第12話 不可解な不運の連続
「くそっ、囲まれたなら戦うしかねえだろ!」
「俺たちには神から貰ったチート魔法があるんだ! 一斉にぶっ放せ!」
神殿の中央広場へと追い詰められた他クラスの生徒たちが、半狂乱になりながら武器を構えた。
生き残りが、生き残るために必死の抵抗を試みようと、一斉に魔力を練り始める。
「死ね! バカクラスどもォォォ!」
他クラスの魔導師たちが、炎や雷のチート魔法を俺たちに向けて一斉に放とうとした。
だが、その瞬間。
「うわあああ!? 熱い! 何で俺を撃つんだよ!」
「バカ、お前が急に前に割り込んできたんだろ! 魔法が暴発した!」
広場の至る所で、突如として身内同士の誤射と大混乱が発生した。
炎の球が味方の背中に直撃し、雷の刃が隣の味方の首を撥ね飛ばす。
「おい、何やってんだ! 狙いをあいつらに定めろ!」
「無理だ! 照準システムがおかしい! 勝手に味方にロックオンしちゃうんだよ!」
他クラスの連中がパニックに陥り、大怒鳴り合いを始める。
せっかくの圧倒的な数の暴力が、完全に身内同士の殺し合いへと変わっていた。
彼らには、これがただの「不可解な不運」に見えているのだろう。
だが、広場の2階の回廊から、我がXクラスのハッカーの少年が、魔導画面のバグコードを高速で書き換えながら、心底楽しそうに声を響かせた。
「あはは! マジでマヌケ! 味方の魔力波長の識別コード、僕が全部バグらせて上書きしといたよ。君たちの魔法はね、味方のチート魔力を『敵のボス』だと誤認するように設定し直したんだ」
「な……お前、ハッキングしたのか!? 神のシステムをか!?」
「だから、ゴミ以下だって言ってるじゃん。君たちが必死に魔力を練れば練るほど、目の前の味方を自動的に最大火力で爆破する。――ほらほら、もっと頑張って魔法を唱えてみてよ。勝手に自滅してくれて、僕たちの手が汚れなくて助かるんだけど?」
ハッカーの嘲笑とともに、広場はまさに地獄絵図と化した。
聖騎士の放った斬撃が味方の勇者を切り刻み、大魔導師の放った広域爆発が、自分たちの足元の連中をまとめて巻き込んで消し飛ばしていく。
「現代でもさぁ、お前らが放課後にお嬢様を監禁しようとした時とか、強引にナンパしようとした時、全部『不可解な不運な事故』が起きて撃退されてただろ?」
俺はゆっくりと歩を進め、自滅していく他クラスの連中を冷たく見下ろした。
「あの時も全部、僕たちが裏でシステムをハッキングして、サイレンサーで銃弾撃ち込んで、偶然の事故に見せかけて処理してたんだよ。一般社会のルールがあったからね。……だけど、ここじゃそんな隠蔽工作、もう必要ないんだ」
「ひっ……ひぃぃぃ……!」
自分たちが現代で受けていた「不運な事故」の正体が、すべてこのプロたちの仕組んだ罠だったと知り、生き残りたちは完全な絶望へと落ちる。
味方の誤射と暴発によって、数百人いた他クラスの軍勢は、戦うまでもなくみるみるうちにその数を減らしていった。
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