私たちの部屋ですよ
暖かい日差しに目が覚めた。
「おはようございます、優希さん」
横から声がかかる。ネイテールさんだ。俺の腕を枕にこちらをに微笑んでいる。
昨日のことを思い出した……ネイのお仕置き……凄かったな。
俺は枕に頭を乗せて脱力する。…………ん?枕?
俺は今更になって気づいた。朝の日差しが窓から入り、部屋全体を明るく照らしている。見たことの無い間取りだ。大きめのベッド。クローゼットに詰められた制服。テーブルに置かれた数セットのティーカップ。書き物机には数冊の本とペンが置いてあった。……妙に生活感があるな。
壁際にはネイの部下三人。深い青の髪のニルファ、オレンジ髪の猫獣人のチック、茶髪ロングのお姉さんのルムネが立っていた。
「ここは、私たちの部屋ですよ」
キョロキョロしていたらネイテールさんが教えてくれた。私たち?四人ともここで寝泊まりしてるのか?そう考えると狭いような……というか大きめとはいえこのベッドに4人は少し苦しくないか?
「んふふ」
ネイテールさんは抱きついて頭を擦り付けてくる。
「優希さん、ネイテール様をよろしくね」
「こんな幸せそうなネイテール様初めて見た」
「ふふ……かわよ。……あ、アタシ達もたまに補給はさせてもらいにくるからね」
「あ、ああ……へ?」
全裸で抱きつく俺たちを見下ろしている三人から色々言われるが……何か違和感が……。
「さ、優希さん。そろそろ朝食を食べましょうか」
ネイテールさんはそう言うと起き上がりグググっと伸びをした。ライムグリーンの髪がサラサラと流れる。形の良い大きな胸と引き締まった体が朝日に照らされてとても美しかった。
「んちゅ……ふふ」
かがみ込んでキスをされ微笑まれる。綺麗だ。
ネイテールさんはベッドから降りて、着替えを始めた。ショーツに足を通して、ぴっちりと腰回りにフィットさせる。カップの大きなブラを胸に合わせて持ち上げると、柔らかそうな胸がふにゅんと形を変える。背中に伸びた紐がシュルシュルとひとりでに結ばれていく。
……はっ。
つい見入ってしまっていた。なんだかネイテールさんから目が離せない。美しくて、可愛くてずっと見ていたくなる。
俺は頭を振りベッドから降りた。すると、ネイテールさんの部下三人が俺の着替えを持って来てくれた。なんだか申し訳ないな。
「あ、ありがとう。置いておいてもらえればいいから」
俺は下半身を隠しながらチックから下着を受け取った。…………俺の代えの下着がなんでここに?しかもなんか、やけにしわくちゃだ。
「おにーさんの荷物はこっちに持って来ておいたからね」
「え?あ、ああ……ありがとう……?」
確かに壁際にまとまって置いてあった。なんで?とは思ったが、好意で持って来てくれたのだろうか……戻すのは面倒だがお礼は言うべきか。
彼女達から着替えを受け取り、着替えを完了した。もれなくしわくちゃだ。なんか覚えのないシミも付いてるが……昨日の探索で汚れたのかな。そろそろ本格的に洗うか、新しい服を探すかしないとな。
「……そういえば俺が元々履いてた下着は……」
「えっとね、あれはやぶけ……んぐぅ」
「あはは、ごめんなさい優希さん。無くしちゃったの」
「ごめんね。新しいのいっぱいあげるから。許して」
……無くしちゃったかぁ。本当かな。まぁ別にそこらからパクって来たものだから、謝られてもちょっと困るんだが。
「はは、いいよ……そ、それじゃあ行こうかな」
俺は荷物を回収し……ようとしたら三人が先に拾い上げてしまった。
「あの……」
「優希さんの持ち物はアタシ達が管理するから大丈夫だよ」
か、管理?……大丈夫って……なにが?
「はいっ、これ」
ニコニコ顔のチックから探索用のリュックを渡される。
とりあえず受け取るが……俺の荷物は持っていってくれる……ってわけじゃないよな……。
「さあ、優希さん。行きましょう」
ピッシリと制服を着込んだネイテールさんは笑顔で俺を外に促す。俺の荷物を持っていた三人は、壁際にそれらを下ろすと、一緒に退出した。
…………なーんか嫌な予感が……。
何も言えずそのまま退出して廊下に出ると、ここの異世界騎士団の団長であり、ネイテールさんの兄でもある、マスカナルがいた。先ほどの部屋は3階にあるようで、団長室方面から歩いて来た彼と目が合う。
「おはよう、羽山優希。チームで頑張っているようだね」
「お、おはようございます。マスカナル、さん」
……終わった。ネイテールさんと一緒に部屋から出て来たところを見られた。しかも早朝。言い逃れ出来ないのでは……。
ネイテールさんの部下三人は、ビシッと並び背筋を伸ばしている。……が、ネイテールさんは俺の腕に自分の腕を絡めていた。
ぅおい!ちょっと!?さては隠す気ないな!?
「おいおい、マスカナルさんだなんて、他人行儀すぎないか?兄さん、と気軽に呼んでくれて構わないよ」
……?あのぉ、怒っていらっしゃらない?実はあなたの妹さんと、だいぶ濃厚なやつしちゃってるんですけど……。
マスカナルはまるで、妹婿でも見るような目で俺を見ている。
「いやぁ、しかし、ついにネイに男がねぇ……。理想が高すぎて相手が全くいなかったんだが……さすがにウェリアには身体が逆らえなかったか?」
「……兄さん?」
「おっと……はは、ネイはいい女だろ?器量もいいし、頭も切れる。大事にしてやってくれよ」
ぽんぽん、と肩を叩くと歩いていってしまった。
……まずい。詳細は何も分からないが、外堀を埋められている感じがする。
「な、なぁ……ネイテールさん。俺の知らないとこ……んむっ」
ネイテールさんに詳細を聞こうとしたら、口を塞がれた。
「ん……んちゅ……もう、これからはネイって呼んで下さいっ……行きましょう、優希さん」
腕を引かれ一緒に歩き出す。
……か、かわいい……さっきまでの不安が吹き飛んでしまった。
なんか今朝からネイテールさん……ネイがとても可愛いというか……。彼女に見つめられると、とてもドキドキする。元々美人だとは思っていたけど……愛おしいほどに、可愛いと思うようになった。耳が熱くなる。
なんだか、初恋でもしてるような気分だ……。俺はドキドキしながら一緒に食堂へ向かった。




