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第7話 格差のスタータス


『まずは己の器を確認するが良い。心の中で【ステータス】と念じるのだ』


 頭上の神の声に従い、他クラスの連中が一斉に叫び始める。


「うおお! 画面が出た! 俺、職業が【勇者】だ! 攻撃力が500もあるぞ!」

「見て見て! 私は【大魔導師】よ! 魔法適性が最高ランクのSSSって書いてある!」


 至る所で歓声が上がる。

 異世界のチート能力を手に入れた元エリートたちは、あまりの全能感に肩を震わせ、勝ち誇ったように笑っていた。

 一方で、俺たちXクラスの前に表示された半透明の画面は、悲惨極まりないものだった。


 名前:近藤 蓮

 職業:【無能】

 攻撃力:【1】

 魔力:【1】


 俺だけでない。お嬢様を含め、クラス全員の数値が最低値の【1】。職業欄は全員が【奴隷】か【無能】。

 それを見た他クラスの勇者たちが、お前らはどこへ行っても負け組だと、お腹を抱えて大爆笑し始めた。


「ギャハハ! 見ろよ! Xクラスのバカども、異世界にきても全員ステータス【1】のゴミだぞ!」

「あはは! あのお高くとまった没落令嬢、職業が【奴隷】になってる! マジでお似合いじゃん!」


 お嬢様の机を汚したいじめっ子女子たちも、お嬢様を蔑むように指を差して笑っている。


「おい、バカ委員長。異世界でも俺たちの靴を舐める仕事、やらせてやろうか?」

「お嬢様を殺して、俺たちが日本へ帰るための『生贄』になってくれよ!」


 サッカー部の男たちが武器を片手に、お嬢様と俺たちを「合法的にゴミとして間引ける」と確信し、容赦ない殺意を持って一歩ずつ近づいてきた。


 だが、他クラスの連中は誰も気づいていない。

 我がXクラスのハッカーが、魔導画面を指で叩きながら、冷淡に無線を繋いできたことに。


『――ウルフ(委員長)、通信確立。この世界のステータスシステム、セキュリティがゴミ以下です』

『何があった、ハッカー』

『僕たちの本気の数値をそのまま表示したら、この異世界のシステムサーバーが過負荷でバグって消滅します。だから、僕たちの能力は自動的に【最小値の1】に偽装(ステルス)されているだけです。……本気、出せますよ?』

『なるほどな。お嬢様、いかがいたしますか?』


 俺の問いかけに、列の中心で怯えるフリをしていた冷華お嬢様が、ふっと艶然たる笑みを浮かべた。

 お嬢様は優雅に一歩前へ出ると、髪についた現代のチョークの粉を払い落とし、冷酷に宣言する。


「皆様、ご苦労様。長かった『落ちこぼれ学園生活』のミッションは、これにて終了(クランクアップ)です」


 お嬢様のその言葉を合図に、今まで怯えて頭を下げていたXクラス全員の目つきが、一瞬で冷酷なプロのそれに切り替わった。


「――全員、本気の力を解禁しなさい。私をいじめた女も、彼らをパシリにした男も、全員一人の例外もなく、最も惨酷な方法で間引いてしまいなさい」


「御意(イエス・マム)」


 俺の脳内指令と同時に、Xクラス全員のステータス画面が激しく明滅し、本来のプロの数値へと書き換わっていく。


 攻撃力:【999999】

 魔力:【測定不能(エラー)】


 ドクン、と玉座の間全体の空間そのものが、圧倒的な重圧と恐怖で歪み始めた。


「え……っ? な、何だこのプレッシャー……!?」

「あいつら、ステータス【1】のバカクラスじゃなかったのか……!?」


 チート能力を手に入れただけの元パシリ魔たちの前に、本物の『バケモノ(プロ)』が、ついにその牙を剥いたのだ。


読んでいただきありがとうございます!

次回もお楽しみに!

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