第一章 10-01
3人はやむなくその場から離れ、岩陰に隠れた。
ユウも木の上かどこかに隠れたようだ。
戦っている間は気づかなかったが、木々の間から差し込む太陽の光は、夜露に濡れた葉をキラキラと輝かせている。小川のせせらぎがどこからか聞こえてくる。
馬の蹄の音が止まった。
「何かここにいるようだ。」
と、男の声。
唸り声をあげる獅子に少し距離をおいて数人の人間が集まった。
「なんだこいつは、首が2つもあるぞ。
こいつが旅人たちを襲っていた魔物か。」
「ケベロスという獅子に似た魔物ですね。」
大男の問いにグレーのマントが答えた。
獅子は全身の毛を逆立てて、彼らに威嚇している。
「こいつを仕留めればいいんだな。」
と、白いマントの男が凛とした声で言い、腰から長く細い剣を抜いた。
獅子は危険を感じたのか、唸りながら身構えた。
両者の間に緊迫した空気が漂う。
獅子は突進しようとしているが、まだ脚に蔦が絡まっているため、思うように動けないようだ。
白マントの剣の先が小刻みに震えている。
「な、なぁ、ロムアルド。」
「はい?」
「こいつのどこをどう狙えばいいんだろうか。」
「とりあえずは首を落とせばいいと思いますよ。」
「って、2本あるぞ。片方やってももう片方残るぞ。噛まれないだろうか。」
グレーのマントの男は少し考え込み、横にいた甲冑の男にささやいた。
「グラウィー様、片方の頭の部分を攻撃して下さいませんか。」
甲冑の男はこくりと頷いて、獅子の頭を手に持った重いメイスで殴りつけた。
先にユウの短剣で傷がついていたその首はあっさりとその巨体から外れて転がっていった。
「うおおぉぉー。」
残った片方の獅子が大きな声で吼えた。
「たああぁぁー。」
意を決した白マントの男も叫びながら、手にした剣で残った首に切りつけた。




