女子高生の貫禄
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とても幸せな夢を見ていた気がする。段々と覚醒していく頭は夢の内容を消していき、昨日の夜の出来事を思い出させてくれる。
そうだ。優希さんに再会できたんだ。それで優希さんと凛と一緒にベッドにはいって……♡
身悶えしそうになる程幸せだ。
「ゆうき、しゃん……」
隣にある温もりに抱きつこうとした。が…………?誰もいない?ゆっくりと目を開けて、確認をする。
優希さんも凛もいない。ドクンと心臓が跳ねた。独り?全部夢だった?
私はベッドから飛び降り、全ての部屋を確認しに行く。いない。いない。いない。涙が溢れてきた。
全部夢だった?……いやだ。ヤダよぉ……。二階の部屋を全て確認し終えた私は階段を駆け降りる。リビングのドアを開けると、そこには ──────
「う、うぅ……だっで、またゆうぎざんが、いなくなっちゃったと、おもってぇぇぇ……」
「悪かった、悪かったって……ひ、響、おはよう……」
凛が優希さんに抱きついて泣いていた。優希さんは私の顔を見て挨拶してくれる。
安心したのと、凛が泣いているのにつられて、私の目にも段々と涙が溢れてくる。
「う、ぅ……」
私は走り出し、優希さんに抱きついた。
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朝。凛が泣きながら、俺に抱きついている。
暑さで目が覚めた俺は、まだ眠っている二人の拘束を振り解き、汗をたっぷり吸った寝巻きを着替えた。
流石に暑かった。この時期にあんな密着して寝るもんじゃない。響の能力も寝ている間は使うことができない。三人仲良く汗をダラダラかきながら寝ていたというわけだ。
そんで、着替えた俺はリビングに降りて、地図を広げて次の目的地の場所を確認していたわけだが、数分後には起きてきた凛に泣きつかれてこの状態だ。
泣きじゃくる凛を慰めていると、二階からドタドタと音が聞こえた。バタンバタンとドアを開ける音も聞こえる。
あー……なんかデジャヴ。
勢いよく一階に降りてくる音が聞こえ、ついにリビングのドアが開かれる。
涙目の響がドアを開け放った格好のままこちらを見つめていた。
「ひ、響、おはよう」
とりあえず挨拶をすると、響はとてとてと近づいてきて、抱きついた。
「う、うぅぅ、おはよお゛おぉぉ」
普通に挨拶できんのか……はぁ。
寝巻き姿の二人に泣きつかれている。……なんかこれもデジャヴ。
しばらく二人が落ち着くまで慰め、寝巻きを着替えさせた。
今は全員で次の目的地、小学校へのルート決めをしている。
「はい。中学校よりも少し遠いですけど、私と響は通っていましたからね。場所の把握はバッチリですよ」
凛は自信満々に言う。しかし、地震により街は森と化している。そうスムーズに行くだろうか……。
「大丈夫だよ、優希さん。ゆっくり行こ?」
呑気だなぁ。まぁ、凛のご家族が小学校にいる可能性が高く、小学校が安全であれば、そこが俺たちのゴールとなる。最後の旅を楽しみたい、なんてのもあるかもしれないな。
俺たちは荷物をまとめ、出発する。
「いってきます」
凛が家に向かって挨拶をする。ここに主が来るのは、もしかしたら最後かもしれないな。幸せな家庭があったのであろう豪邸を見上げながら、そんなことを思った。
「響、たのむ」
「おっけー」
響の能力によりモンスターの周りが急速に熱せられていく。人のようなモンスターだ。全裸で全身真っ白、赤い斑点が全身にあり、なんとも気持ち悪い。
そいつは、溶けたアスファルトに片足をっこむと、気づかずにもう片方の足もアスファルトに沈めていく。痛覚は無いのだろうか。
「今だ」
響に合図をすると今度はアスファルトの温度を急速に下げていく。足を沈めたまま固められたモンスターはその場から動けなくなり、ゆらゆらと揺れている。
舗装された道路上で戦う場合、響の能力を使うと戦略の幅がかなり広がる。動きがそこまで早くないモンスターに対しては特効と言っても良いだろう。
(優希さん、あそこの家の隙間からゴブリンがこっちを狙っています。人喰いオバケにとどめを刺しにきたところを狙おうとしているみたいです)
凛からテレパシーが送られてくる。言葉以外で情報を伝える際は、このテレパシーがあると齟齬がなく、しかも早い。モンスターの思考さえも筒抜けになるので、もうなんでもありだ。
共有された情報をもとにその方向を見ると、確かに、ゴブリンどもがニタニタしながら待機している。何も知らずに降りて行ってたら危なかったな。
俺は二人に強化をかけて、ゴブリンの隠れている箇所まで一気に駆ける。
「オラッ!」
ゴブリンの喉元に槍を突き入れる。慌てたゴブリンたちは多少の反撃をしてくるが、当たることはない。
大した時間もかからず殲滅すると、動けないままうーうー唸っている白い人型モンスター、人喰いオバケ(響命名)にとどめを刺す。
「ふぅ、おつかれ二人とも」
「はいっ」「いぇーい」
三人でハイタッチをして、軽く武器の確認をしてから出発する。
二人がいると戦闘が格段に楽になる。目的地に向かう途中にモンスターがいても避けるために迂回したりする必要がないため、進みもかなり早い。
二人は身のこなしも良く、モンスターどもを目の前にしても臆することなく戦える。なんと言うか、世界に順応していっているのだとは思うのだが、悲しくなってくる。これが、女子高生の貫禄か?
彼女たちと同年代の他の子らはどうなんだろうか。みんな同じような感じなのだろうか。もう、元の世界のようには戻れないんだろうな。
ある程度進み、一つの空き家で夜を明かすことになった。最短ルートで進めているので、明日には到着しそうだ。
「優希さんっ、補給をお願いしますっ」
そう言って嬉しそうな顔で、乳首を舐めさせろと要求する凛。響も顔を赤らめて期待の眼差しを向けてくる。
「あぁ……そう、だな……」
俺はタラタラと補給の準備をする。装備を外し、上着を脱いでいく。なんとか先延ばしにしようとゆっくり準備を進める俺を、ジッと見つめる二人。俺の一挙手一投足を見つめる様はまるで、囚人の刑務作業を監督する看守のよう。
ついに準備が終わりソファに座ると、ススス、と二人が左右を固めてくる。
「え?ふ、二人同時にするのか?」
「うん、だってもう今更でしょ。それに凛になら別に見られても恥ずかしくないし」
「ふふ、優希さん、お願いしますね」
二人はそれぞれ同時に吸い付いた。
うぐぅ……相変わらず上手い。……いや、相変わらず上手かったらだめだろ。くそ、もう俺に快感を与えるような舐め方しかしてこない……。
「んむ……」
「はむ、あむ……」
俺が快感で体を跳ねさせると、凛と響はお互い目を合わせて、ふふふ、と笑う。これ、俺遊ばれてるよね?
頃合いかと思い、二人の肩を叩いても、
「んむ……あと、ちょっろらけ……」
とか言って抱きしめてくる。なかなかやめない。
何度か催促をすると、渋々と言った感じで、ようやく終了となった。
うーむ、これは二人でいるから我儘になっているのかもしれないな。味方がいるから気が大きくなって要求がエスカレートしているのでは?
「……二人とも、本当は魔力の枯渇なんてしてないんじゃないか?」
「………………いや?」
響、なんだ今の間は。
「そんなこと、ありませんよ?補給してもらわないと明日の戦闘にも支障がでてしまいます」
「そうか?……以前はもう少し補給の時間は短かったような ──────」
「優希さん!明日も早いですし、寝ましょう!」
凛はそう言って俺の手を取り、立ち上がる。すかさず響はもう片方の手を取った。いい連携だね。
グイグイ引っ張られて寝室に連れてこられた俺はベッドに転がされると二人に両脇を固められる。ま、またぁ……?
「あの……服まだ着てないし……」
「んふ♪私は気にしないから、ダイジョーブだよ」
「おやすみなさい、優希さん」
押し黙る二人。
……両腕にしがみつかれて身動きが取れない。なんか、ほんとに我儘になってきている気がする……。
しかし、俺の力ではスーパーJKたる2人に敵うわけもない。はぁ……。
わざとらしい二つの寝息を聞きながら、俺は諦めて寝ることにした。
翌朝。何事もなかったかのように出発の準備をしている。少しでも昨晩の話題を出そうとすると、2人で連携して話題を逸らされ、どうでもいいような会話に変化してしまう。……どうすればいいのか、俺にはわからない。
特にアクシデントもなく、順調に進み、ようやく小学校が見えてくる。森の中にひっそりと佇む校舎。なんか少し不気味だな、なんて思いながら近づいていくと、戦闘音が聞こえてくる、同時に何人かの男性の声。
「二人とも急ぐぞ」
俺たちは走りだし、戦闘音の聞こえる方へ近づいていった。音の出所を確認する。
校門付近のそこでは、大人たち数名が狼の集団相手に白兵戦を繰り広げていた。




