第19話 リカ、義妹候補とのメッセージに嫉妬するが我慢する
美緒さんと連絡先を交換した翌朝。
リカは、いつもの曲がり角にいた。
いつもの場所。
いつもの制服。
いつもの金色に近い髪。
ただし、今日は目が違った。
俺の顔を見ているようで、俺の右手を見ている。
正確には、俺の右手にあるスマホを見ている。
「おはよう、悠真」
「おはよう」
「顔色、普通。睡眠はちょっと足りてないかも。歩幅は普通。スマホを持つ手に緊張あり」
「最後だけ急に細かいな」
「だって、昨日から美緒さんと連絡先交換してるから」
「してるけど、別に朝から何か来てるわけじゃない」
「ほんと?」
「ほんと」
「見せなくていい」
「まだ何も言ってない」
「先に言った。見たいけど見せなくていい。今日はそういう方針」
リカは胸の前で、小さく拳を握った。
その手には、例のメモ帳がある。
表紙には、昨日よりさらに項目が増えていた。
『質問は一日三個まで』
『スクショ要求禁止』
『質問代行禁止』
『検索禁止』
『連絡先交換で死なない』
『通知音で動揺しすぎない』
『美緒さん? と聞く前に深呼吸』
俺は最後の項目で止まった。
「リカ」
「うん」
「すでに今日の不安が見える」
「見えるように書いた」
「何のために」
「自分で見るため」
リカは真面目だった。
「昨日、連絡先交換はできた。見なかった。スクショも要求しなかった。九十六点だった」
「ああ」
「でも、今日からが本番だと思う」
「本番?」
「だって、連絡先を交換したってことは、美緒さんから悠真にメッセージが来るかもしれないってことでしょ」
「まあ」
「悠真のスマホが鳴るかもしれない。悠真がそれを見るかもしれない。悠真が返事するかもしれない。あたしが隣にいる時でも」
「そうだな」
「つまり、今日からあたしは、通知音と戦う」
「戦う相手が小さいな」
「小さくないよ。通知音、強いよ」
リカは真顔だった。
「悠真のスマホが震えるたびに、あたしの心臓も震える」
「詩的に言うな」
「本当だもん」
俺たちは歩き出した。
リカは、いつもより少しだけ距離が近い。
不安な時の距離だ。
だが、自分で気づいたのか、すぐに半歩下がった。
「今の近かった?」
「少し」
「じゃあ、半歩」
「偉い」
「今日は偉いを多めにもらわないと耐えられないかもしれない」
「燃費が悪いな」
「悠真燃料が必要」
「その表現、前も却下した」
「でも必要」
「もっと安全な言い方にしろ」
「悠真補給」
「それも却下した」
リカは少し笑った。
笑っているなら、まだ大丈夫だ。
ただ、学校に近づくにつれて、リカの視線はまた俺のスマホへ向いた。
俺はスマホをポケットに入れる。
「しまっただけだ」
「うん」
「美緒さんから何か来たから隠したわけじゃない」
「うん。分かってる」
「分かってる顔じゃないけど」
「分かってるけど、不安は別」
「最近の決め台詞になってるな」
「本当にそうなんだもん」
リカは少しだけ唇を尖らせた。
「信用してないわけじゃない。悠真が隠す人じゃないのも、昨日ちゃんと話してくれたのも分かってる。でも、通知が来るかもしれないって思うと、勝手に気になる」
「それを口に出してるだけ、前よりかなりいい」
「ほんと?」
「ああ」
「じゃあ、今日ここまで何点?」
「登校中だけなら八十八点」
「高い」
「不安を言ってる。距離も自分で調整した。スマホ見せろって言ってない」
「通知音で動揺しすぎない、もまだ守ってる」
「まだ鳴ってないからな」
「鳴ってからが勝負」
「試験みたいになってきたな」
リカは小さく頷いた。
「今日は、通知音耐久試験」
「嫌な試験だな」
*
一時間目は、何も起きなかった。
スマホは鳴らない。
俺もリカも普通に授業を受けた。
いや、リカは普通ではなかったかもしれない。
時々、こちらを見ていた。
正確には、俺の机の横に置いてある鞄を見ていた。スマホはその中だ。
だが、休み時間になっても何も聞かなかった。
かなり偉い。
二時間目も何も起きなかった。
英語の小テストがあり、翔太が終わった瞬間に机へ突っ伏したくらいだ。
「終わった。俺の英語人生、終わった」
「まだ二年だろ」
「未来完了形とともに俺の未来が完了した」
「うまいこと言ったつもりか」
「点数はうまくない」
そんな会話をしている横で、リカはメモ帳に小さく何かを書いていた。
覗くと、
『二時間目まで通知なし。私は耐えた』
と書かれていた。
「リカ」
「見た?」
「見えた」
「耐久記録」
「何を耐えたんだ」
「来るかもしれないという不安」
「来てないのに」
「来てない時も戦い」
リカは真剣だった。
翔太が横からメモ帳を見て、吹き出した。
「天宮、通知なしで戦ってるの面白すぎるだろ」
「笑い事じゃないよ。佐伯くんは、自分の好きな人のスマホに義妹候補からメッセージが来るかもしれない状況になったことある?」
「ないな。人生で一度もない」
「じゃあ分かんないよ」
「たしかに」
翔太は素直に引いた。
「黒瀬、大変だな」
「俺も通知が来てない状態でこんなに大変になるとは思わなかった」
「でも天宮、ちゃんと自分で処理しようとしてるんだろ?」
「してる」
リカは胸を張った。
「見せろって言ってない。検索してない。美緒さんのアイコンも聞いてない」
「アイコン」
俺が反応すると、リカは両手で口を押さえた。
「あ、今の聞きたいことリストに出ちゃった」
「言ったな」
「でも聞かない」
「偉い」
「アイコン気になる……でも聞かない……」
リカは本当に目を閉じて耐えていた。
翔太が小声で言う。
「黒瀬、今のは褒めてやれ」
「言われなくても分かってる」
俺はリカに言った。
「今のはかなり偉い」
リカは目を開けた。
「かなり?」
「ああ。アイコン聞きたいのに止まった」
「やった」
「ただし、口に出たから少し減点」
「うっ」
「でも九十点台」
「九十点台維持?」
「今のところ」
リカは少し安心したように息を吐いた。
*
昼休み。
事件は、俺が弁当箱を開けた直後に起きた。
スマホが震えた。
短く一回。
通知音は鳴らしていない。マナーモードの振動だけだ。
それでも、リカは反応した。
箸を持った手が、ぴたりと止まる。
翔太もこちらを見る。
「来た?」
リカは小さな声で言った。
俺はスマホを取り出した。
画面を見る。
父さんだった。
『今日は帰りに牛乳を買ってきてくれるか』
俺は思わず脱力した。
「父さん」
そう言った瞬間、リカが机に突っ伏した。
「よかった……」
「牛乳だった」
「牛乳でよかった……」
「父さんだぞ」
「でも通知音は同じだから」
リカは机に額をつけたまま言った。
「今、心臓が一回止まった」
「止まってたら喋れない」
「感覚の話」
翔太が横で笑いをこらえている。
「天宮、通知一回で情緒がジェットコースターじゃん」
「笑わないで」
「いや、悪い。でも牛乳でそこまで安心するの面白い」
「牛乳は味方」
「今度は牛乳が味方陣営に入った」
「卵焼きと牛乳」
「食卓が戦場になってるな」
俺は父さんに『分かった』と返信した。
リカは顔を上げる。
「返した?」
「父さんに牛乳買うって返しただけだ」
「そっか」
「見るか?」
俺が冗談半分で言うと、リカは慌てて首を振った。
「見ない」
「父さんでも?」
「見ない。悠真のスマホだから」
俺は少し驚いた。
父さんからの牛乳メッセージくらい、見ても何も問題ない。
でもリカは、自分で線を引いた。
「リカ」
「うん」
「今のはかなり偉い」
「父さんなのに?」
「父さんでも、見ないって自分で決めたのが偉い」
リカは少しだけ照れた。
「じゃあ、今日かなり頑張ってる?」
「頑張ってる」
「卵焼き、もらっていい?」
「流れがそれか」
「安心がほしい」
「今日は入ってる」
俺は卵焼きを一切れ、リカの弁当箱に置いた。
リカはそれを見て、少しだけ笑った。
「ありがとう。牛乳ショックから回復する」
「ショックの種類がおかしい」
「でも、今ので分かった」
「何が?」
「美緒さんじゃなかった時、すごく安心した。でも、安心したあとに、ちょっと自己嫌悪した」
「自己嫌悪?」
リカは卵焼きを箸でつまみながら、少し目を伏せた。
「美緒さんからじゃなくてよかったって、思っちゃったから」
「……」
「美緒さんが悪いことしたわけじゃないのに。昨日のメッセージも、ちゃんとしてたのに。お母さんのことを大事にしてるだけなのに」
リカは小さく息を吐いた。
「それなのに、通知が父さんでよかったって思った自分が、ちょっと嫌」
俺は返事に困った。
それは、たぶんリカの本音だった。
そして、責めるようなことではない。
「リカ」
「うん」
「そう思うくらいは仕方ないだろ」
「仕方ない?」
「ああ。嫌なのに平気なふりをするよりはいい」
「でも、美緒さんに悪い」
「美緒さんに悪いと思えるなら、前よりかなりいいんじゃないか」
リカは顔を上げた。
「そう?」
「ああ。前なら、自分が嫌だってところで止まってただろ」
「……うん」
「今は、美緒さんに悪いって思ってる」
「うん」
「かなり成長だと思う」
リカは、少しだけ目元を赤くした。
「悠真、今日も優しい」
「事実を言っただけだ」
「それが優しいんだよ」
翔太が、向かいで小さく頷いた。
「天宮、それはマジで成長だと思うぞ。嫉妬してる自分を客観視できてるってことだろ」
「佐伯くんが急にまとも」
「俺はたまにまともだ」
「たまに」
「そこ繰り返すな」
リカは少し笑った。
笑ってから、卵焼きを食べた。
「甘い」
「今日は甘い日だったな」
「安心の味」
「母さんの卵焼きがどんどん重くなる」
「でも、本当に少し安心する」
リカはそう言って、少しだけ落ち着いた顔になった。
*
放課後まで、美緒さんからのメッセージは来なかった。
正確には、俺のスマホは何度か震えた。
父さんからの買い物追加。
翔太が送ってきた変なスタンプ。
クラスの連絡グループ。
アプリの通知。
そのたびにリカは一瞬反応した。
ただ、一度も「見せて」とは言わなかった。
そのかわり、反応するたびに自分で小さく深呼吸していた。
五時間目のあとには、
「通知音と和解するには時間がかかる」
と言った。
翔太はそれを聞いて、
「通知音と和解って、名言みたいに言うな」
と笑っていた。
放課後、俺たちはいつものように昇降口へ向かった。
リカは靴を履き替えながら言った。
「今日、通知にけっこう勝った」
「勝ったな」
「でも、美緒さんからは来てない」
「そうだな」
「来てないのに疲れた」
「来たらどうなるんだ」
「分かんない。でも、今日よりは少し耐えられるかも」
「そうか?」
「うん。父さんの牛乳で一回練習したから」
「父さんの牛乳が練習台」
「牛乳通知」
「変な言葉を作るな」
リカは少し笑った。
校門を出る。
夕方の空は薄く曇っていた。風がやや冷たい。
リカは俺の隣を歩きながら、ふと聞いてきた。
「悠真」
「うん」
「美緒さんからメッセージが来るの、嫌じゃないの?」
「嫌ではない」
「そっか」
「でも、緊張はする」
「緊張?」
「ああ。何を送ってくるんだろうとか、どう返せばいいんだろうとか」
「悠真も?」
「俺も」
リカは少し驚いた顔をした。
「悠真も緊張するんだ」
「するだろ。義妹候補だぞ」
「……そっか」
「まだ距離感が分からないしな」
「悠真も、分からないんだ」
「かなり分からない」
リカは、少しだけ安心したように息を吐いた。
「それ聞くと、ちょっと楽」
「何で?」
「あたしだけが変に気にしてるわけじゃないって思えるから」
「リカの気にし方はだいぶ変だけどな」
「そこは言わなくていい」
「でも俺も、気にはしてる」
「うん」
「美緒さんがどういう人なのかも、まだ分からない」
「うん」
「だから、リカも急いで何か決めなくていいんじゃないか」
リカは黙った。
しばらく歩いてから、小さく言った。
「嫌いになるのも、仲良くなるのも、急がなくていい?」
「ああ」
「嫉妬してる自分を、すぐ消せなくてもいい?」
「消せないだろ」
「うん」
「でも、行動にする前に止まれ」
「止まる」
「聞け」
「聞く」
「勝手に調べるな」
「しない」
「スマホを見るな」
「見ない」
リカは、一つずつ頷いた。
「じゃあ、今日は何点?」
「九十四点」
「昨日より下がった」
「通知にめちゃくちゃ反応してたからな」
「うっ」
「でも、見せろとは言わなかった。父さんでも見なかった。美緒さんに悪いって思えた。かなり高い」
「九十四点なら高い?」
「高い」
「じゃあ、今日は高得点の問題児」
「問題児は外さないんだな」
「アイデンティティ」
「そこをアイデンティティにするな」
リカは笑った。
その笑顔は、疲れているけれど、悪くなかった。
*
分かれ道に着いた時、俺のスマホが震えた。
リカが止まった。
俺も止まった。
画面を見る。
三枝美緒。
リカの顔が一気に固くなった。
「美緒さん?」
「……ああ」
リカは、ぎゅっと鞄の紐を握った。
でも、一歩下がった。
「見ない」
「うん」
「でも、内容は話せる範囲で教えてほしい」
「分かった」
俺はメッセージを開いた。
> 先ほど、お母さんが黒瀬さんのお父様と今週末の予定について相談していました。
> もし黒瀬さんの都合が悪い日があれば、先に教えてください。
> 無理に合わせる必要はないと思います。
事務的。
だが、少しだけ気遣いがあった。
俺は内容をリカに説明した。
リカは黙って聞いていた。
「……ちゃんとしてる」
「ああ」
「無理に合わせる必要はないって」
「うん」
「美緒さん、悠真の予定も気にしてる」
「そうだな」
リカは少しだけ複雑そうな顔をした。
「嫌だけど、悪くない」
「変な感想だな」
「本音」
「いいと思う」
「今、嫉妬した」
「うん」
「でも、美緒さんが変なこと言ってるわけじゃないって分かる」
「うん」
「だから、怒らない」
「偉い」
リカは目を閉じて、深呼吸した。
「返信していいよ」
「許可制じゃないって」
「あ、そうだった」
「でも、言ってくれてありがとう」
俺は美緒さんに返信した。
> ありがとうございます。
> 今週末は土曜の午後なら大丈夫です。
> ただ、まだ予定が変わるかもしれないので、その時は連絡します。
送信。
リカは最後まで画面を見なかった。
「返した?」
「返した」
「そっか」
「今日、最終点を変える」
「え?」
「九十七点」
リカが目を見開いた。
「上がった?」
「ああ」
「なんで?」
「美緒さんから実際に来たのに、見なかった。内容を聞いて、ちゃんと受け止めた。嫉妬したって言ったけど、怒らなかった」
リカは、しばらく何も言わなかった。
そして、ゆっくり笑った。
「九十七点」
「ああ」
「過去最高?」
「たぶん」
「やばい」
「泣くなよ」
「泣かない。今日は泣かない。九十七点だから泣かない」
「点数関係あるのか」
「ある。九十七点のリカは泣かずに帰る」
リカはそう言って、少しだけ背筋を伸ばした。
「悠真」
「うん」
「明日も通知音に負けない」
「ほどほどにな」
「美緒さんから来たら、聞いていい?」
「話せる範囲なら」
「スクショは?」
「なし」
「見せては?」
「なし」
「アイコンは?」
「なし」
「聞きたいけど?」
「なし」
「分かった」
リカは笑った。
「明日もいつもの場所?」
「ああ」
「幼なじみはまだ有効?」
「有効」
「美緒さんからメッセージが来ても?」
「来ても」
「重くても?」
「条件つきで」
「聞く。止まる。悠真のためって言う前に悠真に聞く。怖くなりそうなら一回止まる。家の前で偶然を装わない。質問代行禁止。スクショ要求禁止。スマホ覗き見禁止。通知音で死なない」
「また増えたな」
「追加条件」
「よし」
リカは手を振った。
今日は振り返らなかった。
いや、少しだけ振り返りかけた。
でも、途中で止めた。
そして前を向いて歩いていった。
それもまた、今日の九十七点の一部なのだと思った。
*
夜、リカからメッセージが来た。
『今日は九十七点』
俺は返信する。
『九十七点だった』
『通知音、怖かった』
『知ってる』
『美緒さんから来た時、めちゃくちゃ嫌だった』
『それも知ってる』
『でも見なかった』
『偉い』
『内容聞いて、怒らなかった』
『偉い』
『美緒さん、ちゃんとしてた』
『そうだな』
『嫌だけど、悪くなかった』
『今日の名言だな』
『名言?』
『リカにしてはかなりいい言葉』
少し間が空いた。
『悠真、今日も優しい』
『九十七点だったからな』
『点数制、便利』
『そろそろやめたいんだけど』
『やだ』
『だろうな』
リカから、少し長めの文章が来た。
『美緒さんのこと、まだ不安。悠真にメッセージが来るのも嫌。でも、美緒さんもお母さんのために連絡してるんだって思うと、全部嫌って言えない』
続けて。
『あたしも、悠真のためって言いすぎるとダメだけど、大事な人のために動きたい気持ちは分かる』
俺はその文章をしばらく見ていた。
リカはまた少し進んだ。
『それが分かるなら大丈夫だと思う』
俺は送った。
既読。
返信は遅かった。
『ずるい』
まただ。
『何が』
『大丈夫って言われると、本当にちょっと大丈夫になる』
『ならよかった』
『悠真』
『何だ』
『明日も通知が来たら、ちゃんと聞く。勝手に見ない』
『ああ』
『でも、ちょっとだけ褒めて』
俺は少し笑った。
『今日はかなり頑張った』
既読。
しばらく間が空いて。
『保存した』
『心に?』
『心に。スマホにはしない』
『偉い』
『おやすみ、悠真』
『おやすみ』
スマホを置いたあと、俺は美緒さんとのメッセージ画面を開いた。
短いやり取り。
丁寧で、必要なことだけ。
そこに恋愛めいたものはない。
だが、リカにとっては大きな揺れなのだ。
俺にとっても、ただの連絡先交換ではない。
新しい家族候補との線が一本つながった。
そしてリカは、その線を見て嫉妬しながらも、切ろうとはしなかった。
それは、かなり大きい。
普通の青春では、たぶんこんなことで九十七点なんてつけない。
でも俺たちには必要だった。
通知音と戦う幼なじみギャル。
静かに見てくる義妹候補。
その間で牛乳を買う俺。
改めて考えると、かなり変な日常だ。
けれど今日のリカは、ちゃんと我慢した。
ちゃんと嫉妬して、ちゃんと止まった。
それは、悪くなかった。




