第11章 死神対死神
甘えん坊の時の人格の声が届いたのか、恐ろしい「死神」の人格になった。
「たくっ…死神の人格にはなりたくないと言っておきながら、こういう時だけ死神に頼りやがって」
「てめ~!」
「まあ、もう一人の人格にしてはよくやった方か…」
さっきまでの動きとはまるで違う。
「な、なんだこいつは?」
「あれが翔?どうなっているの?」
マリーはこの前のキリト戦では気を失っていたため彼女はまだ、翔が神威龍一だということを知らない。
「99人や100人で死神とは、たいしたことのない死神だ!」
「なんだと!」
「人を殺したことを自慢する気はないが、俺が殺した人間の数は2桁、3桁じゃね~」
「なに!?」
「俺とお前とでは殺してきた理由が違う!」
「理由?」
「お前は快楽のために人を殺しているが、俺は…」
拳を強く握りこう言った。
「俺は戦場で生き延びるために人を殺してきたんだ~!」
右正拳突きでデルズの首に決まった。
「ふは~…ゲホッゲホッ…おい、お前ら!」
「はい!」
「餓鬼、動くな!こっちには人質がいるんだぜ!」
デルズの部下たちがそう言うと、翔はこう答えた。
「生死を懸けた戦いに、人質をとる事を卑怯だと思わん。俺から言わせれば、捕まる方が悪い…」
「なに!?」
「だが、仲間に傷をつけてみろ!お前らの命もない!」
鋭い目つきでデルズの部下たちを睨んだ。
デルズはこの隙を見逃さす、鎌を振り下ろした。
だが、左の方へ交わすと同時に右の上段蹴りが決まった。
「ぐは~!!!!(なんだこいつは…こうなったら)」
そう言って翔の目を見て、魔法をかけた。
「ククッ…どうだ!今、お前に息が出来ないようにする術をかけた!」
「翔君!」
ルーナが叫ぶ!
「…」
「どうだ?苦しいか?だが窒息死する寸前に首を跳ねてやる。それまで苦しめ」
「さすがデルズさん」
だが、翔は苦しみながらデルズに近づき、デルズの左目に指を突っ込み、左目を潰して、術を解いた。
「いて~!!!!」
「ゲホゲホッ…ハアハア…目を潰されたくらいで術を解く様じゃ、俺は殺せね~」
デルズの部下たちは唖然としていた。
マリーも言葉を失っていた。
もう一人の少女は恐ろしさから目をつぶって震えていた。
「お前…化け物だな…強く恐ろしく、さらに冷静な判断力…さらに魔法も…はっ!」
と、しゃべっている隙に、翔は懐へ入っていた。
「てめ~とは潜った修羅場が違うんだよ」
そして奥義龍神を放った。
デルズの大きな体が宙に浮き、地面へと落下した。
「ぐわ~か、体中がいて~!!!!」
「この世に死神は二人もいらん」
そう言って、デルズが持っていた鎌を拾った。
「あっ…ま、待ってくれ…殺さないでくれ」
「これで99人殺したんだろう!?100人目はお前自身だったな」
「翔君ダメ~!!」
ルーナが叫んだ!
だが、翔は鎌を振り下ろした。
ザクッ!!
だが、鎌の尖端は、デルズの首の横の地面に突き刺さっていた。
「大丈夫ですよ。ルーナさん…ただの脅しです」
「そう言えば、お前…戦場で生きるために人を殺してきた…と言っていたな…お前、髪を茶髪にしているがジャパール人か?もし、俺の推測が間違っていなければ、お前があの神威龍一だろう?」
デルズの言葉に部下やマリーや16歳の少女は驚いた。
「だったらなんだ?」
「へっ…お前が神威だと知っていたら、手を出さなかった」
「翔が…あのジャパールの英雄…神威龍一…(私、今まで神威龍一をパシリにしていたんだ)」
マリーが震えながらそう思った。
部下たちは逃げようとしたが、すでに屋敷の周りはカーメーから連絡を受けていたジャッキー率いるリスポ隊の隊士たちが囲んでいた。
部下たちはさすがにあきらめて、捕縛された。
「ありがとう。翔君」
ルーナと美奈子が礼を言った。
だがマリーは震えていた。
「どうしたマリー?」
翔が薄ら笑いをし、そう言った。
「べ、別に…い、一応礼は言っておくわ…あ、ありがとう…」
「へっ、お前から礼を言われるのは初めてだな」
「うっ…(やだ…なぜか胸がドキドキする)」
「あ、あのう…」
少女が翔に話しかけてきた。
「ありがとうございます。でもあなたとは以前、どこかでお会いした気がするのですが?」
「ああ?」
少女は以前翔と出会ったことがあるのだろうか?
だが、少女自身ハッキリと覚えていないようだ。




