第一章 05-05
3人は小屋を出て森を歩いた。緑の木々が美しく、昨夜の戦いが嘘のようだ。ヤモリは時々マヤにだけ聞こえるような小さな声で道案内をし、3人は北の村を越えてさらに国の中心地である城に向かった。
1時間くらい歩いただろうか、中央の街に着くと人々のざわめく声や明るい音楽が流れていた。街の一角にある広い公園には屋台が並び、食欲をそそるいいにおいが漂っている。食べ物以外にも装飾物や衣類や小物など、様々なものが店先に並び、3人は感嘆の声を上げた。
幸いなことにカーニバルのように着飾っている人々が多く、個性的な3人の衣装でも問題なく周囲の雰囲気になじんだ。
「おいしいよー食べてくれ!」
がっちりとした体格の男性がローストチキンのような肉の塊を目の前に差し出した。
「おいしそう、おいくら?」
「いやいや、今日は祭りなんだ、お代はいらないからおいしく食べてくれ。」
「こっちのパンも焼きたてだよー。」
肉にパンに果物やジュースと歩くたびに色々差し出されて、食べ放題状態に3人は大喜びだ。
「収穫祭だから、食べ物関係はほとんどタダ同然だよ。」
と、ヤモリがこそっと伝えた。
「私たちが食べても大丈夫なの?」
「うん、食料は問題ない。ヤギのミルクなどは少し癖があるとは思うが。」
比較的に味はあっさりとしており塩やハーブでの味付けだが、肉や小麦の素材の味がしっかりと楽しめたし、トマトなどの野菜の甘さとみずみずしさは格別で、木いちごジャムをたっぷりのせたタルトや干しぶどういっぱいのスコーンなどもあった。
「このミネストローネがむちゃくちゃおいしい。」
「どれどれ、一口頂戴。」
「パンとスコーン、明日の朝ごはんに持って帰ろっと。」
「ユウ兄ちゃんにも何か持って帰りたいね。」
「そうだ、カーテンなんとかしよう。パジャマも欲しいな。」
巾着袋の中には銀貨が10枚程度入っていたがそれは結構な額らしく、1枚の銀貨で大きめの麻の手提げ袋を1枚買うといっぱいの銅貨のおつりがきた。




