第一章 08-01
城広場での勇者パレードが終わり、人々は城前の広場から屋台のある公園に戻っていった。公園のそこここでは楽器を演奏をして歌う人、ジャグリングなどをする大道芸人が観客の輪に取り囲まれていた。時折、拍手や喝采が沸き起こる。着飾った10人くらいの女たちが踊りながら公園をねり歩いている。
「これきっと夜まで続きそうだね。」
「楽しそうだけど、さすがに疲れちゃったな。」
「昨日から忙しかったもんね。」
3人はそう言って顔を見合わせると、同時に
「帰ろっか。」
と言った。
「そうそう、お父さんは先に帰るって地図くれたよ。」
マヤが紙きれをポケットから出して、2人の姉に見せた。
「大雑把な地図ね。」
「ほんと。」
「だって、ヤモリだし。」
3人はくすくす笑って、地図の通り帰路へ向かうことにした。
城は国のちょうど中央に位置しており、周囲を城壁で囲まれている。今日のような特別な日には東の門のみが開けられる。国の西と北には深い森があり、北の森のさらに奥にある湖から流れる川は城の西側を緩やかに横切り、西の森に隣接した果樹園や南の穀倉地帯を潤している。城の東門はこの国で一番活気のある商業地帯だ。市場や緑の多い公園が点在し、それらを囲むように家々が連なっている。
そして、さらに国をぐるっと一周する城壁があり、東の大門から国を出ることができるようだ。
昨夜泊まった兄の小屋は北の森に位置するらしい。
「えっと、今はお城の東側の公園よね。」
「じゃぁこっちだね。」
マヤがすっと指さした。
「ん?」
2人の姉はキョトンとしている。
「んもーっ。お城に夕日が沈んでいってるでしょ。」
真っ白な城は夕日を背にして、オレンジ色に染まっている。
マヤを先頭にして、森に向かって3人は歩き出した。




