第15話 死体の山と優雅な紅茶
俺たちの無双が終わった神殿の広場。
至る所に転がっているのは、さっきまでチート能力を貰って「ボーナスステージだ!」と大はしゃぎしていた他クラス全員の、無惨な死体の山。
そんな血の海と肉塊の山の中心で、一条冷華お嬢様は、傷一つない優雅な姿で、召喚された玉座の間の椅子に腰掛けていた。
白粉で汚された制服のままであることなど、もう気にする風もない。
「ふぅ……。蓮、お疲れ様。やっぱり、あなたたちに動いてもらうのが一番早いわね」
「恐れ入ります、お嬢様。お怪我はございませんか?」
俺はお嬢様の傍らに立ち、玉座の間のテーブルに残されていた、異世界の最高級の茶葉を用いた紅茶を優雅に注ぎ、差し出した。
お嬢様はティーカップを受け取り、上品に一口すする。
「ええ、完璧よ。現代では、パパの命令だからって、あのマヌケな一般人たちにいびられるのを我慢していたけれど……。本当に、胸がすっとしたわ。ゴミはゴミらしく、床を真っ赤に染めるのが一番お似合いね」
お嬢様が艶然と微笑む。その笑顔は、現代での屈辱をすべて晴らすかのように、最高に輝いていた。
周囲に控えるヤンキーやハッカー、Xクラスの護衛たちも、全員が満足そうに獲物を収めている。
「しかし、他クラスの連中も哀れなものですね。神から【勇者】だの【大魔導師】だのという職を貰って調子に乗った結果が、これ(死体の山)ですから」
ヤンキーが床の死体を蹴り飛ばしながら、鼻で笑った。
「しょうがないよ。彼らはただの高校生(一般人)だもん。僕たちの、世界のシステムすらバグらせる【キチガイ規格外】のステータスの前じゃ、神様のチート能力なんて、オモチャのプラスチックの剣と変わらないんだからさ」
ハッカーの少年が、魔導画面のエラーログを消去しながらクスクスと笑う。
Xクラスにとっては、他クラス全員を殺することなど、現代でパシリに走るよりも、遥かに簡単な『大掃除』に過ぎなかったのだ。
「さて、神様? ルール通り、私たちのクラス以外のリーダーは、すべて一人の残らず間引き終わりましたわ」
お嬢様は紅茶を飲み干すと、ティーカップをソーサーに置き、頭上の虚空を見上げた。
「約束通り、私たちXクラスだけを、今すぐ日本の元の世界へ帰しなさい」
お嬢様の冷酷な声が静まり返った神殿に響き渡る。
神の提示したデスゲームのクリア条件。他クラスのリーダーを全滅させ、生き残った1クラスになること。
俺たちは一人の犠牲者も出さず、完璧にミッションを遂行した。
あとは、帰還のゲートが開くのを待つだけ。
――だが、頭上の虚空から返ってきたのはー。
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