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異界融合 〜崩壊した世界で少女達と共に生き抜く〜  作者: レモンGUN
一章

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23/61

平々凡々なサラリーマン


 三日ほどかけて、ようやく黒宮さんと響の家についた。非力な男性が一人で旅をするのがどれだけ危険なことなのか身に沁みた。

 ここまでくる途中にも、当然のことのようにモンスターと遭遇した。しかし、基本は逃走だ。一人で対処できる状況なんてそうそうない。隠れて、見つかったら逃げる。

 彼女たちがいた時と比べると、驚くほど進みが遅かった。


「長かったな……」


 ようやくついた。しかし、ここを確認すればもう心残りはない。ちゃっちゃと確認して、新たな避難所を探すべきだろう。

 俺は黒宮家を見上げる。豪邸と言っていいだろう。敷地も近所と比べると大きく、庭もでかいし、家屋は三階建。因みに響の家は一般的なサイズだ。

 黒宮家と、響の、夏野家は隣同士だった。ご近所さんで昔からの幼馴染で、親友だった。ということだ。二人の関係は好ましいものがある。どうか、互いに支え合って強く生きて欲しい。

 俺は門を開け、黒宮家の敷地に入る。荒れた庭を通り玄関の扉に手をかける。鍵はかかっていなかった。珍しくはない。どの家もすでに荒らされてる。こんな目立つ家じゃ狙われない方がおかしいだろう。


「お邪魔しまーす」


 意味のない断りを小さな声で言い、中の探索を始める。まぁ、期待はしていなかったが、ご両親がここで暮らしているなんてことは無かった。リビングから始まり、ダイニングキッチン、和室、浴室、トイレ、と、一通り探索を終える。

 裕福なご家庭だったと想像できる家具の数々。さぞかし値が張るものだったのだろう。こんな世界じゃなんの価値もないが。一瞬にして凋落した黒宮家を憂いながら二階へ上がる。

 一つ、また一つと部屋を見ていく。女の子のものであろう部屋もあったが、小学生の授業の時間割りを見つけて妹さんの部屋かなと思った。妹がいたとは知らなかったな。

 めぼしいものも特になく、隣の部屋へ移動する。ドアノブに手をかけ開くと ──────


「……グゥッ!?」


 槍が腕に刺さった。マズい!先客がいたか……!

 俺はノブから手を離し距離を取る。槍を取り出し構えながら、相手の姿を探す。くそ、腕がいてぇ……。


「え……優希、さん?」


 声がした。入ろうとした部屋の方からだ。そちらを見やる。


「く、黒宮さん?」


 黒宮さんが血のついた槍を持って立っていた。なぜ彼女がここに?公民館にいるはずでは?

 黒宮さんは槍を投げ捨て走り出し、抱きついてきた。


「うぅぅわぁぁぁ゛、ゆうぎさん゛ん゛、いぎでたぁ゛ぁぁぁ、あああ゛、うでぇぇ゛、ごべんなさい゛ぃ゛ぃ゛」


 胸に顔を埋め、泣きながら何かを話す黒宮さん。

 ドタドタと部屋から足音が聞こえ、もう一人廊下に飛び出してきた。


「ゆ、優希さんっ!!」


 響だった。こちらも走り出し抱きついてくる。


「うぐぅ」


 結構な力だ。君たち力強いんだから、加減をしなさいよ。


「ううぅぅ、よがっだぁぁぁぁ。よがっだよぉぉ゛ぉ」


 こちらも泣きながら顔を埋めてくる。グリグリと。いてぇぇ。

 二人は、しばらくの間何事か喚きながら泣きじゃくった。落ち着いて解放されたのは辺りが少し暗くなってきてからだった。


「す、すみませんでした。優希さんと会えたのが嬉しくて、つい……」

「ごめん…………」


 二人に謝られたあと、先ほど入ろうとした黒宮さんの部屋に招待され、ことの経緯を聞いた。


 二人は俺が公民館から追い出された朝に、俺がいないことを知って追いかけてきたらしい。よく行き先がわかったな、と聞いたら、俺が優しいから分かった、と言われた。ようわからん。

 二人は俺を探しつつ自宅までの最短ルートを駆け抜けて、その日のうちにここには着いたらしい。すごすぎる。

 俺はと言うとコソコソ隠れながら、途中アクシデントもあり、なんとか今日たどり着いたのだ。力の差が如実にでてるね。つらい。

 たどり着いた彼女たちは周辺を捜索した。日が暮れるまで探したが見つからず、この家で待機することにした。次の日も同じように範囲を広げて探索し、それでも見つからなかったため、こちらには向かっていないか、死んでしまったのだと結論づけたらしい。

 もう会うことは出来ないと、悲しみに暮れた二人は、この部屋のベッドで二人肩を寄せ合い、俺との思い出を語り合っていた言うわけだ。


「でも、本当に良かった。私、もう会えないと思って、それで、悲しくって、それで、優希さん、うぅぅぅ」


「ああぁ、心配かけて悪かったな。いやぁ一人だとなかなか大変でさ、時間かかっちゃったんだよ」


 再び大泣きエンジンをふかし始めた響を嗜め、背中をさする。


「本当に良かった、もし、優希さんに何かあったら……私は、あの人たちを絶対に許さないです」


「は、はは、まぁこうやって無事だったし、良しとしてくれないか?」


 怖いことを言い出す黒宮さん。こちらも嗜めるために、背中をさする。

 今俺は、二人に挟まれてベッドの上に座っている。正直二人に距離を詰められているとあの日の記憶が蘇ってちょっと怖いんだが。因みに腕に槍が刺さったことだが、大したことは無かった。筋力が上がったからなのか、黒宮さんが手加減していたのかは分からないが、出血もすぐ止まった。

「良かった……」「優希さん……」と口々に言いながら俺の体を撫で回す二人。……お互いの体を撫で回している。マズい傾向な気がした俺は話題を変えた。


「そ、そういえば、黒宮さんのお母さんは小学校に向かったって話だよね。妹さん、ええと、鈴音ちゃん?と合流するために」


「………………はい、そうです」


 なんかすごい間があった気がしたが……。そう、黒宮さんの母親が生きている可能性が出てきたのだ。お母さんが残した、鈴音ちゃんの方へ合流するという書き置きを見つけたのだ。

 黒宮さんの方に来なかったのはお姉ちゃんだから、ということだろう。まぁ小学生の方を優先するのが普通だよな。黒宮さんへの信頼もあるだろう。しっかりしたお子さんですよ、ほんとに。

 因みに父親は単身海外で頑張っているらしい。そういえばこの地震はここだけのものだろうか?海外も同じように地震が?いや、地震大国ならではなのでは?だとしたら海外からの救助が期待できるかもしれないな。……あるいは逆に戦争を……いや、考えるのはよそう。今はとにかく自分のことだ。


「優希さん」


「は、はい?」


 考えに耽っていると、黒宮さんから声をかけられる。なんか声のトーンが変わったのを感じ、なぜだか分からないが声が上擦ってしまった。


「妹がいると、紛らわしくないですか?黒宮さんって、呼んでると……」


「あ、ああ、そう、だな?確かに」


 確かに。まぁでも黒宮さんで慣れちゃったしなぁ。妹さんは鈴音ちゃんって呼べばまぁ、問題はなさそ ──────。


「私、凛って言います」


「……はぁ」


 存じ上げております。

 じっとこちらを見つめる黒宮さん。め、目が離せない。これは下の名前で呼べとか、そういうやつか?今更な気もするが……。


「り、凛……さん」


「さんも要らないと思います」


 間髪入れず要求する黒宮さん。


「凛……」


 しばらく見つめ合い、満足げににっこり笑う黒宮さん、いや、凛。まぁ、こっちの方が親しい感じがするし、良いのかも……?


「優希さん、私、響って言います」


 反対側から声が聞こえる。


「んえ?あ、ああ知ってる……っていうか、ずっと下の名前で呼んでるだろ」


 そう言って振り返ると、何かを期待するようにニコニコ笑う響。じっと見つめてくる。


「ひ、響……」


「んふふ」


 ……満足そうで何より。

 響の自宅の方は、特に書き置きなどはなく、家族の行方は分からないらしい。夏野家は父子家庭で父、響、響の兄、の三人家族だ。母親は物心つく前に病気で亡くなっているらしい。

 響曰く、あまり心配していないとのこと。父は豪快な人で土木関係の仕事をしているとのこと。兄は高校二年生で、ガタイのいい体格。野球部でキャッチャーを任されているのだとか。

 まぁどっかで生きてるでしょ、と響はなんでもないように言ってのけた。まぁ、本当にどうでもいいとは思ってないだろう。これも信頼からなるものだ。……そうだよね?


「んふふ、優希さん」


 また反対側から声をかけられる。


「どうした、くろみ……凛」


「……ふふふ」


 危なかった。あと少しで死んでた。なぜだか分からないがそう感じた。


「優希さん」


「……なんだ響」


 また反対から。


「んふーへへ」


 …………こういうやつね。


「優希さん」

「どうした凛」

「んへへへ」


「優希さん」

「なんだ響」

「……くふふ」


 俺はしばらくの間、二人の名前を呼ぶマシーンと化した。




「優希さん、一緒に寝てもいいですか?」


 食事も済ませ、響のおかげで久しぶりの風呂にも入れた。明日の計画も話し合ったあと、さあ寝るかとリビングのソファで横になろうとしたら、凛に声をかけられた。


「今日は三人で寝よっ」


 響も提案をしてくる


「いやぁ、さすがに、一緒にってわけには」


「ほ、補給!……も、してもらわないといけないですし」


「あっ!ち、ちょうどいいね、それ」


 ……いやしてから別々に寝ればいいよな。

 言うや否や二人に手をがっしり掴まれる。


「わ、分かった補給は必要だ。しよう。ただ一緒に寝るのは流石にまずいと思うぞ?二人とも女の子なんだもっと危機感をもって……」


「…………」

「…………」


 は、反応がない。二人に引っ張られズイズイ進んでいく。

 俺はベッドに転がされると左右を二人に固められ動けなくなった。


「……一緒に寝るだけですよ。…………今日は」


 凛は最後に小さい言葉で付け加えた。今日は?今日はってどう言う意味?


「まぁまぁ、優希さん、リラックス、リラックス」


 両足を二人に絡められ、しっかりと抱きつかれる。


「な、夏場にこれは、ちょっと、ねえ?暑くない?」


 なんて言ったら、響が周りの温度を下げた。わぁ、涼しいー。


「優希さん、補給しましょう。明日もありますし」


 そう言って俺のTシャツをずり上げる凛。ぐぅ、止めようにも、腕が二人の足にがっちり挟まっているので動かせない。


「んぅ♡……大丈夫ですよ、優希さん。優希さんが嫌がることはしません。嫌だったらちゃんと言ってくれればやめますよ」


「い、嫌だっ」


「………………」


 Tシャツが戻らないように鎖骨のあたりでまとめる凛。

 いや、黙るのずるくない!?都合が悪いこと全部それで通そうとしてないか!?


「はぁはぁ……優希さん、補給していい?するね?」


 そう言うと響は俺に吸い付いた。


「んぐっ……ぅ……」


「失礼しますね、優希さん」


 間髪入れず凛が吸い付く。


 一心不乱に吸い付く二人。両側からガッチリとホールドされている。

 毎度のことながら徐々に力が入っていくのを感じる。左右から潰されて美少女万力状態だ。


「あむ、むふ……はふ」

「はぷ…………ん」


 気づいたことがある。補給の時、俺が反応して体が跳ねると、二人とも鼻息が荒くなる。興奮したように舐める動きが変わるのだ。反応する舐め方、吸い方を探っているような気がする。俺はとても恐ろしい。


 …………まずい。彼女たちの責めが緩やかになった気がしたから、そろそろ終わるかと思ったら、下の方をガン見されてる。

 くそ、今まではズボンの素材が硬かったので隠し通せていたのだが…………。

 今は寝巻きだ。風呂も入ったしラフな格好で寝るかと柔らかいハーフパンツをチョイスしてしまった。

 ついに彼女たちの責めが止まった。山に集中している。響はただただ困惑と言ったところだが、凛に至っては、触っていいものかどうか迷っている仕草が見られる。す、ストーップ!!


「ふ、二人とも、補給は終わったかな?じゃぁ ──────」


 言い終わる前に、補給が再開される。う、くぅ……。背に腹はかえられぬ。


「んむ……もうちょっろらけ……んふ」

「れう、ん……あむ」





 補給が再開されてから1時間ほど。

 二人ともようやく満足したのか、チュポンと唇を離し、俺の体をキレイに布で拭き始めた。途中、響がまた舐め出したのにつられ、凛も舐め始めたが、嗜めたら踏みとどまってくれた。

 さて寝るかとベッドを降りようとしたら、左右からガッチリ掴まれる。

 ……これは、無理だな。もう諦めて寝ることにした。

「優希さん、優希さん」と頭をグリグリしながら抱きつく二人。やがて耳元で二人の寝息が聞こえるようになって、ようやく眠りについたと確認できた。



 はぁ……。本当に危ない。

 さすがに、二人の好意には気づいている。これで、好きでもなんでもないとなると、俺は世界の全てを虚像として見なければいけなくなる。

 だが、その気持ちに応えるわけにはいかない。彼女たちが若すぎるのが理由だ。

 はぁ……。そりゃ俺だって彼女たちを好ましく思っている。


 凛は目鼻立ちがしっかりしていて可愛い。長い黒髪もどうやって維持しているのかと気になるくらい綺麗だ。歳の割に小さい背丈と細い体。それに見合った小さい胸も、可愛さと言う面で見ればプラスな気がする。誠実な性格も好印象だ。自分の中にしっかりと正しさを持っていていざとなれば、勇気を出して立ち向かうことができる。あとは、それを実現するための聡明さも、彼女の魅力だな。


 響は、快活な笑顔が可愛い、人懐っこい猫みたいな女の子だ。少し吊り目なのがチャーミングだ。響も身長は平均より低めだが、肌は健康的に焼けており、すらっとしている筋肉質な体が見ていて眩しい。胸は……本人曰く平均らしい。そう言うことにしておこう。親友思いの優しい子だ。明るく、誰とでも仲良くなれるような性格で、きっと誰もが好きになってしまう、そんな女の子だろう。


 二人ともとびきりの美少女だ。性格も良い。きっとこんなことがなければ、誰も放っておかないことだろう。そんな二人に好意を向けられて……申し訳ない気持ちになる。俺はこんな二人に釣り合うような人間じゃないだろうな。平々凡々なサラリーマンだ。


 どうするべきか。どう断るべきか。

 二人の熱と吐息を感じながら、そんなことをグルグルと頭の中で考え、眠りについた。


 

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