第九十四話 カレー屋 〜餅木歩夢編〜
〜餅木歩夢の視点〜
――――イラル王国
隼人達と別れた歩夢達は、古代の遺跡から近道を通って、無事にイラル王国にへと辿り着いた……。
「ふぅ〜……。 さてと、何とか無事にイラル王国に着いた事だし、早速『カレー屋』に寄って、ノマゲンに依頼達成の報告をしに行くかっ!」
「うんっ! 早くノマゲンさんに、ネアさんが喜んでくれてたって事を伝えなきゃねっ!」
「あぁ、そうだな歩夢! じゃあ、ダッシュでカレー屋へと行くぞっ! ほら、雅隆と座衛門も早く来いよッ!」
バルフは元気良くそう言うと、駆け足でカレー屋へと向かって行った。
すると、バルフの直ぐ後ろを付いている座衛門が、何やら嬉しそうな顔を浮かべながらバルフに話し掛けて来た。
「ふむぅ、カレー屋ですか……? カレーと言うのは、某の大好物で御座いますからなぁ〜っ! もし良ければ、是非とも『無一文』の某にも、そのカレー代を奢って頂けると嬉しいので御座いますが……どうでしょうか?」
「あぁ、その事なら安心しろ座衛門。 ちゃんと、お前の分の金も払ってやっからさ。 あ、だけどそう言えば、確か雅隆がノマゲンから『金貨5枚』を手渡されてたよなぁ? んじゃあ、雅隆の奢りって事で良いな?」
「なぬっ!? 詰まり、我が『弟』が某の分のカレー代を支払ってくれるので御座いますかッ!? いやはや、矢張り『実の弟』と言う物はイザと言う時には頼りになりますなぁ〜っ!!」
「ははっ、兄上の為ならば喜んで御支払い致しますともっ! と言う訳でカレー代は、拙者に任せるで御座るよ兄上ッ!」
すると、雅隆からその言葉を聞いた座衛門は、静かに感激の涙を流す……。
「うむ……。 苦労を掛けて、すまないな弟よ……。 だが、どうしても某はカレーが食べたいので御座いまするぅ……」
「まったく……。 兄上ったら、たかが『カレー代』如きで大袈裟な……」
と、座衛門達が談笑していると、気が付いたら歩夢達はカレー屋の前に辿り着いていた。
そして、座衛門達はウキウキでノマゲンが待つカレー屋の中へと入って行く!
――――カレー屋内部
「おーい、ノマゲンさーんっ! 無事に、ネアさんの下に御依頼の荷物を御届けしましたよーっ!」
歩夢の呼び掛けを聞いたノマゲンは、カレーを食べる手を止めると、歩夢の方に振り向きながら返答する。
「おうっ! さっきの男の娘に、狼男と眼鏡の旦那っ! アンタ等が帰って来るのを心待ちにしてたんだぜ〜っ! って、んんッ!? な、何で眼鏡の旦那が『二人』も居るんだぁッ!? それに、ピエロの人も居なくなってるしよぉ……?」
「あぁ、隣のこの人は、拙者の兄上で御座るよ。 そしてピエロの人は、今頃ネア殿と一緒に古代の遺跡を探索している途中だと存じます……」
「おー。 なるほど、そう言う事かっ! それで、ネアちゃんは、俺からの贈り物に対して一体『どんな反応』を示してくれたんだよ……っ!?」
ノマゲンは、テーブルに身を乗り出しながら、熱い視線を雅隆達に送った……。
すると雅隆は、ノマゲンからの贈り物を受け取ったネアの、その贈り物に対しての反応を嘘偽り無く、しっかりとノマゲンに伝えた。
「……と言う訳で御座るよ。 因みにネア殿には、ファンの人からの贈り物だと言う風に伝えたで御座るから、ノマゲン殿が『魔族』である事は、恐らくバレてないかと……」
「おおっ! あんがとな眼鏡の旦那ァ! もし、魔族である俺からの贈り物だって事が知られちまったら、『魔族抹殺連盟』に所属しているネアちゃんに、即座に殺されちまうからなっ! まぁ、でもそれはそれで良いかも知れないがな……?」
「ふむふむ、成程……? 確かに、好みの女子から命を奪われるのも、また『一興』か……?」
「いや、な〜にが一興だ……。 それにしても、かつての『魚人族』の様に、いつか魔族もこの世界で受け入れられる様になれば良いんだがなぁ……」
バルフは、複雑そうな顔を浮かべながら後頭部を掻き始める……。
すると、不意に疑問に思った歩夢がバルフに問い掛けた。
「ねぇ? 何で魔族って、他の種族から嫌われてるの? だって、ノマゲンさんを見る限りじゃ、魔族ってそこまで嫌われる様な種族じゃないと思うんだけど……?」
「まぁ、魔族が嫌われてんのも、ただの『偏見』だからなぁ……」
「えっ? へ、偏見……?」
「あぁ、そうだ……。 例えば、この世界で流通している『書籍』では、魔族が必ず『絶対悪』であるかの様な内容で書かれてるんだよなぁ……。 まぁ、俺は人間が書いた文章の書籍は読めなかったから、俺自身は魔族の事については特に偏見は持ってねぇがな?」
すると、静かにバルフの話を聞いていた座衛門と雅隆が興奮した様子で、鼻息を荒くしながら会話に加わって来た……。
「むむっ? 『書籍』ですとっ!? あ、そう言えばこの世界では、『アニメ』や『漫画』も普通に流通しているみたいで御座いますからなぁ……?」
「なにっ!? それは誠で御座るか兄上ぇッ!? と言う事は、まさか拙者達の様に『異世界転生』した者が、魔族が悪だと言う良くあるパターンの書籍を書いて出版し、それを見た異世界の住民達が勘違いして仕舞ったと言う話なのでは……っ!?」
「なぬぅっ!? まったく、その書籍を書いた者は一体何を考えているのだっ!? 魔族の事を書くならせめて、『サキュバス』とかのエッチな悪魔の事を書いておけば、魔族に『風評被害』が行く事も無かったと言うのにぃ……ッ!」
「いや、そっちの方が無駄に風評被害を受けそうなんだけどなぁ……」
すると、完全に妄想で怒りを顕にしている座衛門と雅隆に対して、バルフが白熱している様子の二人を止めに入った……。
「待て待てッ! おいおい馬鹿か、二人共……? 書籍って言うのは『ライトノベル系』の方では無くて、古来の魔導書とかそう言った物の、もっと堅苦しい方の奴だ。 詰まり、アニメとか漫画から魔族の偏見が生まれた訳では決してねぇからな?」
「あ、そうなので御座いますかっ! いやはや、勝手に妄想を繰り広げて仕舞って、御恥ずかしい限りですぞ……」
「と言うか、バルフさんって『ライトノベル』の事を知ってたんだね……。 どっちかと言うと、僕はそっちの方が衝撃的だなぁ……」
「ふむ? 然し、現に魔族は悪い種族では無いので御座ろう? それなら一体何故、その『古来の魔導書』には魔族が悪だと書かれていたのだ? 考えられるのは、書いた人の『確認不足』とかで御座るか……?」
すると、その雅隆が投げ掛けた疑問に対して、ノマゲンが険しい表情を浮かべながら答えた……。
「眼鏡の旦那ァ……。 実は、滅茶苦茶『単純な話』なんだよなぁ、これがなぁ……」
「ほえ? 単純な話……ですと?」
「あぁ、そうだ……。 要するに、魔族が他の種族と比べて『優秀な種族』だから嫉妬で悪評を広めてやろうって、古来の魔導師が仕向けたってだけなんだ……。 そして、現に俺達魔族は、その古来の魔導師が書いた『魔導書』によって世間から迫害される様になっちまったんだ……。 全く、遣る瀬ねぇよなぁ……?」
「ふむぅ……。 それはそれは、酷い話で御座いますなぁ……。 ならば、せめて某達だけでも、何も罪の無い魔族達の味方を致しましょうともっ! なぁ、皆の衆ッ!」
「勿論で御座るよ兄上っ! 拙者達だけでも、ノマゲン殿達の味方をしなくてはなりませんなぁ……っ!」
すると、その座衛門と雅隆の言葉を聞いたノマゲンが、涙目になりながら感謝の言葉を述べた……。
「ははっ、アンタ等は本当に良い奴らだなぁ〜っ! よしっ、これは俺からの『感謝の気持ち』だッ! アンタ等の分のカレー代は、この俺が払うとするよッ! へへっ、遠慮は要らねぇぞぉ〜ッ! 『友好の証』として素直に受け取ってくれやぁっ!」
「ま、誠で御座いまするかッ!? や、矢張り魔族に悪い人は居らぬので御座いまするなぁ〜っ!」
「わ〜いっ! ありがとねノマゲンさんっ! じゃあ、僕は『四種のチーズカレー』を食べよっかな〜!」
「おいおい、いきなりこの店で『一番高い物』を頼むなんて、歩夢は『遠慮』と言う言葉を知らねぇんだなぁ〜っ!?」
「ふふっ、別に良いでしょバルフさん? だって、ノマゲンも感謝の気持ちを素直に受け取って欲しいって言ってたじゃんっ! だから、僕は素直に受け取っただけだもんねぇ〜っ!」
「やれやれ、本当に歩夢は食い意地が張ってんなぁ……? んじゃ、俺もカレーを頼むとすっかぁ……」
バルフは、肩を竦めながら席に座ると、カレー屋の店主に向かって注文を取った。
「んじゃあ、俺はこの店の『全メニュー』を頼ませて貰おうかッ!」
「いや、結局一番食い意地が張ってんのはバルフさんの方じゃないか……っ!?」
と、歩夢からの渾身のツッコミが入った所で、愉快に談笑しながら歩夢達は、ノマゲンの奢りで多種多様のカレーの注文を取るのであった……!
【現在位置】
【カレー屋】
【現在の日時】
【4月8日 11時6分 春】
【餅木歩夢】
【状態】:元気
【装備】:フリフリのワンピース 女性用の下着 鞄
【道具】:鞄の中に様々なコスプレ服
【スキル】:慈愛の涙
【思考】
1:チーズカレーと……。
2:野菜カレーに……。
3:ドラゴン肉カレーも頼んじゃお〜っと!
【基本方針】:沢山のカレーを食べる。後でギルドに依頼達成の報告をする。
【大宮雅隆】
【状態】:元気
【装備】:眼鏡 忍と書かれた白の服 リュック 自動翻訳装置
【道具】:リュックの中に様々なコスプレ服 金貨5枚
【スキル】:永遠の瞬間移動
【思考】
1:拙者は、どのカレーを頼むで御座るかな〜?
2:おっほぉっ! どれも実に美味しそうで御座るなぁ〜っ♪
3:決めたっ! この、『ピザカレー』とやらを頼むで御座るよっ!
【基本方針】:ピザカレーを食べる。金を稼ぐ。
【バルフ】
【状態】:元気
【装備】:威嚇用の爪と牙 袋 自動翻訳装置
【道具】:母の写真 催眠玉5個 回復瓶10個
【スキル】:勇気の咆哮
【思考】
1:そうだな、折角の奢りだしなぁ……。
2:だから、遠慮なく頼ませて貰うぜぇッ!
3:全メニュー頼ませて貰おうかッ!
【基本方針】:カレーを食べる。歩夢達を護る。
【大宮座衛門】
【状態】:ワクワク
【装備】:眼鏡 侍のコスプレ服 美乳剣舞の剣 旅人の袋
【道具】:美乳剣舞のシール50枚
【スキル】:熟練の百戦錬磨
【思考】
1:おっほぉ〜っ!
2:どうやら、サイドメニューも美味しそうなのばかりで御座いまするなぁ〜っ!
3:ポテトッ! シェイクッ! ナゲットッ! コーラッ! いやぁ〜、堪りませんなぁ〜っ!
【基本方針】:カレーとポテトとナゲットを食べる。シェイクとコーラを飲む。後で隼人達と合流する。
【魔戦士ノマゲン】
【状態】:驚愕
【装備】:黒色と紫色の鎧と兜 愛の剣 財布
【道具】:金貨79枚
【スキル】:健康的な大食い
【思考】
1:お前等、遠慮ってもんを知らねぇのかよッ!?
2:容赦無く頼み過ぎだろッ!?
3:まぁ、金貨は残り79枚も有るから、金銭の事については大丈夫だがなッ!
【基本方針】:カレーを食べる。歩夢達が頼んだカレーやサイドメニューの代金を奢る。




