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ROMANCE  作者: 北村タマオ
第1章 原始・古代
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六 1.8倍

 約2倍。数にすると、そこまで増えているようには見えないが、現にそこまで大きくした銅剣を振り回すとなると、何ともしんどいものである。先ず、重たい。そして、振ると身体がその方向に持って行かれてしまう。こんな物で、あの一撃離脱、「斬首作戦」が出来るのか。

 しかし、これまで通りの既製品の銅剣では、頭の鎧を砕くのには多少威力不足が否めない。矢張り得物をデカくして、頭1点を砕いて終わらせるしかない。約2倍、1.8倍のサイズを持つ特注品であり、評判の名工に頼んで打たせたのである。

 今、こうして約2倍の銅剣を自分の物にしようとしているのが、アマノ、その戦でも強さから西方の大陸国より「日本武尊」の名を頂いた戦士である。

 しかし、何度振っても何度振っても、自分の思い通りに動くとは思えない剣である、自分の身体を苛め抜いて鍛えても、なかなか上手くいく訳では無い。この剣が使える様になるまでに、どれだけ時間がかかるのか。

 「邪馬台国」の指導者、男にして女王のツキナ、大陸国より「卑弥呼」の名を頂いた魔術師は、そのアマノの特訓を見つめながら、心苦しい限りであった。アマノの強みは、洞察力と素早さだ。あの1.8倍の大剣では、素早い攻撃は出来ないのではないかと危惧していた。

「そんな剣、使い物になるのかな」

「使い物にならなければ、次の戦いでは手も足も出ないで殺されるでしょう。この剣に賭けるしかない」


ガンキもまた強い手下を探していた。自分達が霰払いをしている内に、敵の司令官をアマノに見つけ出させて、これを討たせるしかないのだ。その為には出来る限り強い手下が必要だった。

 時折、田んぼで作業をしながら、図体の良い男を物色していたが、とんでもなく使えそうな男が3人も居た。ガンキは早速作業をほったらかしにして、3人歩み寄る。

「お前達、俺の手下にならないか。1人で戦うよりも、4人で戦う方が良いに決まっている。お前達は強くて頑丈そうだ。俺の求めている男だ」

 3人は、ソツマの手下だった男達であった。本当は、こんな争い事に巻き込まれたくは無かった。どんなに強くて偉丈夫を誇っても、武器を使われたら意味が無い。「強さ」と言う言葉の持つ虚しさに気が付いた3人は、もう2度と争い事に巻き込まれない事を決めて、畑仕事や田んぼ仕事に勤しんでいた。

 その旨を聞いたガンキは、それでも尚食い下がる。

「ならお前達も武器を持て。偉丈夫に武器が加われば、怖いものなしだ。もう一度、戦ってくれ」

 こう言われると、なかなか悪い気はしない。それでも、ソツマの最期が頭に過るのだが、1度死んだろくでもない親分の事など、そこまで未練は無い。

「分かりました。吾らの命、あなたにお預けします」


「45,46,47,48、49,50」

 約2倍の銅剣を素振りしながら、アマノは素振りの数を数える。目標としては、普通サイズの100回を目指しているのだが、なかなかそうもいかない。60回か70回でバテてしまう。身体の一部にするのには、まだまだ時間がかかるだろう。

 一撃で、兜ごと砕く威力を求めるのには、これしか無い。相手が親切に兜を脆くしてくれる筈がない。であれば、こちらが力を強くするしか無い。ここで妥協したら、死ぬのはこちらである。

 ゼエゼエと肩で息をしながら、日本武尊ことアマノは、自分の愛剣となる1.8倍の剣を眺める。全身から汗をボタボタと流しながら、自分が斃すべき相手を見据えてた。


 朝鮮半島の某国より、兵が到着した。今や「反女王派」は大きくその力を削がれている。これから先、どんな条件が、それが領土割譲であったとしても、受け入れざるを得ない。連中に負けるくらいならば、その程度の事が我慢できるし、後で取り返せるのも出来るのである。

 しかし、異国の地の兵というのは、戦い方は勿論、ルールも違うらしく、なかなか苦労させられていた。これで勝てるのか。あの日本武尊に、あの卑弥呼に。しかし、今回は特別措置をしている。司令部を3箇所に分割しての戦いである。

 あの一撃離脱、「斬首作戦」に対抗するのに、一番分かり易く、そして効果的な作戦である。誰もがそう考えていた。

こうして、「邪馬台国」の次なる戦が始まったのである。


今度は朝鮮半島の某国からの援軍も含めての陣容であったが、ガンキと新しい3人の手下を中心とする「邪馬台国」の軍勢は、良い戦いをしている。その中で、1人アマノが、日本武尊がジィッと戦場を眺めている。

 3つだ。敵の司令部は3つに分かれている。危険を分散する為に、3箇所に分かれたのだろう。しかし、幾ら3箇所に分かれても、総司令官は1人だけだ。背中に背負っていた銅剣を手に取ると、お互いに銅剣で叩き合って、血と汗を飛び散らせている中を駆け抜けていく。これまでの猛訓練が生かされているのか、1.8倍の銅剣を手に持っていても動きに鈍さは無い。

 一番奥の位置にあった司令部の総司令官の頭に1.8倍の大きさの銅剣が、凄まじい腕力で振り下ろされて、兜ごと頭が砕ける。

 他の護衛が3,4人、束になってかかってくるが、あっと言う間に1.8倍の銅剣に鎧ごと体内の脾臓を叩き潰されて、倒れていく。


 戦は、またしても「邪馬台国」の圧勝に終わった。


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