第22話 神殺しの進軍開始
『ウルフ。神殿の外、神の城へ続く【絶望の荒野】の全マッピングを完了しました。神の構築した防衛システム、および迎撃部隊の配置データ、すべてこちらの画面に同期完了っす』
インカムからハッカーの少年の、冷徹なプロの声が響く。
「よし。これより、作戦フェーズ【神殺し(ゴッド・スレイヤー)】の第一段階、進軍を開始する。各員、奴隷部隊の配置を最終確認しろ」
俺の指示のもと、神殿の巨大な城門が、ギギギ……と重々しい音を立てて開き放たれた。
門の向こうに広がるのは、禍々しい雷雲が渦巻き、神の居城へと続く荒野。
その最前線に並べられたのは、首元に奴隷の呪印を刻まれ、涙と鼻水を流しながら武器を構えさせられている、他クラス数百人の元エリート生徒たちだ。
A組、B組、C組の勇者や聖騎士、大魔導師たちが、Xクラスを取り囲むようにして、ガチガチの【人間の防壁】を形成させられている。
「おい、泣くな勇者ども。お前たちのその強力なチートステータスはね、これから神様の放ってくる即死攻撃を、一発残らずその身体で受け止めるための『肉盾』として使うためにあるんだからさ」
軍師プロの男が、眼鏡の奥の瞳を冷酷に光らせながら、奴隷部隊の最後尾からスピーカー魔法で声を響かせた。
「嫌だ……嫌だ……! なんで俺たちが、あんな化物と戦わなきゃいけないんだよ!」
「神様、助けて! 俺たちはあなたのルールに従って、一条を殺そうとしただけなんだよぉ!」
奴隷にされた元エリートたちが、遥か上空の神に向かって絶叫する。
だが、約束を破ってゲームをぶっ壊した神からの返答は、冷酷な【迎撃(排除)】の光だった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
荒野の奥、雲を突き抜けてそびえ立つ神の城から、まばゆい白銀の光を放つ、巨大な翼を持った【天使の軍勢】が、数千もの数で一斉にこちらへ向かって飛来してきた。
異世界の神が放つ、一般人ならそれだけで精神が崩壊するほどの、圧倒的な死の軍勢。
「ひっ……ひぃぃぃ! 天使だ……本物の天使が、俺たちを殺しにくる!」
「怯むな、奴隷ども。――前衛、聖騎士部隊、大盾を構えて前へ出ろ。後衛、大魔導師部隊、迎撃魔法の詠唱を開始しろ。……お嬢様に一歩でも近づけたら、その場で脳をハッキングして自爆させるぞ」
俺の冷徹な命令コードが、彼らの首元の呪印を通じて、肉体へと強制注入される。
「う、うわあああああああん! 身体が、身体が勝手に前に出るぅぅぅッ!!!」
「魔法が! 勝手に最大出力で暴発気味に練り上がっていくんだよぉぉぉ!!!」
他クラスの奴隷勇者たちは、絶望の涙を流しながら、迫り来る神の軍勢に向かって、強制的に突撃を開始させられた。
中央の冷華お嬢様は、歩く椅子の台座の上で、優雅に紅茶の香りを楽しみながら、荒野の奥を見つめて微笑む。
最強のプロ集団と、涙を流す奴隷部隊による、前代未聞の【神殺しの戦争】が、ついにここに幕を開けたのだ。
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