第一章 10-07
「せめてお前たちだけでも先に戻って欲しいと思って、昨日親父に聞いたんだけど、親父自身は異世界に転送はできても、現実世界に戻すことはできないらしい。
戻れるタイミングは最後の最後、旅の終わりに魔族の王を倒して国に帰ると、俺らも国王に謁見できて、そのとき現実世界に戻してもらえるらしい。」
手にしたハムを食べ終えたマヤが
「こんだけ魔法やらなんやら使えるんだから、ちょっと工夫したら戻る魔法ぐらい使えるんじゃないかなぁ。」
と言った。
「なぁんか割りが合わないよね。くたびれるだけくたびれて戻るだけなんて。」
とウズメ。
「じゃあ、ずっとあの一行と関わることになるの?ずっとかわりに戦うの?
それでもってお手柄はあっち?
褒められたいわけじゃないんだけど、せめてねぎらうとかないの?」
とコヤネ。
納得いかなくて当然だろう。ユウ自身だって理解こそしたが納得はしていない。
それに、最後の魔王まで自分が倒しきらなければいけないというのが、正直なところ重荷だ。
一人でこちらに来たときは割り切ったのとあきらめた気持ちでいっぱいだったが、こんな風に家での朝食時のようにほのぼのしていると、もうなんだかすべてを投げ出してみんなで家に帰りたいななどと思ってしまっている。
何よりも、コヤネ、ウズメ、マヤの3人を無事に戻してやりたい。
「例えば、その国王さんに直接話をして戻してもらうことってできないのかな。」
「俺もそれを親父に聞いたけど、どうやら無理らしい。」
そっかと言いながら、マヤはまた手のひらで火をつける真似をやり始めた。




