私が幸せにしてあげる
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「ごめんネイ。今日は別々に寝よう」
………………え?優希さん……?
私が……拒絶された?なぜ?
優希さんは私の横をあのチビ女に連れられて通っていってしまった。胸が鷲掴みされた様に痛む。
振り返ると目が合った。
ああ……とてもお辛そうな表情をしている……。
……魔法が解除されたわけではない?あの女どもの反応を見るに感付かれているのは間違いない。私から優希さんを奪う気なのでしょうね……許せない…………。
私が優希さんの心を蔑ろにしていないことをいいことに、私の前でイチャイチャして……。
私が優希さんに施した魔法は、ジワジワと私のことをスキスキになるタイプのものだ。団員が手っ取り早く女を自分のものにする時に使う、即効性のあるものじゃない。
アレを使うと人格が歪んでしまう。私はきちんと優希さんとラブラブ結婚生活を送りたいのだ。
優希さんからプロポーズされて、押し倒されて……幸せ濃厚補給の毎日……。
あぅ…………まだ優希さんに出してもらった魔力は吸収してしまわないように、保存魔法をかけてあるのだ。これを感じることが出来るだけで、私の毎日は華やかになりますが…………。
やはり毎日の補給は必要だ。うぅ……優希さん…………今すぐ私の膣内を掻き回して欲しい……胸を揉みながらキスして……好きって言って欲しい……。
ふぅ…………魅了魔法の完成までまだ時間がかかる。優希さんに嫌われるようなことをしたら、解除されてしまう可能性もあるし…………待つしかない。時間は私の味方よ。
しかし、いくら魔法の知識がないあの女どもに解除は不可能だと分かっていても、拒絶されたら辛いですね……。
優希さんはなぜあんなチームに未だに入っているのでしょう……私たちと一緒にいれば、探索なんかせず気持ちいいことをしているだけで良いのに……。
あのチビ女がそんなに良いのだろうか……低身長に大きな乳……私よりも大きい?……なんと下品な身体でしょう。
あんな女より私の方が絶対に良い女なのに……私の容姿はこの異世界でも優れているというのは確認済みだ。気持ち悪い目線を何度も向けられてきた。
地位だって……いずれ私は他の騎士団を任されることになっている。王国が健在なのは連絡を取って確認済みだ。王国ある限り騎士団は不滅。騎士団ある限り王国は不滅。
つまり私は未来の騎士団長ですよ?優希さんを何不自由なく養ってあげられる。他の騎士団長の様に何人も囲ったりもしない。
絶対私の方が幸せにしてあげられる……!
そう、自信を持つのよ。私なら大丈夫。ようやく見つけた運命の男だ。絶対にモノにする!
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「ふぅ……みなさん大丈夫ですか」
「うん、バッチリ。凛ちゃんが気付いてくれて助かったよ」
私は今、探索のグループの一つに参加して、優希さんを探しながら物資を集めている。
先ほど、遭遇したモンスターの群れ……人間の上半身だけを切り取った様な二足歩行の化け物を全滅させた。
危なそうな行動をするやつがいたら、それとなくテレパシーで注意を促している。
ユニオンでは、私の能力は、自分の言葉を直接相手に伝えられるもの、と言ってある。心が読めることは隠した。情報は集めたいし避けられても困るので、その方が都合がいいからだ。
「やっぱり二人とも強いねぇ……」
「いやぁ……そんな事ないですよ。私らと同じ年齢の子達だって同じくらい力が強くなって、能力がありますもん」
今回一緒に探索をしている人に褒められて、響が謙遜をしている。先ほどの戦闘では、ほとんどのモンスターは響がトドメを刺していた。
「いや、そりゃ他の子も力は強いし便利そうな能力は持ってるけど、強いかと言われるとそんな事ないからね。モンスターと戦うことができるのは、また違った才能だと思うな」
「ふーん」
「二人が来てくれたおかげでユニオンは安泰だよ!はっはっはっ!」
「そ、そんな大げさな……」
響は苦笑いだけど……実際そういう面もあると思う。
私たち以下の年齢で探索に出ているのはごく僅かだし、いくら力が強くても、モンスターと戦うとなるとまた別の話ってことなのかな。
私たちの場合は、地震が起きてすぐ襲われてピンチになったから、その分経験を多く詰めてるってことだと思う。
でも、あの日優希さんが助けてくれなかったら私は今頃ここにはいないし……経験を積む以前に優希さんに出会えたという幸運があったから今の私がある。
今までの優希さんと過ごした経験全てに私は生かされているのだ。
物資集めはほどほどに、優希さんの痕跡がないか探す。まぁ、痕跡と言っても戦闘の跡とか、生活の跡だとか、優希さん個人を特定できるわけではないんだけど……。
でも、そういう小さなところから探していくことしか今の私たちに出来ることはないのだから、仕方がない。
それに、直接私達にメッセージを残してくれている可能性も捨ててない。優希さんだって私たちに会いたがっているって……そうだったら嬉しいっていう妄想かもしれないけど。
「響、何か見つかった?」
「ううん、ダメだ。この辺りは漁られてもいないみたい」
「そっか……」
この辺りには来てないのかも。
…………私たちの間では、優希さんは元気に生きていることになっている。
どこかでモンスターにやられてしまったとか、怪我をして動けずに死んでしまったとか……そんなこと、考えたくなかった。
そんなことになったら、私は生きていけない。
「はぁ……戻ろっか。次の探索場所を決めよう」
探索を終えた私達はユニオンの本拠地である大学に戻った。
戻ると、いつもより忙しなく動いているのに気付く。何があったんだろう……。私は周りの人たちの頭の中を読み取った。
それによると、かねてより計画していた避難所の解放作戦がついに実行されるみたいだ。近くの学校が悪い人たちに占拠されているらしく、そこに囚われている人達を助けるために、ユニオンは戦う準備をしていた。
「凛、そこに優希さんいるかな……?」
この話が出てから響とは話し合っている。避難所ということは人が集まっているはずだし、優希さんも避難所を探して旅をしていた。いる可能性はあると思う。低いとは思うけど…………。
もし悪い人たちに捕まってるのなら…………早く助けてあげなくちゃ。
私たちが参加させてもらうことは出来るのだろうか……幹部の人たちに掛け合ってみよう。
「あー……君、確かお母さんが亡くなったばかりじゃないか?無理をしなくていいんだよ?たぶん危ないことになるから、参加はしない方がいいと思う」
「いえ、私なら大丈夫です。人数は多い方が良いのではないですか?ぜひ手伝わせてください」
心配の気持ちは嬉しいが、私のことはいいのだ。もし、優希さんが苦しんでいるなら、何もせずに待っているなんて出来ない。
「うーんそれはそうなんだけど……一応リーダーには話を通してみるけど……でも本当に無理はしなくていいからね?」
「はい、ありがとうございます」
どうかな、参加させてもらえるかな。
「凛ちゃん、響ちゃん……解放戦に参加したいのかい?」
……うわ……。
待っていたら男の人に声をかけられた。この人は岸山銀次。このユニオンのリーダー岸山慎吾の弟だ。
醜悪な劣情が頭の中で渦巻いていて……ずっと私たちを犯す妄想をしている人だ。
「補給係としてなら、確実に参加出来ると思うけど……俺がパートナーになってあげようか?」
「いえ……お気遣いありがとうございます」
響も顔色が悪い。
こんなやつに目をつけられるなんて、可愛いと思われるのも困りものだなと、少し思う。贅沢な悩みなんだろうけど……。
……まあ、でも優希さんに可愛いと思ってもらえるのだから、これくらいは我慢しなくちゃね……。
それに、この人はリーダーの弟。優希さんを探すためにはユニオンとの関係が悪くなるのは良いことではない。我慢、我慢……。
「はは……相変わらず固いなぁ……こんなに可愛いのに。そんなんじゃ胸も大きくならないぞぉ?なんつって」
「あ、あはは……」
意味がわからない。これで場を和ませようとしているのだから尚更だ。
「ぎ、銀次さんも明日の作戦、参加されるんですね。頑張って下さい」
「おう、まかせろ!」
なんとか微笑みを作ってエールを送る。能力が強いのは確かだし、明日の作戦では役に立つのだろう。私たちの目的のためにも機嫌を損ねるのは得策ではない。
だけど…………愛想を表に出すと、どんどん私のことを好きになっていくのは嫌だな。
「では、私たちはこれで……」
「じゃあね、凛ちゃん響ちゃん!」
ユニオンで過ごしていて分かったことだけど、私たちが愛想を振り撒くと簡単に惚れられてしまうのだ。自慢ではない……とても困っている。
きっと、魔力補給のせいで貞操観念が緩くなったのも原因だと思う。みんな気軽に補給の……セックスの申し込みをしてくる。
優希さんのためだと考えれば我慢できるんだけど、ずっとこの調子だと気が滅入ってしまう……。
「なんであんな人いるんだろうね。リーダーはすごい良い人なのに、弟があれって……。あんまり頭の中読まない方が良いんじゃない?大丈夫?」
響が心配の声をかけてくれた。
「うん……大丈夫だよ。それに本当に危ないこと考えてる時もあるから、ちゃんと身を守らないと。響も一人の時は近づかない様にね」
「うん、気をつけるよ。まあ、私の方が強いからね。いざとなったら覚悟はできてる」
覚悟。響は時々怖いことを言う。心は読めていないけど……なんか…………人を殺せる機会を探しているような……。
私の勘違いだったら良いんだけど……。人殺しなんて、響には経験してもらいたくない。そんな罪なんか無い方がいいに決まってる。気分も悪くなるし、良いことなんてこれっぽっちも無いのだから。
「はは……私たちも準備しておこう。もし参加するなって言われても、勝手についていっちゃえばいい話だし」
「確かに!従う必要なんてないよね。どうせ同い年くらいの子達も何人か参加するんだろうし」
さっきあの男が言っていたように、パートナーとして連れて行かれる子もいるし、結局は中学生から高校生が一番力が強いのだから、戦力として参加する人もいる。私たちを戦力として使うメリットはしっかりあるはずだ。
優希さん……いるかな……助けに行くから。待っててね。
絶対に私が幸せにしてあげるから……!もう誰かのために自分を犠牲にさせたりなんかしない。




