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異界融合 〜崩壊した世界で少女達と共に生き抜く〜  作者: レモンGUN
一章

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44/61

春華と賢斗


「ふう……まあ、こんなもんか」


 俺は千秋の体を綺麗に拭き終え、服を着せてソファに寝かせる。気持ちよさそうに寝るな、こいつは。


 補給が終わった後、千秋はキスしながら夢の世界へ旅立ち、六花は気絶するように動かなくなった。


 …………めちゃくちゃだった……魔力補給か……。魔力の移動にも性的快楽が生じるようで、本来の快楽と合わさって危うく廃人になるところだった。

 しかも歳の離れた女の子相手だ……。


 単純に、倫理観に反した行動による罪悪感があったが、それとは別の罪悪感もあった。凛と響のことだ。

 二人の好意を、歳の差を理由に邪険にしてた身でこんな事をしているなんて……。いや、その好意はウェリアのせいだと分かってはいるが……。


「はぁ…………」


 六花も千秋の横で寝ている。でかい胸が規則正しく上下していて、その度にたゆんと揺れる。…………彼女の身体を拭く際に少し触れてしまった。凄かった。ごめん。


「あの二人は大丈夫だろうか……」


 春華と賢斗はまだ戻ってきていない。周辺は薄暗くなり始めているし、今から避難所に帰るのはやめておいたほうがいいだろうから、ここで一泊していくことになると思うが……。探しに行こうにも千秋と六花を置いてここを離れるわけにもいかない。

 まあ、腐っても高校生だ。筋力は俺より強いし、この辺のモンスターにやられるって事もないだろうから、そこまで心配はして無いのだが。


「しばらく待つか」


 俺は、この家で見つけたスナック菓子を開けて、時間を潰すことにした。水も備蓄してある家で助かった。ぼけーっと、セックスの後の気持ちのいい疲労感を感じながら、ポリポリとスティック状の菓子を咥える。


 しかし……あの、賢斗の目……喧嘩してないといいんだが……。





 しばらくして、完全に夜の帳が下りた頃。

 春華と賢斗は手を繋いで帰ってきた。恋人繋ぎで。お互い肩を寄せ合い、俯きがちな春華は賢斗に寄りかかって顔を赤くしている。


「ただいま戻りました。遅くなってすみません」


「ああ、お帰り。無事で良かった」


 この様子を見ると、仲直りは出来たみたいだな。ひとまずの心配事が無くなって一安心だ。


「今日はここで一夜明かすってことでいいよな?流石に今から避難所に帰るってわけにもいかないだろ」


「はい、そうしましょう。せっかくここまできましたし、もう少しモールで探索もしたいですし」


「そうか……分かった。二人は……連携は大丈夫そうか?今日のままだと厳しいと思うぞ」


「はい、大丈夫です」


 …………えらい自信だな。仲直りはしたんだろうが、戦闘での連携はまた別物な気もするが……。てか、春華がさっきから全く喋らない。賢斗にべったりで俯いてしまっている。


「春華は大丈夫なのか……?」


「ええ……大丈夫よ……さっきはごめんなさい……」


「いや……俺はいいんだ……」


 …………本当に大丈夫か?……まあ、明日その辺のモンスターで肩慣らししておくか。ヤバそうだったら帰還を提案しよう。


「刃山さんの方は大丈夫そうですか?今は六花も千秋ちゃんも寝ているようですが……」


「あ、ああ……まあ……大丈夫だろ。……多分」


 このまま目を覚さないなんてことはないよな?千秋は、まぁ普通に疲れて寝ただけって感じだと思うし、六花も……まぁ大丈夫だろう。たぶん。


「あ、明日に備えて、軽く腹ごしらえしたらお前らも寝るんだぞ。俺ももう寝る」


「分かりました。おやすみなさい」


「ああ、おやすみ」


 俺は2階に上がって適当な部屋に入り、横になって目を瞑った。





 翌日、俺たちはモールで狩りをしている。日持ちする食料品もかなり集められてウハウハだ。

 心配していた春華と賢斗の連携だが、見違えるほど良くなった。喧嘩する前よりも明らかに良い。

 素人目だが、お互いがお互いを信頼しあって気にかけている動きな気がする。背中合わせで長身のゴブリン……ギーマの集団にも余裕で対応できていた。というか圧倒している。


 賢斗が相手をしているギーマに絶妙なタイミングで泡を撒き、スリップさせたり、春華の後ろから迫る手を賢斗が掴んで眠らせながら引き倒したり。二人が入れ替わり立ち替わりの攻防一体を実現しているので、ギーマでは相手になっていないようだ。

 そう、それと賢斗の眠らせる能力だが、パワーアップしたらしい。

 朝、他のモンスターで肩慣らししていたのだが、触ってからすぐに効果が現れるようになった。触れた瞬間から相手の動きが鈍るので、少し隙があって触ることができれば近接戦はすこぶる強い。

 俺の能力も効果時間が延びたり、筋力強化量が上がったりと、使い続けて強化されてる感じはするし、他の人も同様だろう。

 ただ……使い続けることが条件だと思っているので、一晩でこんなに変わるものかと驚いたものだが……。まあ、味方が強くなったわけだし良いことはあれど悪いことはないよな。


「いやぁ二人とも強いな。近接戦が通じる相手ならもう敵無しじゃないか?」


「ははは……ありがとうございます。…………その、そちらは大丈夫でしたか?」


「ああ……まあ……支障はない……」


 春華と賢斗の戦闘は見違えるほど良くなったが、六花と千秋は見違えるほど……怠けるようになった。俺の両手は今その二人に塞がれていて、二人とも俺と手を繋いで離そうとしない。

 千秋の雷撃は遠距離から一方的に超火力で攻撃するものだから、手を離さなくても問題はない。

 六花はそもそもこのチームでは近接戦はしない作戦なのでそれも問題ない。

 問題は俺だが、春華と賢斗に強化をしてしまえば俺が戦闘に参加するまでもない……むしろ邪魔になることが多い。

 つまり、少数ですぐ終わりそうな戦闘なら千秋の雷撃で瞬殺。集団で来られたり、囲まれたりした時は千秋の雷撃で牽制しながら、春華と賢斗が処理をしていく。

 よって、いくら千秋が俺の腕に抱きついて頬擦りしてても、六花が胸の谷間に俺の腕を挟み込んでいても、問題が無い状況だ。


「まったく……何をしたらそんなにベタベタするようになるわけ?恥ずかしくないの?」


 ……おっしゃる通りで。腕が両方塞がってなかなか歩きにくいのだ。必要になったら離してくれるのだが、用が済むとすぐこれだ。千秋は元からその気があったが、六花は朝起きて俺を見たらもうこれだった。

 二人とも自発的に喋ってくれないから、どういう心情なのかまだ分かっていないのが少し怖い。


「はは……そ、そっちこそ、喧嘩してたとは思えないほどラブラブになっちゃって。何があったんですかねぇ?」


「……っ!な、なんだっていいでしょ」


「こら、春華。そんな言い方はないだろ。すみません刃山さん、こいつ昨日刃山さんに強引に迫ってたこと気にしてて……どう接して良いか分からないんですよ。……ほら、謝って」


「う、うん……刃山さん、ごめんなさい」


「…………え、あ、ああ、いや、いいんだ。気の迷いだったって分かってるから……は、はは…………」


 ……この春華の変わりようは……。賢斗も今までより言葉が多くなった気がする。堂々として……自信がついた、といった感じだろうか。

 春華はかなりしおらしくなって、賢斗の言うことにはなんでもイエスだ。賢斗は尻に敷かれてるタイプだと思っていたが、これまで感じていた上下関係がひっくり返ったような印象だ。

 ほんと、昨日何があったんだか……。


「ま、まあ、何はともあれ、探索も順調だ。これだけ集まれば貢献度もだいぶ稼げてるんじゃないか?」


 俺は、集まった物資を確認する。

 缶詰などは重いのでそれほど集めてはいないが、スナック菓子、バランス栄養食やラムネ系サプリメントなどの食料品。電池やペンライト、小型のモバイルバッテリーや小型の太陽光発電機などの家電。

 使えそうなものを結構集めることができた。

 そして、一番多いのはギーマの魔力石だ。これが一番貢献度的には美味しいらしい。魔力石について知ったのがつい最近なので有用性があまり分かっていないが、異世界人的には重要なのだろう。


「そうですね。これだけあれば追放のラインからは逃れられそうですし、そろそろ戻りますか」


 追放は免れることができそうで良かった。春華と賢斗が覚醒したから良かったものの、もしここに来て大して成果が得られなかったら追放もあり得たんだろう。

 付き合いが短いとは言え、一緒に死闘を潜り抜けたりもしたし、なんだかんだこのチームに愛着は湧いている。……ヤることもやってるしな。

 いや、出会ってまだ三日か……いきなり親密になりすぎたか?世界は変わったのだから、人との距離も変わるものなのかな……。まあ、何はともあれ……役に立てて良かった。





 無事避難所に戻ってきた俺たちは、物資を預けた後夕食をとっていた。暗くなる前にここに戻ってこられて良かった。道中もかなりスムーズだったので、移動時間も早くなってるんだろうな。


「しかし、すぐにグレードが上がるなんてな」


 配給された食事は、ワンランク上のグレードのものだ。今回の稼ぎはかなりのものだったということだ。


「ええ、そうね。刃山さんがチームに入ってくれて本当に感謝してるわ」


「ありがと、優希」


 感謝の言葉と共に寄りかかってくる六花。

 …………もうずっとこんな感じだ。避難所に帰ってきてもベタベタするのは辞めないので、結構注目されてる。……主に男性諸君に。

 学生や避難民、異世界の兵士問わずだ。今もかなりの視線を感じる。これは配給のグレードが羨ましいから……ではないよな。予想通り六花を狙っていた男は多かったようだ。


「その……六花、人前でベタベタするのはあまりよくないと思うんだが……」


「どうして?」


 ……本気で分かってないのか?


「いやぁ……みんなビックリして見てるぞ?」


「いーじゃん、見せちゃお、ラブラブなところ。ボクが優希のものになったって教えてあげよ」


「あっ、ちあきも優希のものだよっ」


 反対側の千秋に腕を固められる。

 …………視線がさらに痛くなった気がする。頼むから何もトラブルとか起きないでくれよ……。


「刃山優希さん。お帰りでしたか」


 後ろから声を掛けられる。体が動かせないので、首を捻ってなんとか相手を確認する。ネイテールさんだ。


「あ、ど、どうもネイテールさん。さっき帰ってきたところなんですよ、はは」


 女の子二人に両脇を固められてるところなんてあまり見られたくないのだが……。


「……何ですか?この女は」


 六花を見下ろすネイテールさん。目が据わってる。


「ボクは六花。優希の女だよ」


 睨み返す六花。け、喧嘩はやめてね……?っていうか俺の女って、いつからそんなことに?いきなりエスカレートしすぎでは……。


「刃山優希さん。この後の補給時間ですが、一人で3階までお越し下さい。……絶対に」


 ネイテールさんは数秒間睨み合った後にそう言うと離れていった。大丈夫かな……。


「優希、行かないほうがいいと思う。あの女は危険だよ。ボクと一緒にいた方がいい」


「いや、そういうわけにもいかないだろ……。俺も全面的に信用してるわけじゃないけど、この避難所の二番手だ。従わないと後でどうなるか……悪いが千秋をお願いできるか?」


 まぁ、ネイテールさんは俺のウェリアという体質に価値をつけているはずだ。そこまで酷い扱いはしないだろう。

 さっきの雰囲気を見るに危ないのは六花の方だ。

 そりゃ俺を取り合っているような感じだったので、心の底では嬉しいのだが……ここでは六花の立場の方が断然弱い。ネイテールさんの機嫌を損ねるのは得策ではないだろう。


  …………はぁ……なんか胃が痛くなってきた。

 

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