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思いの外上手くいかない理想の異世界生活!  作者: ミカル快斗
第二章 各々の方針が固まる二日目
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第六十九話 酒場での出来事 〜酒場の店主カミラ編〜


〜酒場の店主カミラの視点〜


――――カミラの酒場



 カミラの酒場内は、いつもの様に、片手で数えられる程の客しか入っていなかった。


 すると、厨房に居るカミラは、ふと言葉を漏らした。


 「いやぁ〜、『翔真』達は、今頃上手く行ってんのかねぇ〜?」


 昨日、昼時に此処の酒場にやって来た、常連客の翔真達の顔を思い浮かべながら、カミラは思案する。


 まっ、あの子達なら大丈夫だろうね。


 なんか、どっかしらの強い魔物を討伐するって、風の噂で聞いたけど、いちいち私が心配する程、あの子達はヤワじゃないってんだよ……。


 よしっ、んじゃアタシもそろそろ、気を入れ直しますかっ!


 パンパンと、自身の頬を軽く叩いたカミラは、お客さんからの注文を取りに行く。


 「はーい、ご注文は何でしょうか〜っ!」


 カミラに注文を頼んだのは、三人組の客だった。


 一人は、漆黒のローブに身を包んでいる『黒髪の魔道士』の男。


 そして、傍らに『緋色のマシンガン』を置いている態度の悪い赤髪の女。


 最後に、見るからに凶悪そうな風貌の『狂戦士』と名乗る紫髪の男だった。


 「えーと、それじゃあ僕は『ドラゴン肉丼』と、『ネーラ魚の塩焼き』を一品ずつ頼みますねーっ」


 「おっ、んじゃあ、俺もドラゴン肉丼だな」


 「ウチは、『ベルマとモノフの合い挽きハンバーグ』で! よろしくお願いしま〜すっ!」


 と、個性が強い3人組の客から、元気一杯に注文を頼まれたカミラは、笑顔で返答する。


 「あいよっ! そんで、お客さん達も冒険者かい? それなら、この私の美味しい料理を腹一杯になる迄、食べて元気になれよな〜っ! へへっ、自慢じゃないが私の料理を食べた人達は、皆笑顔になって帰ってくからね〜っ!」


 「おお〜っ! それは、楽しみですね〜! いやぁ〜、初めて此処の酒場に寄ってみたのですが、案外当たりだったのかも知れませんね〜っ! ねっ、『ガニー』さんっ!」


 黒髪の魔道士の男が、狂戦士の男に話を振ると、その狂戦士の男も陽気な口調で話し出す。


 「お、確かにそうだな『ジャドゥ』! んで、カミラさん……? アンタは、俺達の事を『冒険者』だと思ったみてぇだが、少しだけ間違ってるぜ……? 俺達は、ちょっとだけ特殊でな……」


 「……え? 特殊?」


 すると、テーブルに足を乗っけている態度の悪い赤髪の女が、自分達の『身分』の話をし始めた。


 「そうなの! ウチ達はあの、『魔族抹殺連盟』に所属しているエリート集団なのよっ! 魔族なんか、ウチ達が皆殺しにしちゃうんだからぁ〜っ♡」


 赤髪の女から、その話を聞いたカミラは、記憶の底に眠っている魔族抹殺連盟についての情報を、少しだけ掘り起こしてみた……。


 「え〜っと……。 確か、その魔族抹殺連盟って言うのは、魔族に対して強い恨みを持っている人達が集まって結成されたと言う連盟の事よね……? と言う事は貴方達も、何か魔族に対して恨みが有ったりするのかい……?」


 と、カミラが問い掛けると、3人組はヘラっとした表情を浮かべながら、軽い口調で問い掛けに答えた。


 「んー? いや、特にねぇな……? 魔族抹殺連盟ってのは結構、金払いが良いって言う理由で、加入してるだけだぜぇ?」


 「えっ、そんな理由で魔族の事を殺しているってのかい……?」


 「まぁ、でも魔族なんか別に、この世に居なくなったって誰も困らねぇしなぁ? そもそも、この世界に『魔法使い』とか『魔女』が居る限り、その『下位互換の魔族』なんて本当に存在意義が全くねぇしなッ!」


 と、その回答を静かに聞いていたカミラは、少しだけ荒い口調で彼等に対して警告を行なった……。


 「……そう。 でも、余り魔族の事を舐めない方が良いわよ? このままだと、彼等から手痛いしっぺ返しを喰らうかも知れないわよ……?」


 「んん? 何か含みの有る言い方だなカミラさん。 もしや、魔族にアンタの知り合いでもいんのか? だとしたら、こんなデリカシーの無い事を言っちまって、何だか申し訳ねぇ気持ちになるが……」


 「いえ、別に気にしなくても平気よ。 んじゃ、今直ぐに注文された料理を作って運んで来るから待っててね〜っ!」


 カミラは笑顔でそう言うと、厨房の方へと駆けて行った……。


 すると、残された三人組は、お互いに談笑をし始める。


 「はぁ〜、楽しみだなぁ〜っ! ほらウチって、ハンバーグが大好物じゃんッ!? うぅ〜、だからか分かんないけど、涎が垂れそぉ〜!」


 ジュルリ……ッ! ダラァ〜……っ!


 「ウゲッ! オイ、汚ぇぞ『トゥッカ』! おい、ジャドゥも何か言ってやれ!」


 「ふふふ……。 ハァ……ハァ。 トゥッカさんの涎……。 ゴクリッ……」


 「だーっ!? 俺等のパーティには、まともな奴は一人も居ねぇのかよ!? 戦闘狂の俺が、この中だと一番まともってのは可笑しいだろうがよぉッ!?」


 狂戦士ガニーは、頭を抱えながらテーブルに突っ伏した……。


 「もー。 さっきから、うっさいな〜ッ! ガニーは、本当に何時もうるさい……」


 「はぁ、はぁ……っ! トゥッカさんっ! はぁっ、トゥッカさん〜〜ッッッ!!」


 「アンタも、毎度の様にウチに対して、発情すんなッ! この『変態黒魔道士』がッ!」


 と言った風に、ガニー達がそんな押し問答を繰り広げていると、酒場の入口のドアを誰かが勢い良く、バンッと開けた音が酒場内に響いた……!


 「あ? 誰だ……?」


 ガニー達が酒場の入口付近に顔を向けると、其処には見覚えの有る一人の男性が笑みを浮かべながら立っていた。


 「おーっ! ガニーに、トゥッカと、ジャドゥじゃないか〜っ! 3人共お揃いで、何やら楽しそうにやってんじゃねぇかよ〜っ! おいおい、俺も混ぜてくれよな〜っ!」


 「『サンパ』さん……!? この街に来てたんですか!?」


 ジャドゥは、驚きの表情を浮かべながら、サンパの顔を見詰める……。


 「おう、ジャドゥ! なんだか、久しぶりだなぁ〜っ!」


 すると、狂戦士ガニーは疲れ切った表情を向けながら、サンパに対して頼み事をする。


 「よぉサンパ……。 丁度良かったぜ……。 俺は、コイツ等と居んのが疲れたぜ……。 だから、この場はアンタが俺に変わって仕切ってくれよぉ……頼むからよぉ」


 すると、トゥッカがプイッと頬を膨らませながら、ガニーに苦言を呈した……。


 「ふんっ、そんなのアンタが頼んでも無いのに勝手に大きな声を上げながらウチ達に対して、『ツッコミ』を入れたから疲れたってだけでしょ〜? 詰まり、アンタの自業自得じゃないのっ!」


 「んだと!? テメェには、思いやりってモンが欠損してんのかぁッ!?」


 「ハッハッハ! あの『狂戦士ガニー』が、こうもツッコミ役に回るとはなぁ〜! こりゃあ、中々に面白いもんを見させて貰ったっ!」


 すると、ガニーはテーブルに突っ伏しながら、脱力した状態で気絶する……。


 「後は任せたぜ……サンパ。 あ、料理が来たら起こしてくれよな……。 ガクッ」


 「もー! ガニーったら、情けないんだから〜っ! あ、サンパさんっ♡ どうぞ此方へっ!」


 「お、ありがとねトゥッカちゃん! ジャドゥも、本当に久しぶりだなぁ〜っ! 数年前に大量の魔族を殺しまくった時以来かっ!?」


 「えぇ、そうですね。 あの時は、とても御世話になりました……っ! この僕に、色々な戦い方や瞬時の状況判断とか、魔法の使い方まで丁寧に教えて頂いて……。 本当に貴方は僕の師匠と呼べる人ですよっ!」


 ジャドゥから発せられる、羨望の眼差しと発言に対して、サンパは謙遜した様な態度を取る。


 「いやいや、俺は師匠とか呼ばれる程の大した人間じゃねーっての! そもそも、後輩を指導すんのが先輩として、当然の役目だろぉ〜?」


 「はぁ〜、謙遜しちゃって! 本当にサンパさんって、素敵な人ね〜っ♡ ウチ、また別の意味で涎が出ちゃうかも〜っ♡」


 デロデロデロ……。


 「ハッ! トゥッカさんの涎が、こんなに沢山……!? あぁ……ッ! 僕は、この大量のトゥッカさんの涎に包まれたい人生だった……ッ!」


 「いや、このウチの涎は、アンタに対して向けられた奴じゃないからっ!」


 「ハッハッハ! 本当に愉快だなぁ〜、お前等!」


 ガニーが気絶した所為で、この場にツッコミが不在となった異質な空間の中で、不意にカミラが注文した料理を運んで来てくれた。


 「あいよーっ! 待たせちゃったね〜っ! はいよっ! ネーラ魚の塩焼きと、ドラゴン肉丼二つだよッ! ハンバーグは、もう少しだけ待っててね〜っ! そんで、アンタは何を頼むんだい?」


 「お、俺も頼んでも良いのか? じゃあ、俺もドラゴン肉丼を一つだけ頼むよ」


 「あいよーっ! 水は、お替り自由だから、各自勝手に注いでって良いからね〜っ!」


 カミラはそう言うと、再び厨房の方へと入って行った。


 するとトゥッカが、とあるイタズラを提案する……。


 「サンパさん。 いっその事さ、今来たガニーの分のドラゴン肉丼を黙って食っちゃったら? 大丈夫よ、後で同じ物が運ばれて来るんだから、ガニーを起こさない限りバレないわよっ!」


 「お、そうか! 確かに、バレないかもな〜! そもそも、起きねぇガニーが悪いって事だもんな〜っ! そんじゃ、いっただきま〜す!」


 と言う事で、サンパは運ばれて来たガニーの分のドラゴン肉丼をムシャムシャと美味しそうに頬張るのであった……!



【現在位置】

【カミラの酒場】


【4月8日 10時51分 春】



【狂戦士ガニー】

【状態】:溜まっていた疲労により気絶

【装備】:黒金の鎧 黒金の双剣 袋

【道具】:回復薬DX20個 金貨5枚

【スキル】暴走する血【効果】:戦闘に入ると、必ず血が暴走して周りに居る人物を、敵味方関係無く攻撃し始めてしまう。

【思考】

1:うぐぐ……。

2:…………。

3:Zzz……。

【基本方針】:起きたらドラゴン肉丼を食う。



【黒魔導士ジャドゥ】

【状態】:変態

【装備】:黒魔導士のローブ 黒の魔導書 袋

【道具】:金貨30枚 銀貨50枚

【スキル】奈落の意識【効果】:任意の相手を一生目覚めなくさせる事が出来る。

【思考】

1:ドラゴン肉丼、美味しいですね〜っ!

2:ハッ! トゥッカさんが羨ましそうに此方を見ている!?

3:はぁ〜っ! トゥッカさんの涎を見ながら食べる飯が、一番美味しいですね〜っ!

【基本方針】:トゥッカの涎を見ながらドラゴン肉丼を食べる。



【爆音のトゥッカ】

【状態】:腹ぺこ

【装備】:緋色の鎧 緋色のマシンガン 大きな袋

【道具】:弾薬1000発 銅貨40枚

【スキル】鼓膜爆破【効果】:大きな声を出して相手の鼓膜を否応無しに破裂させる。

【思考】

1:美味そう〜……。

2:早く、ウチもハンバーグが食べたいよぉ……。

3:やべっ、涎が止まんない〜……。

【基本方針】:ハンバーグが来るまで涎を垂れ流す。



【無敗のサンパ】

【状態】:感激

【装備】:白のシャツ 黒のズボン 一撃の剣

【道具】:無し

【スキル】:無し

【思考】

1:うめぇええええぇええッッッ!!!

2:ドラゴン肉丼うめぇえぇええええええぇえええッッッ!!!

3:あ、金持ってねぇから俺の分はお前等が払ってな?

【基本方針】:ドラゴン肉丼を食う。飯を奢って貰う。



【現在位置】

【厨房】


【カミラ】

【状態】:悩み

【装備】:酒場の店主の服

【道具】:ガムテープ

【スキル】:威圧の値切り

【思考】

1:魔族か……。

2:基本は優しいけど、本気を出したら人間なんかじゃ一瞬で殺されちゃうよ……。

3:吸血鬼レクサンにね……。

【基本方針】:魔族最凶の男、吸血鬼レクサンを護る。注文された料理を作る。



【吸血鬼レクサン】

【状態】:縄で拘束 ガムテープで口封じ 怒り

【装備】:至極色のタキシード 蒼色のマント

【道具】:輸血パック5個

【スキル】他種族滅亡【効果】:何時でも好きなタイミングで、魔族以外の他種族を滅ぼす事が出来る。

【思考】

1:おい、カミラ! 一体何時まで、この俺様の事を、この場に拘束するつもりだッ!?

2:俺様は、あの『夢幻旅団の団員No.23のレクサン』様だぞッ!?

3:縄で拘束すんのは違うんじゃないかッ!?

【基本方針】:自分のスキルが発動してしまうと、世界がヤバイ事になるので絶対に発動しない様にする。カミラの血を吸いたい。


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