表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界融合 〜崩壊した世界で少女達と共に生き抜く〜  作者: レモンGUN
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/63

撤退


「んむ……んちゅ……えぅ……」


「ん……む……ぷはっ……はぁ……ふぅ……」


 俺は今、姫葉と抱き合ってキスをしている。手を繋いで筋力強化をかけ続けながら補給をしているのだ。かれこれ二十分は経ったと思う。

 姫葉が盛大にイった後、春華に着替えを持ってきてもらって着替えさせたのだが、騎士に勝つために必要なことだということでそのまま行為は続けられた。

 性欲がある程度解消されたからか、冷静になったようで、キスは貪るような激しいものではなくゆったりとしたものに変わっていた。

 顔を赤らめながらも眉間に皺が寄っており、こちらを睨みつけながら鼻息荒く舌を絡めてくる。嫌ならやめれば良いのに……。


「はむ……ちゅむ……んむ……んむ……」


 乳首で補給でもいいんじゃないか?と言ったら、こちらの方が効率が良いだろ、と言われてキスをし続けている。

 なかなか息継ぎさせてもらえない……。


 ま、まあ……おかげで最強のクローン軍団の量産に成功しているのだから、良しとしよう。

 長時間の強化付与により姫葉の筋力は上昇し続けており、その筋力を引き継いだクローンが次々と量産されていく。

 今いるクローンが負けたとしても、より強くなったクローンを出せば良いし、その時に消費される魔力は俺との補給により賄われる。

 永久機関が完成しちまったな?


 今のところ筋力強化の上限はなく、時間が経てば経つほど姫葉の力は強くなっていっている。時間はこちらの味方というわけだ。

 敵がこれに対抗するには素早く俺たちを殺しにかかるしか無い訳だが……気付かなければ行動に移すことはできない。襲われる可能性は低いか。

 あと考えたいのはどれだけこちらの被害を減らすことが出来るかだな。

 すでに方針はユニオン全体に伝わっているみたいで、いのちだいじに、の方針の下、逃げながら遠距離攻撃を続ける形にシフトしていた。


 周囲がぼんやり光り、姫葉のクローンが現れる。姫葉はキスしながらも能力でクローンを作り続けていた。


「ぷはっ……少し、能力を使うのを控えようか……」


 姫葉が強化されたことによって、クローンが殺される頻度も低くなっている。姫葉は能力を使うごとに若くなっていってしまうので、際限なく若くなっていってしまうのだが…………今は小学校低学年くらいまで若返ってしまっていた。


「分かった……はむ……ちゅっ……んむ……」


 そして、そんな姫葉とキスをする俺。能力使わないなら補給も必要無いよね?という意味合いもあったのだが……姫葉によってキスは続行された。

 小さな口から舌が一生懸命に伸ばされ、舌をチロチロと舐めてくる。

 姫葉は通常時は出るとこは出るスタイルの子だったが、この歳になると流石に胸は無いな。押しつけられていた柔肉はいつのまにか細っこい胴に変わっていた。


「んむ……れぅ……あむ……ちゅっ……ちゅっ……」


 身長も小さくなったことでキスの体勢も変わり、俺の首にしがみつくような形になっている。

 脚は背中に回され、ガッチリと固定された。

 …………相変わらず睨まれているが、なんというか……可愛いらしい、という印象しか受けないな。改めて見るとやっぱり美形だ。元の姫葉は凛々しい顔立ちの美人だったし、その面影はロリ姫葉の頃から垣間見える。


「むふ……れぅ……ふはぁ……もっと舌を伸ばせ……届かんだろうが」


「は、はい……」


 そもそもキスする必要無いと思うんだが……解放作戦が終わるまでキスし続けるつもりだろうか……。




  ────── ────── ──────




「二人やられた!陣形を組み直せ!」


 死体を投げ捨て、空いたスペースに団員が入る。後方からの火力支援が薄くなるが、防御を緩めるわけにはいかない。

 まいったな……異世界人に押され始めている……。奴らはほとんどが穴の中に隠れてしまった。遠距離攻撃が少なくなったのは良かったのだが、代わりに同じ顔の子供が襲いかかってくるようになった。


「死ねぇっ!」


 凄まじい憎悪を向けてくる上に、死を恐れないのか捨て身で突っ込んでくる。

 おそらく敵の固有魔法で兵を無限に生み出せるようなものがあるのだろう。異世界人は魔力が操れず、魔法も使えない無能ばかりだが、一つの固有魔法を習熟している場合がある。

 その殆どは取るに足らないものなのだが、たまにこのように厄介な固有魔法持ちが紛れている。


 殺しても殺しても減る様子が無いな。常にこちらの首を狙ってくる無限の子供の兵……恐怖以外の何物でも無い。

 かつて我が騎士団が主導したリッチー討滅戦が思い出される。いくら焼こうが次から次に蘇る屍肉の兵だ……相手にしている団員たちも狼狽えているのがわかる。


「落ち着いて対処しろ!大丈夫だ、何事にも限度はある。殺し続ければ道は開ける!」


「しかし団長……こいつらスピードが、上がっています!力も強くなって……組み付かれたら対処できません!」


 …………本当に厄介だ。最初から同じ顔の兵はいたが、確かにその頃より格段に強くなっているように思える。走るスピードは上がり、より高く跳び、自己強化した騎士の剣を弾く筋力を持っている。

 油断したのか、団員はすでに何人も殺されていた。

 なぜ今になって強くなったのか……手加減をしていた……?何のために?油断を誘うため……?


 いや……羽山優希か……?やつは他人を強化する固有魔法を持っていたはずだ。他人強化の固有魔法……集団戦において無類の力を発揮し、そして珍しい貴重な固有魔法だ。

 体系化された現代魔法学でも他人の強化は難度の高い魔法だ。たまに固有魔法として発現する者もいるが、使いこなせるかは別の話だ。


 ネイの女騎士達から逃れ、やつが敵の集団に合流するのも遠目から確認していた。

 先程まで戦場を駆け回って強化を付与して回っているのは知っている……ネイの未来の夫だからと手心を加えていたのだが……まさか……。


 ……くそ……やつはウェリアだ……頭の中で全てが繋がった。我々は……今のままでは負ける。


「防御陣形弐型!退避する!」


「はっ!」


 勝つ道はあるか……?無限の兵を呼び出す固有魔法持ちを殺すか、羽山優希を攫う……いや……現実的ではないな。この野蛮人どもは穴を掘って隠れている。

 敵の姿の視認ができず、防御も固い。防御魔法を持ち得ないはずの異世界人相手に攻めあぐねるとはな……。

 どこに目標がいるのか確認できない状態で突撃するわけにはいかないか。


 ……仕方がない、使いやすい場所だったのだが……。


(全団員に告ぐ、我々騎士団はこの領土を放棄する。また、魔物避けは切る。これだけ魔法戦を行えば、ヤツは間違いなく来ると思われる。速やかに退避せよ)


 俺は魔物避けの魔道具への魔力供給を絶ち、防御陣形のまま浮遊魔法でその場を離れた。




  ────── ────── ──────


  


「ネイテール様!」


 ニルファの声に身体を大きく旋回させる。すぐそばを槍を突き入れる女が通っていった。……完全に死角からの攻撃だった……私一人なら死んでいたかもしれない。

 その女はそのまま通り過ぎていき、物陰に隠れた。


 ……さっきから肝の冷える攻撃ばかりですね……。

 ただでさえ鬱陶しい遠距離攻撃が飛んでくるというのに、隙をついたように槍を持って突進してくる女がいる。

 この状況なら陣形を固めて防御したいところですが、大きく動くことのできない防御陣形では不可思議な固有魔法の餌食になってしまう。

 しかも私の最高火力である爆散魔法もその不可思議な固有魔法に無力化されてしまっていた……。

 …………あぁ……もう……面倒くさい!


 早く終わらせて優希さんと至福の時を過ごす予定だったのに……!

 そう、優希さんだ……合流したニルファ達の報告では襲撃にあってその隙に取り逃がしてしまったと言っていた。今はチックに追跡を任せているからこっちには二人で加勢に来たと。

 優希さんは……逃げたのだ。


 みんなで気持ち良くしてあげて、三人の監視があって、その上魅了魔法までかけていたのに……それでも優希さんは私の下を離れて行ってしまった……。


 運命。そんな言葉が頭によぎる。


 ……優希さんが私のものにならないなんて今更考えられない。胸が苦しくなる。

 優希さんには申し訳ないですけど……監禁した方が良かったのかもしれませんね。

 運命が私から優希さんを奪うというなら、それをねじ伏せるほどの愛を注がなければいけなかったのだ。


「……っ」


 また槍を避ける。

 死角から襲いかかってくるし、動き始めや別のことへ意識がそれたタイミングを狙って襲ってくるから、常に気を張ってないといけない。

 殺気が溢れ出ているのでそれで多少は察知し易いのが救いですが……しかしあの殺気を向けられる覚えがないというところは不可解ですね……。

 あのとてつもない憎悪……ここまでのものを向けられるのは生まれて初めてかもしれない。

 今日初めて会った女。少なくとも私には見覚えは無い。この建物にいた異世界人は何人か殺しましたけど……親しい仲の者でも殺してしまったのでしょうか。

 人違いの可能性もありますね……だとしたら迷惑な事す。お陰で優希さんをお迎えに行くことが出来ないのですから。


 ああ……優希さん……何故逃げたのですか……?私はとても悲しいです。

 …………魅了魔法の効果は時間と共に強力になっていくものだ。まだ適用して二日目……仕方のないことなのかもしれない。10日もすればもう私のことしか考えられなくなって、私との甘々ラブラブ生活をしたくなるはずですけど……そんなの待てません!

 私は今すぐにラブラブ新婚生活を送りたい……。


「…………っ!」


 また出てきた!

 けど……


「………………」


 な、なんでしょうか……あの女、姿を見せたと思ったら……襲ってこない。ずっと私を睨みつけている……。思わず恐怖を感じてしまった……。降参する気にでもなったのでしょうか。

 恐らく広場の方はもう鎮圧間近でしょうからね。向こうが終われば次はこちらです。素早く鎮圧できなかったのは残念ですが、時間は私の味方。


「どうしました?降参でもするのでしょうか。今すぐにここから消えてくれるのであれば命だけは助けてあげますよ?」


「…………」


 …………不気味だ。ずっとこちらを睨んでいる。何か他に狙いが?……いや、口元が動いている……何か喋っている?


「…………くな……」


 …………?


(優希さんに近づくなっ!この淫乱女っ!)


「……ひっ!」


 な、なに……?頭の中に急に……しかも同時に流れ込んでくるこの怒りと殺意……吐き気を催すほど感情を揺さぶられているのを感じる。

 あの女がやったのでしょうか?……う……私に向けられるこの憎悪……心臓を鷲掴みにされたかのような錯覚に陥った。

 ……優希さん……?この女、優希さんのことを知っているのでしょうか?近づくなだと……?


「……あ、あなたには関係無いでしょう?いくら私と優希さんが愛し合っても」


「悍ましい魔法を使って優希さんの心を汚したのは知っています!そんなもので私の優希さんを取らないで!」


 …………私の?……何を言っているのでしょうか、この女は ……。


「私の優希さんですよ。あなたこそ、いくら羨ましいからといって、卑しい考えで私達に近づかないでください」


「なっ!……あなたが後から優希さんを奪ったんです!卑怯な手で!」


 ……この女……優希さんの何だというのか……。ただ、詳細は分かりませんが、優希さんに対して並々ならぬ感情を抱いているというのは伝わってくる。

 ようやく謎が解けました。何故こんなにも殺意を持って私を狙っているのか。

 この女は優希さんを狙う泥棒猫ということでしょう。


 そういうことなら私もこの女を殺さなければいけない理由が出来たということですね。優希さんとの幸せラブラブライフを送るのに、この女の存在は障害になる可能性がある。


「ふっ……好きに言いなさい。いくら吠えたところで、私は私の全てを使って優希さんを手に入れるだけのことです」


「全て……?私だって……私の全てを……!」


(全団員に告ぐ、我々騎士団はこの領土を放棄する。また、魔物避けは切る。これだけ魔法戦を行えば、ヤツは間違いなく来ると思われる。速やかに退避せよ)


 …………なっ……撤退!?兄さん……なぜ!?


「ネイテール様っ!」


「ええ……」


 撤退……騎士団が負けた……?異世界人如きに?それに魔物避けを切ったと…………っ!優希さん……!

 ダメだ……優希さんが危ない!助けに行かないと!


「ニルファ、ルムネ、優希さんを探しなさい!ヤツが来る前に助け出します!」


「し、しかしネイ様……危険です!すぐにここを離れましょう」


「ダメです!優希さんはヤツの存在を知らないのですよ!?私がお守りしなければ……!」


 優希さん……優希さん……!

 この女は不快ですが……この際放置でもいい。勝手に死んでくれるでしょう。そんなことより、まずは優希さんを救い出さないと……!


「ネイ様っ!」


 私は泥棒猫に背を向け、広場に飛んだ。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ