第七十話 傭兵メルナの眼光 〜立花翔真編〜
〜立花翔真の視点〜
――――古代の迷宮、地下21階層
順調に、古代の迷宮を降りて行っている翔真達だったが、ふと傭兵メルナが、自分達の後を追っている『何者かの気配』に気が付いたらしく足を止めた……。
「……むっ!? 皆様、今直ぐに足を止めて下さい……」
「あらっ!? 急に立ち止まってどうしたのですか、メルナさん!?」
するとメルナは、突然の事に驚いている様子のリセス達を制止しながら、後方に向かって思いっ切り睨み付けながら威嚇をする……!
「先程から、私達の事を付け狙っている者達……! お前達は、上手く気配を消していると思っているでしょうが、私は気付いています……ッ! さぁ、観念して今直ぐに私達の前に姿を現しなさい……ッ!」
「えッ!? 俺達の事を尾行していた人物が居たんですか!? メルナさん……ッ!?」
と、翔真が驚きの声を上げたと同時に、暗闇から二人の男が静かに姿を現した……。
「だ、誰ですの……? 貴方達は……?」
ロゼリアが、彼等に問い掛けると、その謎の二人組が口を開く……。
「おやおや、こうも簡単にバレて仕舞っては『特殊機密偵察部隊隊長』の名折れですねぇ……。 貴方も、そう思うでしょ『バルタイル』?」
「全くだな『カートス』……。 私も『特殊機密偵察部隊副隊長』として恥ずべき失態だな……」
翔真達の前に姿を現した二人の男は、酷く落ち込んだ様子で、会話していた……。
するとメルナが、すかさず彼等を問い詰め始める。
「それで、貴方達の目的は何なんですか? 私達に攻撃をする様な素振りは一切見せませんでしたが、だとしたら一体何故私達の事を付け狙ったりしたのですか?」
メルナの質問を聞いた怪しい男は、翔真の隣に居るリセスの方にチラッと目線を移した……。
「それはですね……。 そちらに居る『リセスお嬢様』、貴女の事を見張っていろと、『イラル国王』から直々に頼まれたのですよ」
「えっ!? お父様から……ッ!?」
リセスは、目をパチクリと見開きながら、思わず驚きの声を上げた……。
然し、メルナは依然として、彼等に対する警戒を解かずに、再び彼等に向かって問い掛ける……。
「ほぉ? 飽く迄も、王からの命令で私達を付け回していたと? では、その証拠は? 私達を安心させる事が出来る判断材料を、貴方方から今直ぐに提示して頂きたいのですが……」
「ふむ、証拠ですか? それなら、少なくとも貴方達の事を安心させる事が出来る『判断材料』は、この私が持ち合わせて居ますよ……?」
特殊機密偵察部隊『副隊長』と名乗った男が、ニヤリと不敵な笑みを浮かべると、メルナは怪訝な顔で問い掛ける。
「確か、貴方は副隊長とか言っていましたよね? 何故、『隊長』の方では無くて、一つ位が下である『副隊長』の貴方が、私達の事を安心させる事の出来る『判断材料』を持っているのですか?」
そのメルナからの質問に、隊長の男が詳しく説明をし始める……。
「実を言うとですねぇ……? 私は『夢幻旅団の団員No.24』の称号を持っているのですよ……。 詰まり、私には貴方達の警戒心を解く手段を持ち合わせていないのですよ。 手配書も作られていますしねぇ」
「……貴方は、確か『カートス』と呼ばれていましたよね? 成程、あの夢幻旅団の団員だったのですか……。 まぁ、良いでしょう。 本題は、副隊長の身分の方ですからね……?」
メルナは、副隊長の男の方に視線を向けると、副隊長の男が、メルナに向かってゆっくりと説明を始めた……。
「私の身分を知って頂けたら、充分に安心して頂けるかと思いますよ。 コホンッ! 何故なら、私は『英傑旅団団員No.24のバルタイル』ですからね……!」
聞き馴染みの有る、『正義の旅団』の名を聞いたメルナは、途端に彼等に対する警戒心を解き始めた……。
「えぇっ!? 『英傑旅団』ですかッ!? 確かに、本当に貴方が、英傑旅団の団員なら警戒心は解けますね……。 それじゃあ、後はその証拠を見せて頂ければ……」
「あぁ。 証拠なら、コレを見て頂ければ!」
するとバルタイルは、自分が本当に英傑旅団の団員だと言う事を証明する為に、腰に付けていた英傑の剣と英傑の盾をメルナ達に見せ付けた……。
「ほら、この剣と盾が証拠ですよ。 勿論、偽物なんかじゃありませんよ? メルナさん、触れて見れば分かる筈ですよ……?」
「いえ、いちいち触れなくても私には分かります。 その英傑の剣と盾は間違い無く本物です……」
「良かった! これで理解して頂けたかと思いますが、私達は貴方達に危害を加える為ではなくて、寧ろ貴方達の事を密かに護衛していただけなんですよ……!」
「へへっ、何だよ〜。 んじゃあ、ただ単にメルナが神経質だったってだけかよぉ〜っ!」
安心した様子のアケミは、メルナの事を肘で軽く突きながら、おちょくり始める。
「こらこら、やめなさいアケミ! メルナさんに失礼じゃありませんのっ!」
「おっと、んな怒んなよリセス〜。 チッ、わぁ〜ったよ!」
アケミは、不機嫌そうにしながら、メルナから距離を取った……。
すると、メルナは再びカートスとバルタイルとの会話を始めた……。
「しかし、これまた奇っ怪な組み合わせですね……。 夢幻旅団員のカートスが隊長で、英傑旅団員のバルタイルさんが副隊長とは……。 バルタイルさんの事は信用出来るとしても、カートスの方はイマイチ信用出来無いのですが……?」
「まぁ、私の事は信用なさらなくても結構ですよ。 それよりも、後ろの方達が御話しに付いて来れない様子ですが?」
その言葉を聞いたメルナは、咄嗟に後ろを振り返ると、状況を上手く飲み込めない様子の翔真とロゼリアが、呆然とした様子でメルナ達の会話を無心で聞いていた……。
「あ、えっと……? 要するに、その人達は良い人って言う認識で良いんですよね……?」
タジタジとした様子で翔真がそう言うと、カートスとバルタイも笑顔で返答した……。
「そう言う事ですよ。 再三言いますが、私達はリセスお嬢様の事を見守ると言った命によって、貴方達の後を付けていただけなのですよ」
すると、アケミも会話に加わって来る。
「ま、取り敢えず、アンタ達はアタシ達の味方って事で良いんだな? だったら、そんなコソコソと付いて来ないで、これからは一緒に行動しようぜ! な?」
「おや、そう言って下さるとは嬉しいですねぇ。 ですが、メルナさんは大丈夫ですかな? 私達も、一緒に行動しても宜しいですかな?」
「……まぁ、このまま無言で後を付けられるよりはマシですからね……。 承知しました。 この先からは貴方達も一緒に、私達と共に行動する事を許可致します」
メルナから同行の許可を得たカートスとバルタイルは、丁寧に御辞儀をしながら、メルナに向かって感謝の言葉を贈った……。
「これはこれは、どうも有難う御座います。 リセスお嬢様の事は、私達が精一杯御護り致しますとも」
「ふふっ、お父様から直々に、命令が下された貴方達ならば、私は全幅の信頼を貴方方に寄せる事が出来ますよっ♪ 精一杯、私の事を護って下さいねっ♪」
リセスは機嫌良さげに、カートスとバルタイルに向かって満面の笑みを見せた。
そのリセスの可愛らしい笑顔を見たカートスとバルタイルは、俄然とやる気が漲り始めて来た……!
「えぇ。 全身全霊を掛けてでも、貴女の事を御護り致しますよ……!」
こうして、多少の揉め事があったものの、漸く先に進める事になった翔真達は、最後に一致団結する為の言葉を言い放った……!
「よしっ! それじゃあ、古代の迷宮の地下50階を目指して、頑張るぞーッ! エイ、エイッ!」
『オォーーーッッッ!!!』
かくして、翔真達は地下50階に生息している『巨大な漆黒のコウモリ』と言う異名を持つ『ニーヒャ』の討伐を目指して、階層を下っていくのだった……!
【現在位置】
【古代の迷宮地下21階層】
【現在の日時】
【4月8日 8時34分 春】
【立花翔真】
【状態】:やる気満々
【装備】:旅人の服 頑丈な剣 大きな袋と小さな袋
【道具】:閃光玉10個 回復薬10個 回復薬DX5個 金貨1枚 銀貨5枚
【スキル】:不意の転倒
【思考】
1:なんか知らんが、唐突に仲間が増えたぞ!
2:にしても、さっきのメルナさん怖かったな〜……。
3:これから、彼女の事を怒らせない様に気を付けないとだなッ!
【基本方針】:地下50階に向かってニーヒャを討伐する。メルナを怒らせない様にする。
【リセス・トワ・イラル】
【状態】:元気
【装備】:ピンクのドレス 金色のティアラ 腕時計 大きな袋 豪華な革袋
【道具】:閃光玉10個 金貨179枚 レインボーカード
【スキル】:絶対防御
【思考】
1:お父様、気を遣って頂いて感謝致します……!
2:私の為に、黙って護衛を付けてくれてたなんて……。
3:私、お父様の為にも頑張ります!
【基本方針】:地下50階に向かってニーヒャを討伐する。お父様の為にも頑張り続ける。
【ロゼリア】
【状態】:興奮
【装備】:街娘の服 使命の剣と盾 大きな袋
【道具】:閃光玉10個
【スキル】:元奴隷根性
【思考】
1:先程の、メルナさんの表情も、中々に良きでしたわぁ〜っ♡
2:はぁッ♡ メルナさんの事が愛おしいですわぁ〜ッ♡
3:ハッ! 待って、私の目的はニーヒャを討伐する事でしたわっ!?
【基本方針】:地下50階に向かってニーヒャを討伐する。いつか弟のロメオに会いたい。傭兵メルナと付き合いたい。
【アケミ】
【状態】:健康
【装備】:紅色の和服 撃滅の斧 大きな袋
【道具】:閃光玉15個
【スキル】:火炎演舞
【思考】
1:おーし、そんじゃ行くか〜っ!
2:アタシが、この先に居るモンスターも、この手で殲滅してやるよ……!
3:そして、待ってろよ! ニーヒャ!
【基本方針】:地下50階に向かってニーヒャを討伐する。この先に居るモンスターを倒しまくる。
【傭兵メルナ】
【状態】:警戒
【装備】:銀色と蒼色の傭兵の鎧 正義の剣と盾 特大の袋
【道具】:閃光玉20個 回復薬DX20個 毒薬10個 火炎瓶10個 痺れ粉5個 眠り粉5個
【スキル】:負けない正義
【思考】
1:この二人は信用しても大丈夫だと思いますが……。
2:だからと言って、警戒を解いては、モンスターから不意打ちを食らって仕舞います……。
3:これも、皆を護る為です……。 常に、辺りを警戒致しましょう……。
【基本方針】:地下50階に向かう。依頼主の翔真達を護る。周囲を警戒する。
【追跡者カートス】
【状態】:健康
【装備】:サングラス 黒のコート サイレンサー銃 袋
【道具】:弾薬50発 金貨10枚 睡眠玉2個 石化玉4個
【スキル】記憶消去【効果】:任意の相手の、消したい記憶の部分を好きな時に何時でも消す事が出来る。
【思考】
1:私達の事を受け入れて頂けて良かったですよ。
2:リセスお嬢様を、御護りする事が目的ですから、彼女から拒絶されたらどうしたもんかと思いましたが……。
3:いや〜、良かった良かった。
【基本方針】:地下50階に向かう。リセスを護衛する。
【バルタイル】
【状態】:健康
【装備】:緑のコート 英傑の剣と盾 袋
【道具】:金貨20枚 回復瓶10個
【スキル】剣術の天才【効果】:このスキルさえ取得して仕舞えば、どんな凡人だろうと瞬時に、剣の腕前が天才レベルに上達する。
【思考】
1:リセスお嬢様の事は、絶対に御護り致します……。
2:この私の命に変えてでも……。
3:受けた依頼は絶対ですからね。
【基本方針】:地下50階に向かう。リセスを護衛する。リセスの仲間も、ついでに護衛する。




