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いずれは最強コンビ  作者: HAL
第五章 新たな武器を手に入れた
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第八話

 俺たちは第二の都市を出て、戦場へ向かっている。半獣化したフェリシアの翼によって。

「そろそろ見えてくるわ」

「了解」

 何が見えてくるのか?もちろん、猿人の群れだ。

 俺とフェリシアが部屋を出てから誰も続かなかったことから、他の星覇者は真面目に話し合いを続行してるはずだ。

 扉が閉まるまで、ザックの情けない怒声が響いてたけど、聞こえなかったことにしよう。フェリシアがその気なんだし。

 街中では、すでに戦闘準備が始まっていた。誰もが慌しく作業している。星覇者は武器や銃を装備し、非戦闘員の中には医療用具の点検などに遁走していた。

 そんな中、俺らはのほほんと市門を出る。

 市門を出ると固く閉じられる。

 これから魔獣の大群が押し寄せてくるんだから、当然か。

 この都市に来る前前に、天空都市の掲示板を確認した。

「種族:鳥人族、名前:フェリシア、称号:王【熾天使】、探索エリア:荒野・森・海、魔獣の討伐数:284(3)」

「種族:竜人族、名前:レヴィ、称号:騎士【戦鬼】、探索エリア:荒野・森・海、魔獣の討伐数:36(1)」

 上位の魔獣討伐数はヒュドラの頃から変わらず「1」のままだ。

 分かっていたことだけど、巨神兵は計上されていない。

 俺は唯一の竜人族で、熾天使の弟子――今は、相棒?――だから、注目度が高い。それが急に「2」とか表示されていたら問い詰めようとする輩も出てきそうだってところか?

 まぁ、俺も喧伝するつもりはないからちょうどいい。

 はてさて。今回の戦いでどれくらい増えることやら。

 この時の俺はまだ、この後すぐに死を意識することになるとは思ってなかった。

 ちなみに、フェリシアは出会った時、魔獣の討伐数が200超くらいだった。

 それがここまで上がったの理由は、ヒュドラ討伐の時に大量の蜘蛛を虐殺したからだ。

 以前、喧嘩した時に、苛立って蜘蛛の偽物を放り投げてやった。

 そしたら、「ひぁあああ!」とか可愛らしい悲鳴を上げて飛び退ったのを見て、大いに溜飲を下げた。

 結果、死ぬほど後悔した。その時の記憶を永久に封じ込めたいくらい。

 羅刹の顔になった彼女に、思いっきり殴られた。

 無様に倒されて痛みに呻いていると、いつの間にかマウントポジションをとられていた。

 そこからは拳の嵐。一切の容赦なく、俺は顔を打たれ続けた。

 マジで命の危険を感じて、【サンクチュアリ】を出すために半獣化しようとした。でも、できなかった。半獣化する時には集中する必要があるのに、そもそも意識を保つのも困難だったし。

 なので、俺は呆気なく意識を手放した。あのまま意識が残り続けてたらと思うと……

 ひどかった。ホントにひどかった。ともあれ、俺は絶対に敵に回してはならない人がいると人生の教訓を得た。

 顔の腫れが凄まじく、しかもなかなか引かなかった。鏡見た時ははっきり言って別人だった。泣けてきた。ずっと顔を洗えなかった。風呂入る時も苦しんだ。

 そんな顔で外に出る気もなれず、ひたすら引きこもった。外気に触れるだけできつかったし。

 まさに人生最悪の体験だったなぁ。あ、思い出すだけで涙が出てきた。あれからしばらくは彼女の顔を見るだけで、震えが止まらなかった。

 二度とやらない。固く決意した一幕だった。

 いや、戦闘に集中しよう。戦闘中に思い出したら、震えが止まらん。こんなんじゃ致命傷を負う気がする……

 フェリシアがさっき半獣化して空から偵察し、目標を捕捉したため一旦引き返してきた。

 俺たちは独立遊撃隊として、というとちゃんとした響きだが、要は目についた魔獣から殲滅していく感じだ。

 なので、今俺はフェリシアに抱えられながら空を舞っている。

 フェリシアに抱きかかえられながら、空の旅を満喫する。旅というほど長くないだろうけど。

 当然、背中に胸が当たってます。巨乳ってのは素晴らしいね。いや、ホント。

 この定位置は最高だな。何度味わっても飽きないわ。

「ほら、あれよ」

 言われるまでもなく、俺も分かっている。ってか、どんなに鈍感な奴でも、ありゃさすがに気づくはずだ。

 五百体くらいいるな。

「よくもまぁ、うじゃうじゃと」

 数の暴力を連想して恐怖を覚えるよりも呆れてしまう。

 ある意味壮観だが、これ全部相手にするかと思うとげんなりだ。

 猿人たちも俺たちに気づく。一斉に金切り声を上げて威嚇してきた。

「うわ……すげぇ耳障りだ」

「確かに。不快でしかないわ」

 多分、彼女も顔をしかめてるはず。

 猿人たちの真上に来たところで、唐突にフェリシアが口を開く。

「じゃ、そろそろ降ろすわ」

 いきなりとんでもないことをさらりと口にした。

「はぁあ!?」

 敵陣のど真ん中だぞ!?

 俺に反論させる時間も与えず、彼女は一切の躊躇いなく俺を離した。

「こんの、クソババァああああああああああああああああ!」

 何とか彼女に手を伸ばしたけど、彼女の胸をつかんだものの一揉みしただけですぐに離れた。

 にんまり笑ってる我がお師匠様の姿がすごい憎らしかった。

 落とされたとあっては、いつまでもフェリシアの顔を見ているわけにはいかない。悪態は一先ず置いとこう。即座に気持ちを切り替え、下に意識を向ける。

 このまま地面に背中から激突するなんて冗談じゃない。死ぬ!マジで死ねる!

 我が身に宿りし銀皇竜よ。秘められし力を解き放て――

 落下中に半獣化する。

 最悪、これで受け身を取り損なったとしても、死ぬことはない。半獣化したことにより、【サンクチュアリ】が展開されたのだから。

 まぁフェリシアもそこまで考えてやったんだろうけど。にしても、あれはないだろ。

 何はともあれ、半獣化して冷静になる。

 フェリシアが【クリムゾン・スフィア】を放ち、俺の周囲の敵を減らしていく。数十体まとめて焼き払っている。

 彼女は五回紅炎を放てば、半獣化が解除されることは以前聞いた。

 あと四回だな。

 速い。ってか、速過ぎ。俺はまだ着地もしてないってのに。

 猿人の群れのど真ん中に何とか無事に着地する。着地と同時に、俺はすぐ【ギガ・ブレイク】を発動し、一回転して水平斬りした。出し惜しみはしない。

「らぁッ!」

 間合いの中にいた猿人はまとめて死んだ。上半身と下半身を分断されて。

 飛び越えていこうとした猿人は飛距離が足りない。敵わずに刃の餌食となった。地に伏せた猿人は残念だが、その程度じゃこの超巨大な大剣はかわせない。

 俺の攻撃の範囲外に対して、フェリシアが立て続けに紅炎を繰り出す。あと二回。

 敵は一撃で倒せる雑魚ばかりだ。

 知能も高くないっぽい。避けようとせず、がむしゃらに突撃かますだけだし。

 身体能力はそこそこか。他の猿人を飛び越えて俺に迫るほどの跳躍力と、発達した豪腕から繰り出される拳が厄介な方か。

 再度、半獣化した俺の【サンクチュアリ】で阻んでるから、それほど脅威じゃない。

 だが、数が多い。俺が強引に作った隙間があっという間に埋められそうだ。囲まれないよう端の方へ移動していく。なかなか思い通りに進めないが。

 その際に、右手の剣を出現させ、左手の銃でチャージショットを連発する。

 通常の銃弾だと一体貫通させるに留まるが、チャージショットだと敵が直線上に並んでた場合にまとめて貫通させることが可能だった。

 絶え間なく猿人が襲いかかってくる。さすがに息が切れてきた。

「はぁはぁ。まずいか……」

 俺の残りオーラは「300/590」だ。この戦闘が終わったら、一旦帰還しよう。

 チャージショットは威力が飛躍的に高まる分、消費も激しい。連発すべきじゃなかったか……

 できるだけ剣で対処するしかない。幸い、猿人は硬い皮膚を持ってるわけじゃないので、大した抵抗もなく斬り倒せる。

 猿人はまだ半分以上生き残ってる。

 攻撃力に問題はない。ただ持久力と集中力の勝負だ。

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