第12章 時空術
少女は翔と出会ったようだが、彼女は覚えがない。
その時翔が思い出したようだ。
「(この子、2年前に大沢達に拉致され奴隷として売られそうになった女たちの一人だ。髪が短くなっていたから気づかなかった)」
ルーナも思い出したようで、美奈子とマリーに小声で教えた。
「(まずいな…忘れろ薬で忘れさせたとはいえ、所詮は薬…俺とこれ以上いると嫌なことまで思い出させてしまう)」
だが少女は少しずつ思い出し始めた。
「あのう…2年くらい前も私を助けてくださいましたよね?」
「知らね~はよ帰れよ」
少女は仕方なくお礼を言い帰宅した。
次の日…
翔と美奈子とルーナとマリーが飲食店の手伝いをしていた。
喫茶店の名前は「カーヤ」
経営者は70代の高齢者で名前はイムター・シンマー、最近若いバイトが二人辞めたため、翔たちが依頼で手伝いに来たのだ。
本当は翔とルーナと美奈子が依頼を受けたのだが、偶然この店にマリーが客として来ており、彼女から「仕方ないから手伝ってあげるわよ」と言ってきたのだ。
そして夕方…
閉店となり店の片づけをしていた時に、少女が一人入ってきた。
その少女を見て3人は驚いた。
少女はあのデルズやズークたちに拉致された少女だ。
「マーナちゃん、待っていたよ」
「は、はい…」
少女の名はマーナ・クラハール。
近くの音楽学校に去年から通い始めた16歳の少女だ。
彼女の夢は音楽家のようだ。
マナは翔に迷惑かけてはいけないと思い、2年前の話をしないようにと思った。
マスターたちは片づけを終え、奥の部屋へ翔たちを案内した。
「彼女はよくここに来て音楽を演奏してくれるんじゃ」
「てっきりマスターの孫だと思っていたわ。で、マスターの家族は?」
と、マリーは聞いた。
翔たちは身内に不幸があったのかもしれないから黙っていたのだが…
「ワシは生涯独身じゃ」
そう言って、若い女性の写真を翔たちに見せた。
写真は古くてボロボロだ。
「彼女はワシの若い頃の婚約者で、カーヤ・ゴットン…プロポーズしようとしたその日の夕方、通り魔にワシの目の前で殺された」
そう言って、翔たちに紅茶とクッキーを出した。
店の名前の「カーヤ」は亡き婚約者の名前から付けたようだ。
「犯人はワシの近くまで来たが、その時にリスポ隊に捕縛されたんじゃ」
寂しそうな顔で語り続けるイムター…
「ワシは彼女を生き返らせたくて時を超える魔法を編み出した」
「時を超える魔法ですか!?」
翔たちは皆驚いた。
「時空術とワシは名づけたが、あんな魔法編み出すべきではなかった。あれは悲劇の魔法じゃ」
時を超える魔法を編み出したというイムター…
だが彼にとってこの魔法は悲劇の魔法のようだ




