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ROMANCE  作者: 北村タマオ
第1章 原始・古代
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五 進化する一撃離脱

 29カ国。100以上の国々に別れている中では、大した数である、最初期の「邪馬台国」としてのこの数は、多いと言える規模であった、ほぼ3分の1がこちらに降ったのである、これもこれで話題を呼んだ、

 「反女王派」は、焦った。このままでは自分達は少数勢力となって、討ち滅ぼされるのには違いない。「戦いは数」である。急がなければ、こちらも「反女王派」同士でもって結束しなければ、こちらの数が多い内に大きない戦を起こして、「女王派」の鼻を打ち砕かなければならない。

 1度、大きな「戦」を起こす必要があった。両派にとって、それは共通の認識であった。


 こうして、集まった「反女王派」の「クニ」は、50カ国。別に多くも少なくとも、予想通りの国数であった、「女王派」は41カ国が集まった。あの「儀式」の演出は兎も角として、彼らの理想である「倭国統一」に同調している「クニ」達が、これ程までに集められると言うのは、予想外であった。

 「反女王派」にとって、それは最大の脅威であった。数にすればほぼ互角、しかし、兵の数は敵の方が若干有利。そして、「女王派」には戦の天才乙女、アマノが控えている。

 ツキナ女王は、政治の一切は自分が取り仕切っていたが、戦の一切はアマノに任せっきりである。理想的な適材適所であるが、アマノはここで思いきった事をする。

「それぞれの「クニ」で腕っ節の良い奴等を選び出して、実力差にて兵を分ける」

 「女王派」の兵達は、最初は戸惑っていたが、理由をすぐに察して了解して、大規模な訓練を行われていた。その中で一番の大男は、ガンキと呼ばれると男で、通常の1.5倍のサイズの銅剣を用いて戦う男である。

 アマノは、全ての準備が整ったのを知った上で、出陣の許可を求めた。また例の「儀式」が行われた後で、「神託」が与えられる。

「今こそ好機。攻めるべし」


 それは文字通り、これまでにない規模の戦いであった。100以上の「クニ」に分かれていたのが、2派に分かれて争うのだ。数も双方合わせ1万に近い。

 数千の兵が集まる「女王派」のアマノは、実質副官のガンキに告げる。

「先陣を務めるのはあなたよ。精々暴れてくれないかしら」

「おぅ、任せろ」

 ガンキは、デカい銅剣を引き抜くと、自分の部下達に言い放つ、

「倭国統一の実現の好機、この一戦にあり! 全員命懸けで戦え!」

 ガンキは、兵達はを率いて、「反女王派」に対して突っ込んでいく、ガンキは確かに強く、次々と敵兵を銅剣で鎧ごと粉砕して、骸をそこら中の転がせさせている。

 さて、そうやってガンキが「反女王派」がひっちゃかめっちゃかにされている内に、アマノは戦況をジィッと見つめる。敵も馬鹿では無いらしく、複数の指導者を連れ散る。それは囮ではなくて、「反女王派」の首長全員であろう、男が5人程度。

 上等だ。5人までならやってやる。周りに護衛らしき兵の数は見えない。前線でガンキが頑張っていれば、そこを抜けて敵の司令部に突っ込んでいけば良い。

 アマノは銅剣を手に取ると、まるで狼の如く戦の真っ只中に突っ込んでいく。兵と兵の間、剣と剣の間、それらを全て躱していき、戦場を駆け抜けていく。司令部に躍り出るアマノ。銅剣の刃が、首を斬り、目を斬り、顔面を割り、両手を砕き、額を割る。

 少し時間がかかったか。流石に5人は多かったかも知れないが、敵の都合に合わせるわけにもいかない。アマノは、急いでその場を後にしようとするが、護衛がすぐに集まってくる。駄目か。そう思われた時、その後ろからガンキがやってくる。

「お嬢さん、今の内に逃げな。もうやる事終わっただろう!」

 悔しいが、これは正しい現状分析であった。ガンキの助けを得て、アマノはその場を駆け抜けていく。そろそろこちらも、新しい「斬首作戦」を考えなければならないな。その為にも、身体も鍛え直さなければなるまい。

 「反女王派」の首脳部を全て失った敵は、指揮官を失って混乱の極致にあった。その中をガンキを中心とする筋肉馬鹿が暴れ回る。やがて次々と剣を捨てて降伏し始めていた。


結局、負けを認めたのは18カ国。無論、この18カ国は「邪馬台国」に参加する事になった。残る「クニ」は、再び攻めてこようと意志はあったが、また兵を募ろうにも被害甚大で、戦力の回復には時間がかかった。

 そして、この戦は意外な相手を刺激していた。西方の大陸国は、この「女王派」の見事な争いに対して、「邪馬台国」の存在を認める金印を送り、アマノに対して「日本武尊」の称号を送り、ツキナ女王に「卑弥呼」の名を与えていた。

 邪馬台国は急速に巨大な勢力として倭国に君臨し始めていた。


 アマノにとっては、不本意な結果であった。得意の一撃離脱は、首長の増加で早くも限界が見えていた。以前の様に王1人斬り殺せば良いと言う状況でもなくなっている。何か良い策はないものか。

 暫く考えて、そんな物は無いと言う結論に至っていた。唯一の解決方法が、敵の兜を一撃で砕けるだけの豪腕と大剣を使うしか無い。これしか無いという結論である、

 アマノは、鍛冶屋の門を叩くと、これまでより1.8倍の銅剣を要求していた。無論、それに合わせてフィジカルの方も鍛え始めていた。基礎的な力が足りなければ、鍛えるしか無い。今後も増え続けるであろう、大きな戦に置いて、このままではいけないと判断していた。

 このままでは、限界だ。だからこそ、限界を超えなければならない。ツキナ女王を、「邪馬台国」を守り抜くのには、そうする他ない。

そんなアマノに、ガンキが話しかける。

「おう、そんなに焦って如何するつもりだ」

「強くなる」

「おう、結構、結構。銅剣も1.8倍とは、デカいの頼んだな。あれ扱えるのかい?」

「むしろあれがギリギリ使える大きさよ」

「そうだな。でも、あんたの強さは、一撃離脱は勿論そうだが、その素早さだろう。デカい銅剣を持ったら、それこそ素早く動けないんじゃ無いか」

「それを含めて、身体を鍛えている。これ以上、無様な戦いは出来ない」

「ああ、アマノはもう「邪馬台国」を象徴する、「日本武尊」だからな」

「……で、そんな話をするために此処へ来たの?」

「そうだな、すっかり忘れていた。残った「クニ」も、全力で抵抗するらしい、あの時の様な戦が、2,3回は覚悟しておけと言う話だ」

「協力者がいるわね」

「よく分かるな。北西の国から幾らか兵が投入されるらしい。こっちとしては、あんたが頼みだからな。頼むぞ、日本武尊」

 あんまり好きな呼び名では無かったが、アマノは1.8倍の銅剣を手に取る。こいつはなかなか使い甲斐のある重たくて、長く、扱いづらい代物である。なる程、これを縦横無尽に扱える様になれば、「日本武尊」になれるかもしれない。


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