第20話 二重の極限ざまぁ
「おい、ぐずぐず歩くな。ターゲットエリアまでの防衛ライン、お前たちの足の運びが2秒遅れているぞ」
神殿の巨大な回廊。俺は、首元に赤黒い【奴隷の呪印】を刻まれた元エリートたちを冷徹に見下ろしていた。
先頭を歩かされているのは、現代の学校で俺をパシリにし、校舎裏で「泥スパイクを舐めて磨け」と背中を蹴り飛ばした、あのサッカー部の男たちだ。
「う、うああん……動け、俺の足……っ! 頼むから、止まってくれよ……っ!」
元サッカー部リーダーの男は、涙と鼻水をボロボロと流しながら、自分の意志とは無関係に強制駆動する両足に絶望していた。
意識ははっきりとある。しかし、Xクラスのハッキングによって脳の運動神経を完全に掌握されているため、生まれたての操り人形のように不気味な足取りで、強制的に前進させられているのだ。
「なぁ、蓮くん……頼むから休憩させてくれよ……っ! チート能力の体力はあるけど、精神が、心がもう限界なんだよぉ!」
他のサッカー部員も、過呼吸気味に泣き叫びながら俺に命乞いをしてくる。
だが、俺は彼らの横を音もなく歩きながら、冷たく微笑んだ。
「休憩、ですか。おかしなことを言いますね。あなたたちは現代で、俺に『終わるまで一歩も帰すんじゃねえぞ』と仰って、部室のゴミ袋を大量に投げつけてきましたよね? あの時、俺がゴミを拾うのを大爆笑しながら見ていたあなたたちが、なぜ今になって泣いているのですか?」
「あ、あ、あの時は、ただの冗談で……っ!」
「冗談、ですか。では、これもただの冗談です。ほら、もっと胸を張って前に出てください。神の城までの道中、どこにどんな即死トラップがあるか分かりませんからね。あなたたち【勇者】の頑丈な肉体で、しっかりと罠を踏み抜いて安全を確保していただかないと困るんですよ」
「ひっ……ひぃぃぃぃッ!?!?!?」
男たちは顔面を土気色に変えて絶叫する。
死んで一瞬で虐殺された恐怖の記憶を刻み込まれた上に、生き返らされてからは、かつてパシリにしていた俺の命令によって「使い捨ての罠解除犬」として酷使される二重の地獄。
これ以上ないほどの極限の『ざまぁ』が、彼らの身に突き刺さっていた。
「委員長、前方の空間に微弱な魔力トラップを検知したっすよ。たぶん、踏んだら広範囲が爆発するタイプのやつっす」
後方からヤンキーが、退屈そうにガムを噛みながら無線を飛ばしてきた。
「了解した。ハッカー、A組の奴隷たちの歩行コードを前方へ10メートル強制加速させろ。彼らのチート体力なら、爆発の2、3発は耐えられるだろう」
『はーい、了解でーす。それじゃあ、元エリートの皆様、ダッシュで爆弾を踏み抜きに行ってねー!』
「嫌だあぁぁぁ! 行きたくない! 身体が勝手に走るぅぅぅッ!!!」
サッカー部の男たちは狂ったように泣き叫びながら、自分の意志に反して全力疾走を開始し、魔力トラップが仕掛けられた闇の奥へと強制的に突撃させられていった。
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