第一章 05-08
ウズメの足は先天的なもので生れたときからひざから下がほとんど動かず、車椅子で生活してきた。松葉杖などを使っての移動は練習の結果いくらかはできるようになったが、基本的に歩くことはできない。怪我や事故などで後天的に不自由になった場合は、歩くという感覚を身体は理解できているのだが、ウズメの場合は自力で歩くことや立つことそのものの経験がない。
昨夜の戦いの最中に蔦を使っての移動ができたけれども、終わって小屋まではユウにおぶってもらってしまった。
小屋でユウに武器の出し入れの説明を受けている際に、気がつくとコヤネとマヤが寝入ってしまっていた。
「あ、2人とも寝ちゃったね。」
「そうだな、俺らも寝ようか。あ、ウズメ足は大丈夫か。」
「うん、でも車椅子ないからこれからどうしよう。」
足替わりがないと本当に不便である。とはいえこちらの世界に車椅子なんてあるのだろうか。このままではみんなの足手まといになってしまう、ウズメは途方に暮れた。
「理解しにくいかもしれないけど...」
うつむいて考え込んでいるウズメにユウが話しかける。
「こっちの世界は『念じる』ことで望みを具現化できるんだ。だからといってもこちらの世界でそういうことができるのは、あくまでも魔道師としての能力のあるひとかけらの人間だけで、魔術として具現化するようだけど。」
そう言いながらユウは握った右手を差し出し一瞬目を閉じた。不思議そうに覗き込むウズメの目の前でゆっくり手を開けた。
「単純にこうしたいと『念じる』だけなんだ。さっきの武器を出すのと同じ。」
ユウの手のひらの上に小さな青い炎がともり、ゆらゆらとゆれ出した。やがて青い炎は白に変わり周囲を明るく照らした。
「あ、2人が起きるといけないな。灯かりとなる熱くない炎を出したいと念じたんだ。」
白い炎は小さいオレンジ色の炎に変わった。
「具体的にどうしたいかを念じることで冗談みたいな話だがそれが実現できてしまう。何でもできるってわけでもないけど、自分の身体に関わる部分はわりと手軽にできる。
まぁこっちにとっての異世界からきた俺らの特性なのかもしれなけどな。」




