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『自分のため』の小説を書いていこう!

 頭のなかにあらわれる『2つのハードル』――『無意味なハードル』と『レベルに合っていない高いハードル』が、あなたの邪魔をしているものの正体です。


 邪魔な『2つのハードル』に対処する方法も、おなじく2つありました。


 ひとつは『自分のため』に()()()すること。

 初心者に向いていない数値目標をやめて、行動目標に切りかえましょう。

 自分を責めることはやめて、ハードルを低いままにしておける工夫と努力をし、迷子にならないための『基準』を設けてみましょう。


 もうひとつは『自分のため』に()()()すること。

 最重要行動にたどり着くために、できるかぎり準備行動を減らしていきましょう。

 ハードルをつくりだしてしまう完璧主義病から脱し、合格ラインをさげましょう。

 100点満点ではなく、及第点をめざしていくのです。


 ここまで読んだあなたは、いまも「小説を書いてみたい」「小説を書きつづけていきたい」と強く望んでいるはずです。

 これからも『自分のため』に行動と環境を“やさしく”する努力をして、積極的に『2つのハードル』を排除していってください。



「自分に“やさしく”する理由と方法はわかった。でも、違和感があってどうにも動けない……」


 ――自分に“やさしく”する。

 この言葉に違和感があるのなら、あなたのなかで“やさしく”と“甘やかす”が混ざっているかもしれません。


 その対象が自分であっても、自分以外のだれかであっても、人を“甘やかす”のは悪いこと。


 子供のときからのすり込みのおかげか、“甘い”という言葉にたいして、きびしい目を向けてしまう人も多いでしょう。

 そうですね。たしかに“甘やかす”のはよくありません。

 最近では、親が子供を必要以上に“甘やかす”ことを「優しい虐待」と呼ばれるようにもなりました。

 悪いことという認識は、おそらく正しいものです。


 しかし、人にはやさしさが必要です。

 きびしくされているだけでは、心が折れてしまいます。

 自分に“やさしく”したい。

 けれども、自分を“甘やかす”のはよくない。

 この“やさしく”と“甘やかす”が、しっかり分離できていないと、混乱して立ち止まってしまう場合もあるでしょう。


 では、“やさしく”と“甘やかす”の違いとは、なんなのでしょうか?

 このふたつの言葉を分けるもの。

 それは「自分が望む目的に、すこしでも近づいているかどうか」にあると筆者は考えています。


 “甘やかす”とは、自分が望む目的から遠ざかる行動。

 小説を書きたいと望んでいる自分に、誘惑の強い遊びを与えたり、行動をサボらせたりして最重要行動から遠ざけ、習慣化の邪魔をすること。


 “やさしく”とは、自分が望む目的に近づく行動。

 小説を書きたいと望んでいる自分のために、誘惑をしりぞける、行動をうながすなどして最重要行動をとらせ、習慣化させるための工夫や努力をすること。



 ここは友人関係にたとえると、とてもわかりやすくなります。

 たとえばあなたには、資格取得をめざして勉強をしている友人がいるとします。

 資格試験のために勉強をしている友人に、わざわざゲームを差し出したりはしませんね。

 がんばっている友人の集中を途切れさせたり、誘惑を投げかけたりしてサボらせるようなことは、基本的にしないものです。


 状況によっては「すこし休みなよ」と声をかけるときもあるでしょう。

 友人が勉強にのめり込んでしまい、体調が心配なレベルになれば、あなたが休みを提案することもありえます。

 しかし、そのときにあなたが提案する休みは、時間が限定されているでしょう。

 1時間だけ。午後だけ。今日だけ。

 休みが終わったら、また集中する時間を設けることを前提に、そのような提案をするはずです。

 なぜなら、友人には資格を取得するという目的があります。

 あなたは、友人のだいじな目的が達成されるよう、とても気をつかいながら見守ることでしょう。



 そう、友人に対してならできるのです。

 冷静に、そして理知的に見守り。できるだけ“やさしく”接する。


 その相手が自分となると、なぜか混乱してしまう。

 “やさしく”しなければいけない場面で、なぜか“甘やかし”てしまったり。

 “甘やかし”を恐れるあまり、自分に対して“きびしく”してしまう。まるで、イソップ寓話の北風のように。


 そのような間違いを起こさないためにも、ここでキチンと整理しておきましょう。


 自分を甘やかす=目的につながる行動を邪魔したり、遮断するおこない。

 自分にやさしくする=目的に到達するため、自分がやりやすいよう行動や環境を変えていくおこない。


 この2つの違いが理解できていれば、“やさしく”と“甘やかす”が混ざりあい、立ち止まるようなことはもうありません。



 2つの言葉の違いを理解しても、いまいちやる気が出てこないのなら、それは行動をしていないせいかもしれません。

 あなたにも、身に覚えはありませんか?

 イヤだイヤだと先延ばしていたことでも。しぶしぶながらはじめてみたら意外と集中して、気がつけばスッキリ終わっていたことが。

 掃除でも、宿題でも、書類でも。

 いざやりはじめたら、けっこう楽にできてしまったという体験をしたことがあると思います。

 やる気は、出てくるまで待つのではなく、行動を起こすことで自分から迎えにいくものです。



 行動を起こすか起こさないかは、想像以上に大きな違いを生み出します。

 まずは、机に向かってみましょう。

 どんなにダルくても、いまいち気乗りしなくても、机に向かって執筆をする準備をしてください。

 机に向かっても一行も書けないでいるのなら、これから書く小説のイメージ。もしくはキーワードだけでも紙に書き出してください。


 繰り返しになりますが、小説を書きはじめられない、小説を書きつづけられないのは、才能や性格のせいではありません。

 『無意味なハードル』と『レベルに合っていない高いハードル』が存在しているせいです。

 行動を起こせない、行動を続けられないのは、単純に忘れてしまっているか、習慣化ができていないためです。

 うまく習慣化できていないのは、あなた自身に問題があるのではなく、習慣化のコツを知らなかったからです。

 その習慣化のコツはというと、自分を責めるのではなく、もっと自分に“やさしく”することです。


 『2つのハードル』は、誰の頭のなかにも出現します。

 しかし、ハードルが出てくることが悪いのではありません。

 対処法を知らないことが問題だっただけです。

 しかし、適切な対処法を知っていれば問題は課題へと変化します。


 ただ小説を書くのに、特別な才能はいりません。

 必要なのは小学6年生程度の国語力と、小説を書きたいと望む気持ち。

 そして『自分のため』に、自分の行動と環境を変えていく努力と工夫だけです。



 このエッセイに書かれているコツや『基準』は、あくまで一例。

 どのように変えていくのも自由です。

 変更するときのルールは、たったの一つだけ。


 自分に“やさしく”して、『自分のため』により小説を書きやすくする。


 これだけ守れば、大きく道をはずれる心配はありません。

 より自分に“やさしく”なるよう、好きなだけ追加や変更をしてみてください。




 まだ、小説を書きはじめていないあなた。

 このエッセイを読んだのも、きっとなにかのタイミングです。

 せっかくなので、今日から小説を書きはじめてみましょう。


 うまく習慣化できず、小説が途中で止まってしまっているあなた。

 ぜひもう一度、小説の続きを書いていきましょう。

 あなたの物語が、あなたに書いてもらえるのを、いまかいまかと待ちかねているはずです。


 ここまで読み終えた状態で、ひとつもキーワードを出していないあなた。

 まだ一行も書いていない、そこのあなた。

 つぎは、あなたの番です。さっそく行動を起こしていきましょう。



 準備はいいですか?

 それでは、はじめてください。


【まとめ】『自分のため』の小説の書き方のコツ。


・初心者である『自分のため』に、邪魔をしている『2つのハードル』を排除する。


・初心者である『自分のため』に、好きなジャンルのゴールが見えている小さな物語を、第一の読者のために書く。


・100点満点をめざさず、及第点をとれる小説をめざす。


・行動に着目して、小説を書く習慣をつけるため、自分に “やさしく” する努力をする。


・『基準』をつくるときは「小説を書きたいと願う自分」にとって、助けになるかどうかで判断する。


・小説を書いているのが当たり前になるまでは初心者。初心者のうちは『自分のため』に『自分のため』の小説を書くことに専念する。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 始めてみたことが、わりとおっしゃっていることとあたっていてうれしかったです。 [一言] 参考にしつつ、自分なりにやってみたいと思います。 ありがとうございました。 ハードルに気付いたらまた…
[一言] 初めて小説を書き始めたは良いけれども、「この作品は面白いのかな?」などと悩んでしまう事が多くあったのですが、これを読んで大分やる気と勇気が出て来ました。 これからは習慣づけて書くことを続けて…
[一言] 甘やかし過ぎず、自分をやさしく見守りながら、少しづつでも小説を書く習慣をつけて行きたいと思いました。 プロットを作っても、いつも根気が続かず直ぐ投げ出していたタイプなのですが、紹介されていた…
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