第一章 08-06
「ちょっと場所ずらそう。門のそばじゃなくて、あの木がいっぱい茂ってるところ。たぶん壁があると思うけど、木を利用すれば外に出れると思うの。」
ウズメが指差した方向を見ると、確かに門から少し北に離れた場所に高い木が何本か立ち、葉が覆い茂っている場所があった。3人はそこへ向かって歩き出した。
虫の声が聞こえる。近くに小川もあるようだ。
「ふくろうがいる。」
マヤが枝の先を見上げて言ったが、コヤネたちにはいまいちわからない。
「小さい子、すごくかわいい。こっち見てるよ。」
やがて、木の下に行くと門から続く高い石の壁があり、壁の上にはお決まりの矢じりがついたような柵がしっかりと張り巡らされていた。
「コヤネちゃん、マヤ、ちょっとここにいてね。」
ウズメが木を見上げて右手を高く挙げた。
一瞬ウズメの手先が輝いたかと思うと、頭上から長い蔦がウズメの手元まで伸びてきた。よく見ると2本つながってブランコのような形になっている。ウズメはひょこっとそこに腰掛けて手元の蔦を軽く引っ張ると、ウズメの体はすっと宙に浮いて高い木の枝の上に消えていった。
「うあ、便利!」
そう言って喜ぶコヤネとマヤの目の前にも蔦がするすると降りてきた。
先ほどウズメが行ったように、2人はブランコのように腰掛けて手元の蔦を軽く引っ張ると、2人の体は宙に浮いて木の上部まで運ばれて、難なく枝に乗ることができた。先に上がったウズメが枝にちょこんと座ってニコニコして2人を迎えた。
小さなふくろうが少し離れた枝の上で首をかしげている。




