第一章 05-09
ウズメはオレンジの炎を凝視しながらユウに聞いた。
「ということは、歩けるように念じればいいってこと?」
「まぁそういうことだな。」
ユウは手のひらのオレンジの炎を消した。
「ウズメの場合は実現できても歩き方や足の使い方に慣れることに苦労するかもしれないけど、でもさ、ここまできたらこの世界と能力を利用して楽しむのもいい。」
「そうだね。こんなラッキーなことってないかも。お洋服も気に入ってるし。」
ふわふわの髪を揺らしてウズメはにこりと笑った。
そうだ私はそうでなくっちゃ、やっといつもの自分に戻れた。
それからは2人で足を曲げることからはじめ、介助ありでの立ち上がりや歩行など、病院のリハビリでは到底何日もかかることをほぼ無理やり一気にやった。
「それにしてもユウちゃん、よくこんなリハビリ手順知ってるね。」
肩で息をしながらウズメはユウに尋ねた。
「うん、病気やケガについては家にいるときから頭に叩き込んでたんだ。
まぁこの足のリハビリはいつかウズメが歩けるようになる手伝いになればと結構細かく調べたんだけどね。まさかこっちの世界で役立つとは思わなかったよ。」
「私こっちに来て得したな。えへへ。」
「あと、そうだな、慣れるまでは杖が必要かな。」
ユウは一瞬目を閉じて沈黙したあと、右手を横に上げ何かを掴んだ。
次に手を開いてまた掴みなおすとそこには1mくらいの銅製のような棒があった。
「長さや太さは、その都度ウズメ自身が念じれば希望の長さ等になるはずだ。ちょっとコツがいるけどな。蔦を操ったときの感覚と同じでいい。」
ウズメは受け取った棒を持ち床についてみた。少し長さが足りない。
「もう少し長くて、持ちやすくて...。」
頭に形状を描きながら気持ちを棒に集中させると、少しずつ理想の形状になった。
「最初は時間がかかるけどな、コツさえ掴めばいけるよ。あー。」
笑いながらユウがあくびを噛み殺した。
「ユウちゃんありがとう、寝てね。私もう少し練習するよ。」
「お前も寝ろよ。」
ロフトにユウが上がったあと、ウズメはそろそろとドアを開けて外に出た。
月がだいぶん沈み、夜風がとても気持ちいい。
「ん、やればできるっ。」
ウズメは杖を片手にゆっくりと小屋の周りを歩き出した。自分で動けることはとても面白くワクワクした。




