第12話 最初の仲間
登録者241人。
βスポンサー19人。
数字は伸びている。だが、正義の作業量も比例して増えていた。
地方予算ページの更新、週次サマリー作成、スポンサー対応、Xでの軽い火消し、広告運用の最適化。
会社の営業業務が終わった後、深夜までPCに向かう生活が続く。
「一人は限界だな……」
正義は画面を閉じ、目を押さえた。
地方リクエストフォームには、未対応の自治体が31件。資料も少しずつ集まり始めている。だが、整理する時間が足りない。
事業として拡張するなら、仲間が必要だ。
だが、簡単に人を入れられる規模でもない。
凛にメッセージを送る。
「メンバー募集する」
返信はすぐだった。
「報酬は?」
「今は出せない」
「じゃあ、理念で集めるしかない」
正義は少し苦笑する。理念で人は動くのか。だが、自分が動いているのも理念だ。
その夜、登録者向けにメッセージを送った。
《RE:PUBLICでは、データ整理・自治体分析を一緒に行ってくれるボランティアメンバーを募集します。専門知識は不要です。スプレッドシートを触れる方歓迎。》
送信。
数分は静かだった。
だが30分後、最初の返信が届く。
“大学で行政学を学んでいます。手伝いたいです。”
続いて。
“地方公務員ですが、個人として参加できますか?”
正義の心拍数が上がる。
公務員。
リスクもある。だが価値も大きい。
正義は慎重に返信を書く。
《立場に影響が出ない範囲でお願いします。匿名参加可能です。》
翌朝。
参加希望は6人になっていた。
241人中6人。約2.4%。
「悪くない」
正義はオンライン説明会を設定する。Zoomリンクを送り、土曜夜に開催。
――
当日。
画面に6つの黒いアイコンが並ぶ。全員カメラオフ。だが声は若い。
「今日はありがとうございます」
正義は、これまでの流れを説明する。
・国予算可視化
・地方拡張
・スポンサー透明性
・今後の構想
最後に言う。
「まだ小さいです。でも、本気です」
沈黙のあと、一人が話し始める。
「僕、地元議会の議事録まとめられます」
別の声。
「データ整理得意です」
もう一人。
「録画の文字起こしできます」
正義は画面を見つめる。
これまで一人で背負っていた作業が、分散する可能性。
「チームになる」
説明会後、Slackを開設する。チャンネル名は#自治体プロジェクト。
最初の投稿。
《〇〇市の歳出項目、フォーマット統一お願いします。》
10分後、返信。
“やります。”
その瞬間、正義は気づく。
RE:PUBLICは、もはや個人ブログではない。組織の芽が出た。
夜。
登録者は257人。
βスポンサーは21人に増えていた。
数字も伸びている。だが、それ以上に意味がある。
6人の仲間。
正義は凛に電話をかける。
「仲間できた」
「何人?」
「6人」
凛は少し笑う。
「急にスタートアップっぽい」
「まだボランティアだけどな」
「最初はみんなそう」
電話を切った後、Slackに新しい通知が入る。
“〇〇市のデータ、整理完了しました。”
正義は椅子にもたれ、深く息を吐く。
登録者257人。
スポンサー21人。
ボランティア6人。
小さい。
だが、構造は変わった。
一人の挑戦から、チームの事業へ。
RE:PUBLICは、次の段階に入った。




