第5話 全校集会の宣告
ある日の放課後、全校生徒が体育館に集められていた。月に一度の全校集会だ。
壇上に立ってマイクを握ったのは、サッカー部のリーダー男だ。
「おい、静かにしろ! 全校生徒の前で、ちょっと面白い報告がある!」
男の言葉に、体育館中がざわざわと騒ぎ出す。
男はニヤニヤしながら、俺たちXクラスの列を指差した。
「昨日さぁ、2年Xクラスのバカども全員に、俺たちの部室の掃除とスパイク磨きをやらせたんだよ! あいつら、床に這いつくばって、泣きそうな顔でゴミ拾いしててマジ笑えたわ!」
わっと、体育館中に大きな笑い声が響き渡る。
他クラスの生徒たちが、クスクスと小馬鹿にした視線を一斉に投げつけてきた。
(そんなこともあったな。まあ、普段行う任務の1万分と1の労力だが。)
「特に委員長の蓮! あいつ、俺が泥だらけの靴で頭を踏んづけてやったら、『喜んでやらせていただきます!』だってよ! マジで従順な犬だろ!」
「ギャハハ! マジかよ、惨めすぎる!」
「やっぱり名前も書けない落ちこぼれクラスは違うわねぇ」
いじめっ子女子たちも、お嬢様を見ながら楽しそうに笑っている。
壇上の男はさらに調子に乗り、マイクに向かって大声を張り上げた。
「というわけで! Xクラスのゴミ共! 今日からお前らは、毎日俺たちの靴を舐めて暮らせ! それがお前ら負け組にピッタリの仕事だ!」
体育館を揺るがすような、圧倒的な大爆笑。
俺は列の中で、わざと恥ずかしそうに頭を掻き、情けないバカ委員長を演じ続けた。
「あはは……すいません……」
その隣で、ヤンキー(戦闘プロ)のインカムから、今にも人を殺しそうな低い声が響く。
『……委員長。マジで限界っす。今すぐ壇上に跳んで、あいつの顎を噛み砕いていいすか?』
『耐えろ、ヤンキー。お嬢様を見ろ』
一条冷華お嬢様は、汚れた制服のまま、壇上の男をただ静かに見つめていた。
その瞳は、思わず身震いがするほどだった。
(――よく言ってくれたわ、ゴミ虫。今すぐ駆除したもらおうかしら。)
『お待ちくださいお嬢様――』
俺が裏で血の粛清を宣言した、まさにその瞬間だった。
体育館の床が、禍々しい紫色の光を放ち、激しく脈打ち始めた。




