44/73
第一章 06-06
勇者はふと馬の足を止め、
「そこのお嬢さん、今日はお越しくださりありがとう。」
と凛とした声で言った。
勇者の姿にあこがれて噂していると思ったのだろうか、深い湖のようなブルーの瞳でコヤネの方をじっと見ている。鮮やかな金色の髪が風になびく。
「お嬢さん、あんただよ。」
周囲の観客がコヤネに耳打ちした。
「えっ?私?」
コヤネはキョトンとして勇者を見た。
「あ、はい。」
勇者はまるでステージ上のアイドルのようににこりと微笑むと、マントをはためかせて先へ進んだ。
その後ろにがっしりとした鎧に身を包んだ少し小柄な男、薄茶色の長い髪の毛を風になびかせて大きな弓を背負った美しい女、大男、グレーのマントが続く。
「コヤネちゃんってさー、ああいうタイプに興味持たれやすいよね。」
そう言ってウズメがクスクス笑った。
「私はすごく苦手、自意識過剰な人。だってマントの中真っ白なスーツよ。恥ずかしくないのかしら。」
ワインを瓶ごと飲みながらマヤが
「まぁ、ここって夢の国みたいなもんだしね。ジュース飲む?」
と言って、コヤネにワインを差し出した。
パレードはもう少し続くようだ。
城の広場には様々に着飾った国の民であふれ、陽気な音楽が鳴り響いている。




