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君に届かないで

 姫川の唐揚げパン様を食べて午後の授業を耐える力を得た俺は、無事に放課後を迎える事ができた。

 昼飯を食わずに見舞いに来てくれた西宮の事をすっかり忘れ、戻ってきた時の絶望した顔を見て三人で全力謝罪したのはとりあえず置いておく。

 あれは美少女がしてはいけない顔だっな…。


「で、よりによって今日の掃除場所が保健室かよ!」


 現在、放課後掃除の時間である。うちの学校は週ごとに掃除場所がローテーションで変わっていくのだ。ちなみに頭の中がガンガン鳴ったら痛み止めを保健室で貰うだけだ。


「まっ、お前は今日お世話になったからいーじゃねーか。あー、まじめんどいわー!」


 後藤と二人でキャッキャッウフフと保健室掃除。腐った人に見られないことを祈るばかりだ。

 にしても、後藤じゃないけど保健室の掃除はホントにめんどくさい。なんてったって校舎で一番綺麗にしなければいけない部屋だ。しかも棚も多いからホウキかけるときは周囲にも気をつけなければいけない。はぁ…


「つーか、光輝の好きなタイプってどんななんだ?」


「なんだ?藪から棒に」


「いや、そーいえば聞いた事なかったなーと思ってさ。ちなみに俺のタイプはな、」


「いや、お前のはわかってるからいらない。うちの親とか言う気満々なのわかるから黙れ」


「辛辣ぅ!まぁ、その通りだけどな!後はミツキちゃんとかもかな?で、お前はどーなのよ?」


 また言いやがったこの野郎。いっそのこと目の前で化粧落としてやろうか!絶対やらないけど。


「俺は……どんなだろうな?あえて言うならりか…片桐先輩かなぁ?」


 ガツーン!


 ん?廊下で誰かコケたのか?


「い、以外だな。片桐先輩って香苗さんの友達のだろ?あの上品な感じの。やっぱり昔から知ってるから憧れからとかか?つか片桐先輩、彼氏いるよな?バレー部の伊藤先輩だろ?」


「んだよ。悪いかよ。まぁ、そんな感じかなぁ?昔からホント綺麗な人でな。そーなんだよなー!彼氏いるんだよなー!想像出来ないけどイチャイチャしてんだろーな」


「悪くないけどよ。してるんだろうな。ちなみに光輝はどんなシチュエーションがお好みで?」


「どんなだろうな?んー、あーゆー上品で綺麗な人にパンツ見せてとか言って、恥ずかしそうに「しょうがないですね」とか言われながらスカートたくしあげて欲しい!」


 ゴトッ


「ん?誰かいるのか?」


 ガラッ


「誰もいないか」


「どうした?」


「いや、物音がしてな」


「そうか?にしてもお前はそーゆーシチュエーション好きだったのか。以外だけど、おれも共感してしまう!」


「誰にも言うなよ?」


「言わねーよ。(言えねーよ。行ったら俺が刺されそうだわ)」


「まっ、そんな感じだな。さっそろそろ終わらせて帰ろーぜ」


「へーいへい」


 ガラッ


 誰か入ってきた!?


「失礼します。委員会の仕事で参りました。」


「あっ!梨花子さん!?」


「あら、こうくん。どうしたのですか?」


「あ、いや、今日から俺ら保健室の掃除当番でさ。まぁ、もう終わるところだったけど」


「それはそれは、お疲れ様です」


 ヤバイヤバイ!さっきの聞かれたか?


「り、梨花子さん今来たんですか?」


「はい、今来たばかりですよ。どうしました?」


 良かった。聞かれてないみたいだ。けど何か気まずいからさっさと帰るに限る!後藤に視線を送ると小さく頷いた。


「い、いや何でもないけど…」


「フフッ、変なこうくん」


 手を口元に当てて上品に微笑む梨花子さん…プライスレス!俺の回りはやたら元気な女の子多いからマヂ癒しだ!


「じゃ、俺ら掃除終わったんで失礼します!」


「はい、お疲れ様です。お二人とも気を付けて帰って来てくださいね。」


 そして俺らは逃げるように帰っていった。



 ━━梨花子視点



 どうしましょう?

 ただ委員の仕事の残りをしようと思って部屋に入ろうとしただけなのに凄いことを聞いてしまいました。

 こうくんが私の事を好…いえ、昔から気になっていたなんて…。あの可愛いこうくんが私のことを…なんだか顔がポッポします。

 びっくりして壁に頭をぶつけてしまいました。痛いです。


 それにしても、私にはいつ彼氏が出来たのでしょう?確かに伊藤君とはよく話します。

 付き合って下さいと言われて買い物に付き合った事もありますが…。彼女になってとは言われてませんし、彼女になる気もありません。ん~不思議です。今度香苗ちゃんに聞いてみることにしましょう。


 ふえっ?パ、パンツですか!?こうくんは私のパンツ見たいのですか!?

 思わず荷物を落としてしまいました。

 あっ!窓に人影が!隠れます!


 どうやら見つかりませんでしたね。

 それにしても…今日のは確か真ん中に小さな白いリボンの付いたモスグリーンのでしたね…って見せませんよ!もちろん見せませんよ!あんまり可愛いくないですし。

 どうせなら見せる方も見る方も可愛くて新しいのがいいでしょうし…ってどうして見せる前提で考えててるんでしょう?


 あら?あらあらあらあら?

 こうくんになら別に見られても構わないような気がしてきました。これはどうしましょう?香苗ちゃんに相談…はやめた方がいい気がします。とりあえずお母さんに今夜にでも聞いてみましょう。お母さんはいろんな色や形のパンツを持ってるのできっと分かるでしょう。


 さて、そろそろ委員の仕事もしなければいけませんね。中に入らせていただきましょう。



 こうくん慌てて可愛いですね。今来たばかりなんですよ?嘘ですけど。 フフッ

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