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異界融合 〜崩壊した世界で少女達と共に生き抜く〜  作者: レモンGUN
一章

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35/61

異世界人

 俺は、団長?の部屋を出てから、とりあえず学校中を見て回ることにした。どんな人がいるのかとかも気になるしな。

 まず、見て一番驚いたのは、ロープレ人口の多さだ。

 俺は校庭に目を向けた。そこでは、上半身裸の百名ほどの男たちが、訓練を行っていた。「やっ!」「はっ!」と掛け声を出して同じ動きを繰り返している。

 本格的すぎる。汗を輝かせながら一糸乱れぬ動きを続ける。すごいな。一朝一夕でできる動きじゃない気がする。相当練習してるんだろう。いやほんと今やることじゃない気がするが……。

 しかし、モンスターという脅威が存在するのだから、戦闘の訓練として見るとあながち間違いではない行動なのかもしれないな。


「あの人たちだよ。ちあきをレイプしようとしたの」


「……マジか」


 これもロープレの一環ですってか?頑張ってるな、とか思ってたのに結局性欲かよ。あいつらは千秋に近づけない方がいいな。


 他にも校舎内には近所から逃げてきたであろう避難民がチラホラいる。もちろん高校生も。というか、学生と思われる男女の割合が一番多いだろうな。異様なのは多くの人が、武器の手入れやら防具の微調整を行なっていることだ。

 ここにいる全員が、モンスターに対抗しようとしているということだろう。時たま見かける高校生よりさらに若い子達もそれは同様だ。ここでは皆平等に戦闘をするということなのかもしれない。

 しかし、年寄りがいないな……年寄りどころか中年層の人も見かけてない。どこか別の場所で暮らしてる……?


「お、おい……やめとけって……」


 疑問に思っているとそんな声が横合いから聞こえた。そちらを見やると複数人の視線があることに気づく。見られてる?なんだろうか。

 その視線のうちの一つ、女子高生だろう若い女の子がこちらに近づいてきた。黒髪で長髪の女の子だ。


「こんにちは、はじめまして。今日この学校に来たのよね?」


「ああ、はじめまして。ついさっきね。刃山優希だよろしく。こいつは千秋だ」


「よろしく……おねがいします」


 ……なんか千秋はここに来てからやけに静かだな。実は人見知りだってことを今更ながら知った。

 とりあえず自己紹介をしたが……後ろの学生たちが不安そうな顔でこちらを見ている。何が起きるというのか。


「私は、北村春華(きたむら はるか)よ。よろしく。……早速なんだけど、あなた、私たちのチームに入ってくれない?」


 はて?チーム?そ、それもロープレの話か?


「この避難所では、チームを組んで探索をしたり、モンスターと戦ったりしてるの……」


 彼女は説明を始めた。曰く、ここでは少人数の固定チームを作り、そのチームごとに行動をしているらしい。チームは最大5人で、そのチーム単位でどれだけ避難所に貢献できているかを判定しているらしい。

 そして、一定以上貢献出来ていないと判断された場合、この避難所から追放されてしまうとのことだ。


「追放、ねえ…………」


「そう、だからあなたもすぐにチームを組まないと追い出されるわよ」


「それで誘ってくれたわけか」


 なんつーシステムだ。あの団長役の人が決めてんのか?追い出すって……そりゃ人が増え続けたら物資も減ってくだろうけど、そんな非人道的な……。

 しかし、そんなルールがあるとして、俺を誘う理由はよく分からないな。こんな今日来たペーペーを自分のチームに入れるメリットはなんだ?

 ふと、後ろの学生たちを見る。二人だ。一人は黒髪高身長の眼鏡をかけた男の子。もう一人は黒髪低身長の女の子だ……異様に胸がデカい。低身長ゆえに余計大きく見えるだけか?


「俺たちをチームに入れたら何人になるんだ?」


「5人よ」


 まあ、そういうことか。

 当然人数が多い方が成果が大きいに決まってる。チームは最大5人。貢献度の評価はチーム単位だから、最大数を維持した方が有利であるのは間違いないだろう。


「なるほどね。でもいいのか?こんな今日来たばかりの人間をチームに入れても」


「いいと思っているわ。若干一名乗り気じゃ無いやつがいるけどね」


 そう言って後ろを親指で示す。眼鏡くんの方だ。


「お、おい!僕は、ただ……もう少し慎重に行動した方がいいって言っただけだ。そ、それに、こうなった原因は春華にあるんだからな……」


「はあ?あんな猿どもと一緒にいられるわけないでしょ!六花があいつらに犯されてもよかったって言うの!?」


「そうは言ってないだろ!」


 なんか喧嘩が始まってしまった……。元々はもっとメンバーがいたが……何かトラブルがあって追い出したって感じか?だが、それで俺を勧誘するのはどうなんだ?もう少し様子を見て人柄とか実力とかを確認してから勧誘するべきだろ。俺ここに来てまだ1時間とかだぞ?


「あー……切羽詰まってるって感じか?」


 取り敢えず、喧嘩が激しくなる前に話題の転換を図る。


「それは………………そうね……」


 どうやら焦っての勧誘というわけらしい。うーむ。


「まあ、いいぞ。そんなルールがあるならこっちとしても願ったりだ。よろしく頼む」


「ほんとう!?良かったわ、よろしくね」


 チームね……。つまり、ここではニートは許されないということだ。ポイントを稼いで追放を逃れ続けなければいけない。

 ……この避難所に年配の方がいなかったのって、つまりそういうことか?年齢によって能力の有無が変わるからな……歳を取れば取るほど不利だ。なんか、印象がだいぶ変わるな。追放された人達ってちゃんと生きていけてるんだろうか。


「夕食の配給がそろそろ始まるから、自己紹介も兼ねて一緒に食べましょ」


「ああ……」


 とのことなので、食堂に移動することになった。それぞれが配給をもらい、席につく。肉があることに驚いた。どこかで狩りでもしたのだろうか?それか、よほど保存環境がいいものが残っていたとか。

 十分豪華な食事だと嬉しかったが、なにかフルーツを貰ってる人もいたし、肉を明らかに多めに貰ってる人もいる。俺も貰ってくれば良かったかな。


「貰えないわよ?私たちの貢献度合いじゃ」


「へ?」


 曰く、チームの貢献度合いによって貰える配給に差があるのだとか。世知辛い。……ん?つまり、最初から優秀なチームに入っていれば俺が貰える配給もグレードが上がってたのでは?


「ふふ、刃山さんがチームの一員になってくれて良かったわ。これからよろしくね」


 にっこり顔の春華さん。とほほ。


 そんなこんなで自己紹介が始まった。


「先ほどはすみませんでした。原町賢斗(はらまち けんと)です。よろしくお願いします」


雪嶋六花(ゆきしま りっか)。よろしく」


 賢斗君は俺をチームに入れるのは乗り気じゃないとバレてるので、その時のことを謝っているのかな。少し話した感じ、あまり自己主張するタイプではないようだ。

 六花さんは賢斗君以上に自己主張しないタイプだ。だいぶダウナーな感じでジト目なのも相まって常に眠そうな印象を受ける。ちなみに一人称はボクだ。つまり、ダウナージト目ボクっ娘ロリ巨乳JKということだ。盛りすぎだろ。

 あと……俺の唇が狙われてる気がする。疲労はそこまで見られないが魔力枯渇だろうか。なんか、ジッと見られると怖いからやめて欲しい。

 まあともあれ、二人がこんな感じなので、必然的にチームで一番喋るのは春華さんになっている。


「三人は仲が良いのか?」


「ええ、私と賢斗は幼馴染で、六花は高校で友達になったの」


 へえ……。六花さんと仲良くなった経緯が気になる。性格的には合わなさそうだと勝手に思ってしまっていた。


「ある程度は三人でもやっていけてたわけだよな?なんでまた俺たちを入れてくれたんだ?」


「いえ、私たちがやっていけてたというより、他にもっとダメなチームが多かっただけなの。今になって私たちの番が回ってきたってこと」


「つまり、崖っぷちなわけだな……」


 やっぱり入るチーム間違えてるよこれ。


「その……追放されたチームがどうなったかったのは……」


「それは…………私たちにも分からないわ。誰も一度も再会できていないのは確かよ」


 そりゃそうだ。貢献ポイントが稼げていないチームが外でやっていけるかというと……微妙なところだな。こちらとしてはなんとか生きてくれと祈るしかない。


「ここにいましたか刃山優希さん。お食事中のところすみません……」


 突然声をかけられる。振り返ると、団長室まで案内してくれたロープレの人が立っていた。名前は確か……


「ネテイールさん……?どうも」


「ネイテールです。こちらからルールについてご案内する予定でしたが……すでにチームを組まれたようですね」


 ええ、少し後悔しておりますが。


「失礼、ネイテールさん。ありがたいことに誘っていただきましてね」


「それは…………大丈夫ですか?チーム替えはいつでも出来ますので、よく検討してくださいね」


「え?あぁ……はは、分かりました」


 そうか、チーム替えも出来るのか。なら追放される前にリクルート活動しておいた方がいいかもな?


「それと、お話がございますので、夕食を食べ終わりましたら3階の一番奥の部屋までお越しください」


「はぁ、分かりました」


「では、お待ちしております」


 そう言うとネイテールさんは去っていった。話か……なんだろうな。まだ細かいルールとかの説明があったりとかか?夜のお誘いだったりしてね。ネイテールさんはスタイルがいいし美人だ。日本人っぽくはない。ハーフか、外国人って感じだ。あと胸がかなりデカい。是非ともお近づきになりたいもんだ。

 なんて考えながら食事を再開しようと、体の向きを戻したら全員が俺のことを睨んでいることに気づいた。


「な、なにか……?」


 何かやっちゃいましたかね?覚えがない。


「刃山さんあいつと仲良いの?」


「え?いや、仲良いっていうか、ここにきた時に団長室まで案内してもらったっていうか……」


「あいつに会ってるの!?」


 うおっ。ビックリした。あいつって団長のことか?会うも何もわけもわからず連れていかれただけなんだが……。


「なにか……まずかったか?」


「私たちがこんなことになってるのは、全部あいつらのせいなのよ」


「え?」


 色々と説明を受けた。

 まず、驚きの事実だが、あのロープレ集団はこの世界の人間じゃないらしい。…………え?って感じだ。何言ってんの?そういう設定でやってるってことか、と問うたら、マジの返答をされた。異世界人ってこと?ドッキリじゃないよね?


「頭がおかしくなって集団で嘘ついてるって可能性は?」


「たぶんないと思う……私達の知らない情報で今生活できているのもそうだし、あいつらは魔法が使えるわ」


 とのこと。二度目の地震の後、突然やってきてこの学校を占拠してしまったらしい。魔法と武力で太刀打ちできなかったのだそう。


「私たちも力が強くなったし変な能力が使えるようになったけど、それでも勝てなかったの」


 最初は全面戦争になり、能力を得たことによる全能感のようなものでハイになっていたが、何人か殺されてからは一気に心が折れて支配下に入ることを認めたらしい。


「あの時の僕たちはどうかしてた。今だったらわかるけど、すぐに降伏しておくべきでした。そうすれば何人も死なずに済んだ」


 戦闘において実力差は歴然だったそうな。賢斗君は苦々しく語る。

 降伏した後もいくつかは抵抗勢力があったが、それらも追放されてしまったらしい。よって今残っている人たちは異世界人の下で貢献ポイントを稼ぐ従順な人たちというわけだ。

 なるほどなぁ。異世界からやってきて高校を占拠し学生を飼い慣らしていると。だいぶ悪い奴らだな。何人も学生を殺しているらしいし。

 しかし、逆らう能力も気力も無い。ここから謀反を起こしてもひっくり返せる可能性は低いんだろうな。


「それに、私達の能力のこととか、モンスターのこととか全部、異世界のものらしいの」


 二度目の地震の後、筋力が増大し特殊な能力が芽生えたのは全て異世界でのルールだそうだ。

 それによると、異世界は剣と魔法のファンタジーで、モンスターが野生動物のように存在する世界らしい。

 また、人間はある年齢になると魔力によって筋力が増大し、魔法が使えるようになると。魔法、とは俺たちが使っている能力のことではなく、システムを学んでロジカルに魔力を現象に変換するもの、らしい。よく分からん。一度使うために魔法を学んでみたらしいが理解できる人は一人もいなかったらしい。

 魔法か……俺も使いたい。


 ともかく、異世界人は自分達より強く、生き抜くための知識も持っているということだ。現代人が生きていくには各種インフラがほぼ必須で、それらが無い今、彼らに頼った方が安全に暮らせるというわけだ。


「ということは、食料の調達方法も異世界人が?」


「ええ。……あなたが食べてるそれ、モンスターの肉よ。角トカゲってやつの」


「………………」


 ……珍しい味だと思ったら……。

 俺はもうほとんど残ってない肉を眺める。毒とかないよな?


「ま、そういうわけだから、私達の中であいつらを良く思ってるやつなんてほとんどいないわ」


 まあ、急に来て力づくで支配されて、いい気はしないわな。しかも、貢献度を稼ぎ続けないと理不尽に追い出される。きつい生活だ。

 ただ、これでも外を放浪するよりは断然マシだと思えるのが世知辛いな。

 ちなみに異世界人の言葉が通じているのは何故かというと、彼らが翻訳魔法なるものを通して会話をしているかららしい。全然違和感無かったな。いっつふぁんたじー。


「あ、そろそろ補給時間ね。私たちは行くけど、刃山さんは……たしかあいつに呼び出しされてたわね。気をつけなさいよ。何されるか分かったもんじゃないわ」


 そう言って賢斗君の手を取って立ち上がる春華さん。


「あ、ああ……え?ほ、補給時間?」


「ああ……説明してなかったわね。夕食の後は補給時間があるのよ。風紀を守るために時間が決められてるの。あなたも能力を使ってるなら魔力枯渇くらい感じたことがあるでしょ?」


 …………やっぱり補給って魔力補給のことか……。時間を決めてって……。

 賢斗君はモジモジして頬を染めている。


「あー、えっと……二人はそういう関係……?」


「そうよ。私、賢斗のこと愛してるから」


 おう……。賢斗君はさらに赤くなる。なるほど、幼馴染みでってことか……。春華さんは、だいぶ明け透けにグイグイいくタイプらしい。


「じゃあまた後でね。……あっ、六花に手を出したらただじゃ置かないから。不同意は罰せられるわよ」


「お、おう……」


 そう言って賢斗君を連れ立って去っていった。春華さんウキウキだったな。相当彼のことが好きみたいだ。まあ、仲がいいのはいいことだ。


「さて、俺たちも行くか。じゃ六花さんもまた後でね」


 俺は、終始無口で、黙々とモンスター肉を食べていた千秋の手を取る。


「優希」


「……ん?」


 こちらもずっと無口だった六花さんに声をかけられた。なんだろ。急に喋り出すとちょっと対応に困る。


「気をつけてね」


「……ん?あ、ああ……」


 ジトっと目を見つめてくる六花さん。フリーズしてると、千秋にグイッと手を引かれ体勢を崩す。


「っとと……あー……ははは…………忠告ありがとう。じ、じゃあ、また後でな……」


 何に気をつけるのか。さっきの話を聞く限りネイテールさんをそこまで信用してはいけないのかもしれない。しかし、約束はしてるし、顔はださないといけないよな。

 大丈夫かな……俺の足取りは少し重くなった。

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