミステリーウェイさんがいなかったら走れなかった。次の出走、応援します!」
「私は次は日経賞だから」
「オトナですね」
「斎場エージェントの株、沢山持ってたら、出走依頼が来ちゃったのよ」
「じゃあまたこの中山競馬場ですよね。名物の馬力ラーメン、おごります」
(ちゃんとふりがなを振っておかないと、馬鹿ラーメン、馬辛~メンと読み間違える人がいるかも…いないか)
「ニンニクのたっぷり入ったラーメンで私に精をつけさせるつもりね」
レイラちゃんを軽くあしらいながら、今度は馬美ちゃんを見るミステリーウェイさん。
「馬美、あんたダンナにもちっと真面目に稼ぐ様に言わなきゃダメだよ」
「ぜ、善処します。斎場エージェント大株主のミステリーウェイさん」
と馬美ちゃん。そうか。2人はそういう繋がりだったのか。
3ヶ月後
「お願い馬美ちゃん、効き目が切れそうなの。またアレをちょうだい!」
「そうは言うけど、最近注文が多くてさぁ、ちゃんとブツを上げられるか分からないのよね」
(ブラック馬美は黒のパンツを履いている、という謎設定)
馬美ちゃんに注文が殺到しているのは本当だ。しかしレイラちゃんは金の卵を産む大切なガチョウさんでもある。
「ライバルのミュージアムマイル君は4月の香港エリザベス杯の出場を決めたわ。私はまだ調子が上がらないの!」
「乳糖やタウリンやDHA(どれも母乳の成分)が足りていないのかなぁ?」
「お願い、何でもするから! 次のレースの賞金1割でどう?」
「仕方のない子ね。早く乳離れをしてね(本当はなるべく長期間、母乳漬けにさせたい)」
太客の心を掴み、馬美ちゃんの借金返済もようやくメドが立ってきた様である。
おしまい
次回はおまけの補足資料です。




