一章幕間
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総理官邸。世界が繋がりを絶たれたあともここは情報を集め続けていた。
「通信会社各所から確認が取れました。海底ケーブルは全て切断されてると見て間違いないそうです」
「連絡が取れている自衛隊基地からも報告が上がっています。どこも同じように地震の被害に遭っているようで、各種インフラ全て機能停止しています」
「衛星通信による、諸外国との連絡も取れました。同様に、巨大な地震に見舞われ、壊滅状態です。各国、救援を要請しています」
事態は朝、突然に起こった。経験したことのない激しい揺れだ。首都直下型地震。ついに起きてしまったかと、死傷者、物的被害や経済損失による損害はいかほどのものか。揺れの強さから、自分の命よりも国の未来を心配した。
しかし、その予想は全くの無意味だった。官邸に集まり、情報を収集していくうちに想像を絶する事態になっていることを知った。
首都圏が、この国が、ではなかった。世界が、地球が被害の対象範囲だ。衛星からの写真で地球の状況を大まかに確認した。大陸は沈み、新たな大陸が出現している。丸ごと消えている国も確認できた。ここはまだ良い方だろう。形が確認できる。
各国も同じ状況ということは救援は我が国も期待できない。だが、友好的であれ、敵対的であれ、各国にも甚大な被害を負わせたことに関しては、この国の総理大臣として神に感謝するところだろう。
「はぁ……」
総理として、国を立て直す責任がある。が、立て直したところで、世界が、生活が元通りになることはないだろう。人類の歴史はいくらか後退する。そう考えられる規模の災害だ、未来は暗い。
…………だが、だとしても。進まない理由にはならない。人類のため、国民のために働き続けるのだ。
「連絡が取れるまで続けてくれ。主要マスコミとの連絡は?」
「どことも取れていません」
衛星写真によると、被害が凄まじいものだと分かる。海に沈んだ都市、新たな山の出現により破壊された村、森と化した街や、大穴により消滅した場所もある。ただの地震ではない。それは確かだ。
「各種インフラの復旧はどうなっている?」
「そのことですが、被害が大きすぎます。被害箇所も範囲も特定できないため、復旧には相当年月を要するとのことです」
人類が積み上げてきたものがあっけなく崩れていく音が聞こえる。人はまた歩き出せるだろうか。この国は立ち直れるのか?
「分かった。インフラの回復は後回しだ。防衛大臣、連絡が取れている自衛隊基地全てに通達してくれ。周辺住民の保護を優先、到達できる避難所と連携して、出来るだけ多くの国民を救うんだ。通信網の構築も急いでくれ」
やるべきことをやる。やり続ける。ここが折れてはいけない。




