67/73
第一章 10-02
両首をなくした獅子はその場にばたりと倒れて、切り落とされた首からは赤い鮮血が流れ出ている。2つの頭は地面に転がり、もうピクリとも動かない。
木々の間からルゾフの「シャー」という声がした後、バンッと弓が弾かれる音がして、ルゾフの叫び声が聞こえた。
「一匹仕留めたわ。」
と、女の声。
「まだいるかもしれないわね、グラウィー、エッツィオ、一緒に見に行きましょう。」
大男と甲冑の男、そして美しい髪の女の3人は森の中に入っていった。
横たわる獅子の前に、白いマントの男とグレーのマントの男が残った。
少し離れた木の幹には馬たちがつながれ、のんびりと草を食べている。
手や服についた血を白いハンカチでふき取りながら、周囲には聞こえないような小さな声で、白マントの男が話しかける。
「正直なところ、どうも苦手だなぁ。」
「何言ってんですか、勇者様!」
「いやぁ、倒すのが嫌ってわけじゃなくて、前みたいに村人がいたら彼らのためって思って張り切れるんだが。」
「こういう陰での戦いも大切なんですよ。ちゃんと人々には伝わりますってば。」
「それにどうも血が苦手で...。」
「ちょっと、勇者様、そんなことぜーったい他で話しちゃダメですよ。レグルス様は唯一の勇者様なんですから。」




